星屑のビキニアーマー

ぺんらば

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第2章 星屑のビキニアーマー

山賊に襲われる

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 タケルとホノの旅は順調に進んでいた。物静かな性格のホノは、最初こそ必要最低限の会話しか交わそうとしなかったが、少しずつ自分からも話しかけるようになっていった。

 タケルは揺れる馬車の中で、ビキニアーマーの製造に夢中だった。馬車に入り切らなくなるほど鎧を生産していくタケル。それを引き取りに来る城からの使いの者は、一回の往復で全てを持ち帰ることが困難になっていた。ついには人手を増やし、これまで数日に一回だった往復を、毎日朝と晩、二回に増やすようになっていた。

「いくらなんでも、作り過ぎではないですか?」

 ホノは無表情でタケルに問いかける。

「余ったら他の国に分けりゃ良いだけのことだろ? それに僕は、これを作るのが楽しいんだ」

 妹にそっくりなホノに対して、いつしかタケルはくだけた口調で話すようになっていた。ホノもそれについては全く気にしていない様子だ。

「他国の強化を、父は望むでしょうか」

「ケチくさいこと言うなって」

 ビキニアーマーを作るタケルを眺めるのがホノの日課になっていた。馬車の中では剣の修行もできないからだ。

「今作っているそれは、子ども用ですか?」

「背丈の低い人用だよ。ウエストはある程度伸縮できるんだけど、ブーツの長さや足のサイズは変えられないから。いろんな背格好の人に合わせられるように、たくさん作らなきゃいけないのさ」

「なるほど。そう言えば、私の胸当てもそろそろ替え時かもしれません。一年前に新調したばかりなのですが」

「ホノは今、成長期なんだよ」

 ホノの装備は軽装で、下はミニスカートに皮のブーツ、上は風通しの良さそうな半袖丈に、胸当てを付けていた。胸当ては鉄製ではなく、動物の皮を何枚も重ねて縫い合わせているものだった。

「そうだ! ホノにも鎧を作ってあげるよ。僕だってたまには気分転換をした方が良いかもしれないし」

「それはとても有難いお申し出なのですが、まずは父の発注分を優先してお作り願います」

「うわぁ。真面目なところも妹そっくりだなぁ」

 その時、馬車の動きが一瞬鈍った。タケルはその異変に気づかなかったが、ホノはすぐさま腰の剣に手を当てる。

「気をつけてください。私たちは今、邪悪な結界に侵入してしまったようです」

「それって、魔物の仕業?」

「いいえ。人間です。と、話しているうちに囲まれました。この辺を根城にしている山賊たちです。ここで騒ぎを起こすわけにはいきません。大人しく投降しましょう」

 ホノは剣を椅子下に隠し、馬車から飛び降りた。タケルも恐る恐るホノに続く。

 タケルとホノを見た山賊たちはケラケラと笑っている。皆、図体がでかく、鎌や槍などを持っている。身体には皮の鎧を装備しているが、これらの武具は全て、移動中の旅人や騎士たちを襲って奪ったものだ。

「ぎゃはは! 子どもがたった二人だけかよ。まぁ良い。金目になるもんを全て置いてきゃ、命だけは助けてやるぜ」

 戸惑うタケルにホノが耳打ちする。

「従いましょう。馬車さえ奪われなければ何とでもなります」

「馬車まで奪われたらどうするんだよ」

「奪われません。彼らに知識があればの話ですが」

 タケルとホノは無抵抗のまま拘束された。山賊たちは馬車の中から食料や鎧の材料を奪い、袋に詰めていく。しかし、ビキニアーマーには無関心だった。

「やい! 僕が作ったビキニアーマーを無視するとか、どういうことだよ! 奪う価値すら無いって言いたいのか? 失礼にも程があるぞ!」

「黙れクソガキ! あんなガラクタに興味はねぇんだよ。んなもんより、そうだな……あっちのガキんちょの胸当てと服の方が、よっぽど高価で金になりそうだぜ」

 タケルを見張っている山賊の一人が、ホノの鎧と服に目をつけた。

「そいつの身包み、全て剥いじまえや!」

 その声に応えて、数人の山賊が一斉に動き出す。分厚く大きな手が、ホノの胸当てを鷲掴みにし、力任せに奪い取った。
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