192 / 256
吸血鬼殲滅戦・離
第178話 吸血鬼殲滅戦・離『北方の防衛』
しおりを挟む『チチェン・イッツァ』の街近郊では、防衛戦が繰り広げられていた。
その中でもおそらく最強レベルの魔物・魔牛ストーンカがその猛烈な怪力で、戦斧をぶんぶんと振り回す!
その勢いで、周りの木々がなぎ倒される。
だがそこに、イシカとホノリがフュージョンしたアラハバキが、魔牛ストーンカに殴りかかる。
振り回していた戦斧がアラハバキに激突したが、アラハバキはものともせず、ストーンカを殴りつけた。
ストーンカが後方へふっ飛ばされた。
ドッサァアアアーーーーーァ……
「ムカデの爺やのカタキである! なのだ!」
アラハバキがストーンカに向かって叫んだ。
「グォロロロロロ……ォ……。」
起き上がってくるストーンカ。
巨大魔牛と巨大土偶戦士の壮絶なる戦いに巻き込まれまいと、骸骨戦士たちも、『ククルカンの蜥蜴軍』も後退して見守っている。
それにより、骸骨戦士たちの進軍も止まったのは幸いだ。
「ミナ! アラハバキさんの邪魔になってはいけない。僕たちはあっちの吸血コウモリを狩り尽くすぞ!」
「ええ! あなた! 理解したわ! それにあの戦いに巻き込まれるのはゴメンだわ!」
「ははは……。違いないね!」
ジョナサンさんとミナさんは、襲いくる吸血コウモリたちを倒しにかかった。
ほほ赤く輝く『リーダー・ヴァンプバット』が撃ち落とされた今、烏合の衆と化していた。
コタンコロは空の上から、戦いを見ながら、劣勢になりそうなところへ下りていって敵を一掃するという行動を繰り返していた。
ご主人様の命令通り、『チチェン・イッツァ』の街に敵を近づけないことを優先しているのだ。
「ふむ……。なんとか、この街は守れそうだが……。あの魔牛だけが、やっかいであるな。」
コタンコロもアラハバキの戦いを見てそう思った。
だが、応援に駆けつけたりはしない。
なぜなら、アラハバキが珍しく燃えているからだ。
「しかし……、あっちのあの恐竜種族どもが、ここまで来たらまずいことになるが、あのサルガタナスとやら、なかなかのものじゃな?」
コタンコロは北の方を見ながら、つぶやくのだった。
****
さて、その北の地では、激しい攻防が繰り広げられていた。
『蛙を放つ』を象徴するスピノサウルスが、カエルの精霊を呼び出す呪文を唱える。
『蛙の夜廻り(よまわり)、ガツコ ガツコ ピヨン! ラツパ吹く そら吹け、ヤレ吹け ピヨン! ヤレ吹け もつと吹け、ガツコ ガツコ ピヨン!!』
すると、ぬめぬめした巨大カエル、ジャイアントトードが複数現れた。
カエルはその長い舌で、周囲の木々を巻取り、投げつけてくる。
だが、サルガタナスの配下、猛牛の角を持つ料理人のファライー・モラクスが、大声で吠える。
「下郎がっ! 恐れ多くも身の程を知らず向かってくるとは……。『胃の中のかわず、大海を知らず』とはこのことよ!」
そう言って、持っていたでかい包丁で、飛ばされていた木々を切り刻んでサラダにしてしまったかと思うと、そのまま、カエルをあっという間にミンチにしてしまった。
『燃えろよ燃えろよ! 炎よ燃えろ! 火の粉を巻き上げ、天までこがせ! 照らせよ照らせよ! 真昼のごとく、炎ようずまき、闇夜を照らせ! 燃えろよ照らせよ! 明るくあつく。光と熱とのもとなる炎!!』
「火炎呪文じゃ! これで、カエルのハンバーグステーキランチの出来上がりじゃ!」
ミンチにされたカエルたちが、綺麗に焼かれて、ジュゥジュゥと美味しそうな匂いを放ち、鉄板に置かれた。
「あら? ファライー。美味しそうじゃあない? 冷めないうちに召し上がりましょうかね? じゃあ、さっさとあやつらを殺ってしまいましょうかね!?」
サルガタナスは、舌なめずりをして前の敵を睨んだ。
『ぶよを放つ』を象徴するカルカロドントサウルスが、召喚呪文を唱える。
『ごはんだ、ごはんだ、さあ、食べよう! 風はさわやか、心も軽く、だれも元気だ、感謝して! 楽しいごはんだ! さあ、食べよう!!』
すると、大量に発生したぶよの大群が、周りの木々をあっという間に食い散らかし、サルガタナスたちに襲いかかってきたのだ。
1匹1匹は大したことがないかも知れないが、これほど大量に集まり、しかも意思をもったかのようにまとまって襲ってくるぶよの大群は驚異でしかない。
しかし、そこにロバの頭を持つライオン、ウァレフォルが立ちはだかる。
「虫ごときが……! サルガタナス様に害をなそうだなどと、恐れ多いわ!」
『深い川よ、私の故郷はヨルダンのかなたにある。深い川よ、私はお前を越えて、仲間たちの元へと帰りたい。おお、お前もあの福音の宴に行ってみたいとは思わないか? そこでは、すべてのものが平和であることが約束されているという!!』
ウァレファルが唱えた呪文は、かのジョン・ヘイグが使っていた呪文・強力な酸を生み出す呪文『ディープリバー』だ。
大量のぶよはまとまった行動を取っていたため、逆に的が絞りやすく、ウァレフォルが放った強酸を避けることは出来なかった。
ジュワジュワジュワワワ……
ぶよの大群があっという間に消滅してしまった。
『雹を降らせる』を象徴するアクロカントサウルスが、しびれを切らし、叫ぶ。
「えええーーい! 一気に葬り去ってくれるわ! 喰らえ! 氷系呪文・『雪』だっ!」
『雪やこんこ、霰やこんこ。降つては降つてはずんずん積もる。山も野原も綿帽子かぶり、枯木残らず花が咲く!!』
雪っていうか、氷の巨大な塊、雹が無数に降り注いできた。
味方の『ディノ・ドラグーン』さえ打ちのめされ、倒れていく。
「あたしに任せて!」
緑色の服を着た狩人の姿のゾレイ・レラージュが弓を構える。
だが、巨大な雹を矢ごときで打ち砕けるのか……?
しかし、レラージュは、矢を次々と撃ち放ち、その氷塊の急所を的確に撃ち抜いていく。
矢が突き刺さると、氷塊が一瞬で砕け散っていくのだ。
物体にはその一点を貫くと、全てがバラバラになるような急所があるというが、それを瞬間的に見切り、そこを性格に撃ち抜くというのは、相当な凄腕である。
『腫れ物を生じさせる』を象徴し最も巨大なギガノトサウルスが、その巨体を生かし、襲いかかってきた。
「ギャオオオオーーーッ! 貴様ら! 許せん!」
その突進力はものすごい勢いで、とても止められそうにない!
その眼の前にはサルガタナスがいる。
しかし、サルガタナスの配下の者たちは、何の焦りも見せていなかった。
「チカラの差も見抜けない低脳が……。せっかく私のコツコツ仕上げてきた計画の邪魔をするというのか……!?」
サルガタナスの雰囲気が恐ろしげに変わる。
そして、呪文を唱えた。
『星かげさやかに静かにふけぬ、集(つど)いのよろこび歌うはうれし。なごりは尽(つ)きねど、まどいははてぬ、今日の一日(ひとひ)の幸(さち)静かに思う。』
サルガタナスとギガノトサウルスの間に、異空間が出現し、とてつもない闇の暗黒が出現した。
「暗黒空間への旅行を楽しむがいい!」
「ぐわぁ! なんだ! この空間はっ!? ぎゃおおおっ! いだい! 痛いっ!!」
ギガノトサウルスの巨体が、小さく収縮されて行くかのように、生み出された暗黒空間に飲み込まれていく。
「うわぁあああああ……ぁ……。」
シュン……
あの巨大なギガノトサウルスが一瞬で飲み込まれて消えてしまった。
サルガタナスは、何事もなかったかのように、配下の者たちに言う。
「さて、蹂躙開始ですよ!」
「「おおおおっ!!」」
レラージュも、ウァレフォルも、ファライーも大いに歓喜し、『ディノ・ドラグーン』の軍を掃討していくのであったー。
~続く~
©「蛙の夜まわり」(曲/中山晋平 詞/野口雨情)
©「燃えろよ燃えろよ」(作詞:不詳/作曲:フランス民謡/作詞:串田孫一)
©「ディープリバー」(曲:黒人霊歌/詞:黒人霊歌)
©「雪」(曲/文部省 詞/文部省)
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
