転生少女と黒猫メイスのぶらり異世界旅

うみの渚

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第三章

第167話 新たな仲間

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 感動もそこそこに領主様が口を開く。

「さて、改めて家族に紹介したいのだが……その前にポチの件だ」

 あ、そういえばお母様の肖像画を見せてもらってからポチのことすっかり忘れていたわ。
 私は領主様を見上げて話の続きを待つ。

 領主様は肖像画に白い布をかけ直すと、ポチが置いてあるガラスケースに向かって歩き出した。
 さっきまでカタカタと動いていたというのに、私が近づいてもピクリともしない。
 あれは見間違いだったのかな?と首を捻っていると、領主様が促してきた。

「ユーリ、ポチに話しかけてみなさい」

「え?話しかける?」

「そうだ。ポチは意思を持つ剣と言ったが、今まで誰にもあのような反応を見せたことはなかった。だが、ユーリには反応した。だから、もう一度話しかけてみてほしい」

 そう話す領主様の眼差しは真剣だ。
 これは好奇心というより、何か別に目的があるのかもしれない。
 そう感じた私は、ポチに視線を向けて語りかけた。

「……えっと。ポチ、くん?はじめまして、私はユーリ。もし、私の言葉を理解しているのなら反応してくれるかな?」

 ポチは私の言葉に反応して、カタカタと刀身を震わした。
 その様子を見た領主様の瞳がキラキラと輝く。

「おぉ!やはり言葉を理解しておるようだ。父と私が声をかけた時は全く反応しなかったから噓だったのかとがっかりしたが、真実だったのだな」

 もうすでに試していたのか。
 ポチに話しかける領主様を想像したら、笑いがこみ上げてきた。

「ふふ。剣に話しかけていたんですね。お茶目なところがあったんですね」

 すると、領主様は慌てて口を開く。

「あ、いや、それは、だな。意思を持つ剣など珍しいだろう?父、前当主から引き継ぐ時に反応するか試してみたくなってだな……」

 しどろもどろで言い訳を口にする領主様の姿がおかしくて、ついに吹き出した。

「あははは!好奇心ってやつですね。気持ちはよくわかります。でも、動いた時は驚きましたけど」

「ははっ。そうだな。本当に動くとは思わなかった」

 私につられて笑い声をあげた領主様は、次の瞬間真面目な顔をして言った。

「だが、これで確信した。ポチが意思を持っておりユーリに反応したということは、ポチを所有する権利を持つのはユーリということになる。ユーリ、ポチを譲り受けてはもらえないだろうか?」

 地下宝物庫に大事に保管されていた剣を、ぽっと出の私に簡単に譲っちゃって大丈夫?
 鑑定のスキルで視て知ったけど、ポチって神様が造った剣なんだって。
 そんな国宝級とも言える剣を私が貰っても良いのだろうか?

「え?……でも、宝物庫にずっと保管していたんですよね?そんな大事なものを私が受け取っても良いのですか?」

「構わない。ずっと宝物庫に保管しておくよりユーリと共にある方がポチも嬉しいだろう。それに、我々には到底扱いきれる代物ではないしな」

 そこにメイスが話に加わってきた。

『奴はこの世界の管理者、所謂神の力が宿っている。神に認められた者しか剣を扱うことが出来ない。今、この世界で奴を扱えるのはお前しかいない。ありがたく受け取っておけ』

 神の力が宿っているですって!?
 ……あ、そうか。
 神様が造ったのだからそうなるのは当たり前か。
 何か面倒なことになってきた気がするけど、ここで拒否したらポチが可哀想に思えて頷いた。

「わかりました。では、ありがたく受け取らせていただきます。というわけでポチ、よろしくね」

 ポチは嬉しいのか、刀身をより一層激しく震わせて応える。
 領主様はガラスケースを開けて恭しくポチを両手に持ち抱えると、私に差し出した。

「ポチ、新たな主人だ。しっかりと守ってくれ。ユーリ、ポチを頼む」

 領主様からポチを受け取った私は、明るい声で話しかけた。

「はい。ポチを大切にします。ポチ、改めて私はユーリ。よろしくね」

 会話だけ聞いているとまるで犬の譲渡会のように聞こえるが、決してそうではない。
 私の言葉に応えるようにポチの全身が淡く光る。
 会話を交わせるようになったわけではないが、なぜかポチの喜びに満ちた感情が伝わってきた。
 ポチの素直な感情に、本当に犬のようだと苦笑する。

 こうして新たにポチが仲間に加わった。
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