【読者への挑戦状あり!】化け物殺人事件~人狼伝説・狼の哭く夜~

あっちゅまん

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第4日目

第28話 到着4日目・昼その5

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 雪が風巻く窓の外をコンジ先生が眺めている。

 私も一緒にのぞいてみる。

 『コの字』型のこの『或雪山山荘』の中庭にあたる部分には一面真っ白な銀世界が広がっている。

 そこには人の足跡ひとつないただただ雪が積もった世界があるだけだ。




 「ジョシュア……。君。あの3階の窓まで、人間が登ることができると思うかい?」

 「え? いや……。無理じゃあありません? さすがに3階は……。」

 「うん。だろうね。……じゃあ、人狼ならどうだろうかね?」

 「え!? 人狼ですか!? うー……ん。人狼でも難しくありませんか? たしか神父さんは人狼の筋力は人間の倍程度って言ってましたよね?」

 「まあ、そう言っていたな。人間の倍くらいの筋力の人狼でもこの館の3階に登るのはやはり難しいか……。」

 「そうですね……。」



 「いや……。待てよ……。逆にこの館の屋根の上を伝っていったならばどうだろう……?」

 ああ。コンジ先生がご自身の思考の海の中に入り込んでしまった。

 この後、しばらく声をかけても身動き一つしないコンジ先生でした。



 「ああ! キノノウさん。部屋の片付けが終わりましたわ。」

 スエノさんとその後ろにジニアスさんが一緒に廊下に出てきた。


 「とりあえず、ダイニングルームに戻りましょうか。」

 と、私はみなさんに声をかけました。



 「ああ、その前に、武器を確認しておきたい。昨夜、シープさんは昨夜は散弾銃を所持し、見張っていたのですよね? そして、ハンドガンはジョシュアくんが持っていたと聞いている。」

 ジェニー警視の問いかけに私とシープさんは頷く。

 「すると、他に武器となりそうなものは、もう1丁のライフル銃ですな。たしか警備室の武器保管庫に置いていたかと……。」

 シープさんが発言する。




 「シープさん! ちょっと確認なんですが……。他に武器になりそうなものはないですか?」

 「最初のアイティさんが犠牲になられたときも申しましたが、救命用のロープ銃か、サーベルが数本……くらいでしょうか?」

 「わかりました。じゃあ、一緒に行きましょう。」

 「はい。かしこまりました。」



 ジェニー警視と一緒にコンジ先生とシープさんが警備室に向かう。

 残された私とスエノさん、シュジイ医師、ジニアスさんは一緒にダイニングルームへ戻ることにした。



 私たちは再び、ダイニングルームへと戻った。

 そして、みんなに情報を共有しておく。

 死亡推定時刻より、イーロウさんが先に殺され、その後パパデスさんが殺されたということ。

 それと、さきほども確認したアリバイ状況をもう一度繰り返した。



 「やはりジジョーノが人狼だったのかしら……?」

 ママハッハさんがボソリとつぶやくように言う。


 「ジジョーノは人狼につけこまれるスキがあったんだわ! 本当にいまいましいったらありゃしないわ。」

 アネノさんもそれに賛同するかのように、ジジョーノさんが人狼だと決めつけているようだ。



 たしかに、今現在、行方不明になっていて姿が見えないジジョーノさんは怪しいのは間違いない。

 もし被害に遭っていたら、死体があるはずですから……。

 ただ、人狼だったならば、姿を消す必要はないとも思います。

 だって、その人物になりすますことができるのですから、姿を消すというのがどうにも納得がいかないのです。



 しかし……。もし、ジジョーノさんが人狼ではなく、どこかで犠牲になり、すでに殺されているのならば?

 いったい、人狼は誰になりすましているのか……。

 また、イーロウさん、もしかしたら、ジジョーノさんも、そして、パパデスさんを連続で手にかけることができた人物は……?



 どういう手段でシープさんの監視の目をかいくぐったのかは、ひとまず置いておいて、さきほどの話では、ジニアスさんと、メッシュさん、ママハッハさん、アネノさんの4人が一番怪しいとなった。

 そうなると、最初のアイティさんの事件の際にも容疑度最上位にいたのが、メッシュさんでしたが、やはり、メッシュさんが人狼なのでしょうか?

 あの美味しい料理をさきほども提供してくれたメッシュさんが人狼だなんて、思いたくない。

 え……? いや、料理は関係ない? ま……、まあ、そうなんですけど。



 すると、そこへコンジ先生たちがまたダイニングルームに戻ってきました。

 しかし、ジェニー警視もコンジ先生もシープさんも怪訝そうな顔をしています。


 「あれ? 武器はどうしたんですか? 持ってこなかったんですか?」



 「いや。ジョシュア。それが武器庫の武器は全部なくなっていたんだ。」

 「え!?」


 このコンジ先生の言葉にみんながぎょっとした顔をして、コンジ先生を見た。



 「私からご説明しましょう。昨夜私とジョシュア様が持っていた散弾銃とハンドガンはこちらにございますが、武器庫に戻していたはずの武器がすべて紛失しておりました。」

 「ああ。キノノウくんと私も確認したから間違いない。」

 「何もかも全部なのでしょうか?」

 「ええ。奥様。間違いありません。」

 「鍵はかけていなかったのですか!? シープ!」

 「いえ。アネノ様。もちろんかけておりました……。が、先日カンが殺された時、マスターキーとともに武器庫の鍵も紛失していたのです。」

 「なんですって!? それをなぜ早く言わなかったのですか!?」

 「申し訳ございません。ジェニー警視にもパパデス様にも口止めされておりましたので……。」



 みなさん、しーんと黙り込んでしまいました。

 ライフル銃が紛失した……。

 その事実が恐怖となって感じられたのです。

 もちろん、人狼に抵抗する武器がなくなったということもありますが、逆に人狼がライフル銃を持って襲ってくる……、そんなイメージが脳裏を駆け巡ったのでした。



 「まあ、ジンロウがライフル銃で襲ってくることは有り得マスネー。うーん、これは非常に危険な状況と言えマース!」

 アレクサンダー神父がその脳裏に浮かんだ恐怖のイメージを、わざわざ言語化して発言をした。


 この神父さん……。ちょっとなにか役に立ってます?

 今のは失言じゃあないかしら。

 たとえ、みんなが思いついたことであっても、それをあえてみなさんの恐怖を煽るように言わなくてもいいんじゃあないの!?



 「他の鍵は大丈夫だったのかね?」

 ここでビジューさんが質問をする。


 「え、ええ。皆様のお部屋の鍵はそれぞれ皆様がお持ちですね? 亡くなられた皆様の鍵はすべて、警備室の壁にかけてございます。それに、『左翼の塔』の鍵は私がここに持っていますし、あとは……、『右翼の塔』の鍵とパパデス様のお部屋の鍵、それと『右翼の塔』の地下室の鍵は一緒にそのままパパデス様のお部屋に置いてございますが……。」

 シープさんがそうひとつひとつ確認するように言った。





 「するとそのマスターキーと警備室の武器庫の鍵だけか……。紛失しておるのは?」

 「そうなりますね。」

 「マスターキーは各部屋はもちろんだが、『右翼の塔』も開けることができるのかね?」

 「ええ。ただし、『右翼の塔』の地下室だけは、マスターキーでは開けることができませんが……。」

 「そうですか……。なるほどねぇ……。」





 やはり、マスターキーを人狼に奪われたことがかなりつらい状況のようです。

 「スエノさんはやはり嫌疑の外においていいな。」

 コンジ先生がぽつりとつぶやく。



 「それは地下室の鍵がパパデスさんの部屋にあったからでしょうか?」

 「うん。そのとおりだよ。ジョシュア。スエノさんは何重にも守られた密室にいたんだ。地下室の扉、『右翼の塔』の扉、そしてシープさんの監視の目、さらにパパデスさんの部屋の扉だ。これを突破するすべは昨夜のスエノさんには間違いなくなかったと言えるだろう。」

 「それはそうですね。じゃあ、コンジ先生は今、誰が一番怪しいと思ってるんですか?」




 「あくまでも可能性……だが、あの人が一番怪しくなっていると、僕は思うけどな。」


 え?

 コンジ先生! あの人っていったい誰のことですか?

 まさか、このまま、次の話までおあずけですかぁ……!?





 ~続く~



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