35 / 62
第4日目
第30話 到着4日目・夕食~夜
しおりを挟む※4日目夕食・ダイニングルーム
この日の夕食の時間はとても静かでした。
集まったのはママハッハさんとアネノさんを除いたメンバーで、コンジ先生、私、ジニアスさん、スエノさん、ビジューさん、アレクサンダー神父、ジェニー警視、シュジイ医師、それにメッシュさんです。
シープさんは自室で食事をするというママハッハさんとアネノさんの食事を提供しているとのことでした。
メッシュさんはこんな状況にも関わらず、美味しい料理を提供してくれた。
カナダディアン直伝鮭のオーブン焼きは相変わらずの美味でしたね。
チーズボールも食べやすく、ガツガツ行っちゃいました。
「キノノウくん。今夜の警戒はどうすればいいかな?」
「そうですね……。」
ジェニー警視がコンジ先生に相談している。
確かに。
昨夜、見張り作戦で夜通し見張っていたにもかかわらず、人狼は暗躍したのです。
どうすれば犠牲を防げるのか……。
「ひとつはもちろん戸締まりです。が、人狼はマスターキーを持っている。そこで、内側から開けられないように工夫することが必要ですね。」
「ふむ。なるほど。何かワイヤーのようなもので開かないように固定する……か?」
「それも良いでしょう。あとは……。全員、集まって過ごす……という手もありますが……。」
「いや。それはママハッハさんが承知しないだろうなぁ。」
「でしょうねぇ。」
そんなことを話しているのを聞きながら、私はすでに眠気で意識が朦朧としていました。
そりゃそうです。
昨夜は徹夜で見張りをしていたのですからね。
「やはり、我々が警備をするしかあるまい。」
「それしかないようですね。」
「あ! でも、ジェニー警視が万が一、人狼だったら、コンジ先生、殺られちゃいますよ!?」
「おい! 君は私を疑ってるのか!?」
ジェニー警視が憤慨して大きな声を出した。
「いえいえ! あくまでも可能性ですよ?」
「まあ、そうだな。逆にジェニー警視から見ると、僕が人狼という可能性もあるからね?」
「おいおい! キノノウくんまでそんなことを……。」
「まあ、三人で動くのが最善ではありますね。」
「ジョシュアくんでいいだろ?」
「いや。ジェニー警視……。それが、私、昨夜、徹夜したのでもうそろそろ限界なんです……。」
「まあ、そうだろうな。いいよ。ジョシュア。君は今晩は部屋で休んでいるんだ。」
「はい。」
わぁ……。コンジ先生がいつになく優しい……。
いつもこうならいいんだけどなぁ。
「アレクサンダー神父! 今晩、見回りをしようと思う。君も手伝ってくれるかい?」
「オオ……。ソレはぜひに……と言いたいところでデスガ……。ワタシは主に祈りを捧げねばなりマセン!」
「いや、その祈祷で今まで犠牲を防ぐことは出来なかっただろう? ぜひ我々に協力したまえ!」
ジェニー警視もここは強めの口調で言った。
「アナタガタは勘違いしていマスネ。祈祷のおかげで犠牲が少なくて済んでいるのデスヨ? 主は裏切りまセン! アナタガタも一緒に主に祈りを捧げまショウ!?」
「うーっむ……。だから、それ、祈りながら見回りできんのか!?」
「無理デスネ。祈祷にはパワーが必要なのデス! 残念ながら、見回りをしている余裕はありマセン!」
うわぁ……。頑固な態度です。
しかも、私たちから見たら、何の役にも立っていないように見える祈祷を逆に一緒にしろだなんて……。
無理だわ。こういうタイプに何を言っても自分の信じるものしか見えないんだわ。
「なら、おーい! メッシュさん! こっちに来てもらえるか?」
「へい! なんです?」
ジェニー警視に呼びかけられたメッシュさんが近くにやってきた。
「ああ。今晩、我々で見回りをしようと思うんだ。で、三人体制、スリーマンセルで臨みたい。ぜひ協力をお願いしたい。」
「はあ。あっしがですか? まあ、わかりましたぜ。カンのヤツや、パパデス様を襲った犯人、人狼の野郎を見つけて倒してやりましょう!」
「まあ、そうだな。そう期待したいものだな。」
そうしているとシープさんが戻ってきた。
「ああ、シープさん。何かワイヤーのようなものはないですか?」
「ワイヤーですか……? 残念ながらそういったものはございません……。」
「なら、ロープかザイルのようなものはありませんか?」
「ああ! それなら救命用のロープ銃に使うロープの予備があるかと……。ロープ銃自体はライフル銃とともに紛失してしまっておりますが、たしか予備のロープは残っていたかと思います。」
「なるほど。そのロープの強度はどれくらいだい?」
「そうですね。人が四、五人くらいぶら下がっても支えられるほどの強度はございます。」
「よし。じゃあ、それをみんなに配ってくれ。夜間、自分の部屋に入ったら、鍵を閉めるだけじゃあなく、中からロープで縛り、できるだけ開けられないようにするんだ。バリケードを張ってもいい。」
「かしこまりました。そのように手配します。」
「ジニアスさん! ビジューさん! あなた達も同行して手伝ってください。」
「ああ。キノノウさん。僕に手伝えることがあれば手伝うよ。」
「まあ、自衛のためじゃし、仕方ないな。」
ジニアスさんもビジューさんも渋々か、喜んでかは別として手伝うことに異論はないようだ。
こうして、私たちはそれぞれの準備をして、部屋に戻るものは戻ることになった。
私ももう睡魔がそれはもう魔王のようになっていて、眠くって仕方がなかったものですから、早めに部屋に戻らせてもらいました。
これは、シープさんも同じのようでした。
まあ、彼はひょっとしたら違う目的で夜が忙しかったからかも知れませんが……。
コンジ先生とジェニー警視、メッシュさんが夜通し、散弾銃とハンドガンを持って見回りをしてくれるということでしたので、私は安心してすぐにベッドに入ったのでした。
他のみなさんも同じ気持ちだったと思います。
三人で警備してくれている、それだけで安心感が全然違ったのですから……。
私はそのまますぐに意識を失うように眠りについたのでした。
◇◇◇◇
~人狼サイド視点~
はぁ……。はぁ……。はぁ……。
頭が割れる。
この心の奥底から湧き上がってくる血の渇望……。
そう……。自分は人狼なのだ。
今、この時、はっきりと覚醒している。
苦しいのはただ飢えているからではない。
全身の細胞という細胞がわかっているのだ。
この人間という種を……。
『喰らえ!!』
……と。
注意深く、扉を開けて部屋を出る。
もう明け方に近い。
ん……?
何者かが廊下を歩いているな。
武器を手に持っている……。
少しやり過ごそう。
決して、人間という種族を侮ることなかれ。
ヤツラは危険だ。
こうして、やり過ごした人狼だが、塔の中に誰かがいることが、その匂いでわかった。
何をしている?
まあいい。
何をしているのかわからないが、獲物が自ら独りになってくれているのだ。
ならば、喰らうまでだ。
音を立てずに忍び足で、その塔の中へ身を滑り込ませる人狼。
その獲物は静かに音を立てないようにしながら、地下へ行こうとしている。
その人間は、自分が人狼に獲物として目をつけられ、後をつけられていることに全く気がつく様子もなく、地下への階段を下りて行く……。
そして、人狼はその後ろを音も立てずに、続いて下りて行くのであったー。
惨劇の『或雪山山荘』での宿泊は5日目の朝へと移る―。
~続く~
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』
本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」
かつて、私は信じていた。
優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な──
そんな普通のお兄ちゃんを。
でも──
中学卒業の春、
帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、
私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった!
家では「戦利品だー!」と絶叫し、
年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、
さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!?
……ちがう。
こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない!
たとえ、世界中がオタクを称えたって、
私は、絶対に──
お兄ちゃんを“元に戻して”みせる!
これは、
ブラコン妹と
中二病オタク姫が、
一人の「兄」をめぐって
全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──!
そしていつしか、
誰も予想できなかった
本当の「大好き」のカタチを探す、
壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。
『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』
月神世一
SF
【あらすじ】
「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」
坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。
かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。
背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。
目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。
鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。
しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。
部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。
(……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?)
現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。
すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。
精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。
これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる


