【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚

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第26話 カルラさんの意外な一面

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 一月経ってカルラさんがやって来た。

 二日前に屋敷に到着していたのだが、カルラさんの体調を考えて二日間ゆっくりしてもらうことになった。

 歓迎会は家族だけで行うことになり、久しぶりに私が腕を振るうことにした。
 肉より魚の方が身体に良いだろうとバジルを使った焼き魚にしたら、魚料理は随分久しぶりに食べたらしく、大層喜んでくれて私も嬉しく思ったのを覚えている。
 もちろん家族にも大好評で、お気に入りの仲間入りに追加された。

「ごきげんよう、ミリアーナさん。今日からよろしくお願いしますね」

 優雅な所作で軽く一礼するカルラさんは相変わらず上品で、緑色の踝まであるシンプルなワンピースはとても良く似合っていた。

「はい!こちらこそよろしくお願いいたします!」

 優雅とは程遠い私は誠意を込めて挨拶をした。
 カルラさんは笑みを浮かべて一歩近付くと肩に手をそっと置いた。

「ミリアーナさん、肩の力を抜いて。貴女はまだ十三歳。ゆっくりと覚えていけば良いのよ。子供の内にしか出来ないことも沢山あります。急いで大人になる必要はないわ」

 私は言葉を失った。
 自分がまだ十三歳の子供だということをすっかり忘れていたのだ。
 これでは前世と変わらない、いや、前世より悪い。
 幸いにも最近の私には時間に余裕が出来たことで、薬師の勉強に時間を割けると大喜びしていた。

「…そうですね。すみません」

 自然と身体が小さくなる。
 私は焦っていたのかもしれない、と反省した。

「だからね、私とお話しをしてほしいの。薬草だけじゃなく色々なことを沢山。それと散歩にも付き合ってもらえると助かるわ。あ、そうそう、ハーブ園を案内してくださる?伯爵様が自慢のハーブ園だと仰っていたわ」

 目線を合わせて優しく話すと、両手を合わせてポンと一つ叩いた。
 カルラさんの心遣いに胸がポカポカと温かく笑顔が戻る。

「はい、我が家自慢のハーブ園です!ガゼボからの景色が綺麗なんですよ!ご案内いたします!」

 笑顔を取り戻した私は側に控えていたアリスさんに、ガゼボにお茶とクッキーの準備をお願いしてカルラさんを案内した。
 日差しが心地よく風は無風に近かった。
 ここ数日肌寒かったが、今日は過ごし易そうだ。

 談笑しながらガゼボへ到着した。

「まあ!伯爵様が仰っていた通り素敵な場所ね。種類毎にハーブが植えられていて整然としてとても綺麗だわ」

 目を大きく開き瞳を輝かせて少し興奮気味に話す。
 薬師であれば尚更なのかもしれない。
 意外な一面が見れて嬉しく感じた。
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