過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

文字の大きさ
391 / 492
第9章

390話

しおりを挟む
「俺は王様になりたいんだよ」

 カールは王様になりたいと呟いた。
 その姿は小さい子供が国の王様に憧れる様な微笑ましい姿では無く、自身が王様になるのを確信している様な感じである。

「ここの王様は最悪でね──あはは、それは君達も知っていると思うけど」

 ヘラヘラと笑うカールの姿は私達がいつもの知っている姿であった。

「まぁ、君達と同じで俺も王様になる為には、そこに転がっている老いぼれには死んで欲しくてね」

 カールはラシェン王の死体を見て、肩を揺らし笑う。

「ずっと、どうすれば良いか悩んでてね──そう、ずっとだ……」

 カールは昔を懐かしむ様な表情を浮かべる。

「俺は子供の頃から王様に憧れててね、最初は純粋な感じで憧れてたよ──子供だったら、一度は物語の勇者や王様に憧れるものだろう?」

 子供の頃の思い出を語るカールは童心に返っている感じであった。

「まぁ、俺も成長するに連れて悟ったんだよ──これは所詮子供の夢だってね……」

 カールの表情はここに来てからコロコロ変わる。

「それから俺は冒険者的なものになってね……俺の家は昔から貧乏だったから手取り早く稼げる職を選んだ結果だけどね──そして、その時にある事があった……」

 ある事……?

「自分自身で言うのもアレだけど、俺は冷酷で冷静でね……その結果、人と親しく付き合うのが苦手なんだよ。パーティに入っては辞めてを繰り返して来た」

 いつも飄々としたカールを見る限り、そんな風には見えない。

「そんな俺にも、心地よい仲間が居たんだよ……」

 カールの表情ではあまり見られない物悲しげな顔付きに、何かがあった事は容易に考えられた。

「俺達パーティは本当に良いパーティだったんだよ。前衛二人と後衛二人でバランスも良かったしチームワークも最高でね」

 そんなパーティに一体……

「ある日、リーダーの案で少し離れた場所に材料を取りに行ったんだよ──そこは誰もが知らない穴場的な場所でね、一儲けする為に俺達四人は数日掛けて向かった」

 すると、カールは少しだけ表情を歪めて、片手で顔を覆う。

「ある時、モンスターに遭遇してしまってね……その時に俺は片腕を折られて、更には仲間の一人であるリサって子が捕食されてしまったんだよ」

 捕食……小型一体に四人は妥当な討伐人数だが、一人を捕食され、成長した小型を三人で相手にするのは難しいだろう……

「その時、俺は柄にも無く焦っちゃってね……絶対死にたくないと思い、逃げ出したんだよ──あはは、生憎と俺は身体強化の足だったから、一人であれば逃げ切れる自信はあったしね……」

 カールは後悔していると言った雰囲気を纏っていた。

「残りの二人が生きているかは、分からないけど恐らく他の二人も……死んでいるかな」
「な、なんで逃げたんだよ?」

 ここに来て初めてカール以外の者が口を開いた。

「あはは、小型に殺されそうになった時に思ったのさ──王様になりたいってね」
「そ、そんな理由で大切な仲間を裏切ったのかよ……」
「そうだね。俺自身も、何故ここまで王様に執着しているのか、その時は分からなかった──けど、今なら分かる」

 ググガの質問にカールの声に熱が入って来るのを感じた。

「俺はきっと認められたかったんだと思う──今までの人生は逃げてばかりだった」

 カールは両手を大きく広げる。

「子供の頃は貧乏で、物を盗んでは逃げていたし。冒険者の時はピンチに会う度に逃げて来た──そうなると、俺の事を誰も認めてくれないんだよ──いや、唯一アイツらだけは認めてくれたけど、それすらも俺が逃げて結局は同じ結果になったな」

 少し自嘲気味に笑うカール。

「だから、俺は王様になる──単純な発想かもしれないが、王様になって全員に俺の事を認めさせてやるのさ」

 承認欲求……人に認めて貰いたい気持ちは誰しもあるかもしれないが、コイツは異常だな……

「ここまで登り詰めるのに、平民出の俺は色々手を回したけど、遂にそれが叶う時が来る……」

 普通に考えれば、ラシェン王が殺された所で、ラシェン王の親類など王族の血筋が後を継ぐでは無いか?

 少しだけ疑問に思ったが、考えるのを直ぐに止める。

 そして、私はカールに話し掛ける。

「そうか。お前の思いやら意思は分かった──私達は当初の目的であったラシェン王の暗殺が完了したから、ここから出て行くとするよ」

 ラシェン王以外であれば、誰が王になろうと別に私達獣人族からしたら関係無い──それが浅はかな考えであっても別にどうだっていい。

 他の皆んなも私の考えと同じの様で、特にカールの言葉を気にする事は無かった。

「あはは、そうかそうか。君達からしたら、他の種族の王様なんて興味は無いか」
「そう言う事だ──それでは私達失礼させて貰う」

 私達が扉に向かって歩き出そうとすると……

「本当にありがとう、君達のお陰でラシェン王の殺害は出来た──けど、ここで帰す訳には行かないんだよね」

 カールの表情が、又もや凶悪な笑みに切り替わるのであった……

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

復讐を果たした騎士は破滅の魔女の生まれ変わりと呼ばれる令嬢に出会う

紙條雪平
恋愛
一人の騎士は復讐を果たした。だが、彼がその時感じたのはこれからどうすればいいのだろうか、という感情であった。彼は逃走し、森の中をさまよう。ここに来なければならないというわけのわからない感情のために。彼はそして、一人の令嬢に出会う。破滅の魔女の生まれ変わりとされ、家族からは愛されずにこの森で過ごしていた彼女と。 彼女は家族への復讐を望んでいた。騎士はそれを引き留めようとする。復讐を果たしたもののとして、復讐ほどどうしようもないものはない、と。 主人公視点で一話主人公以外の視点で一話で基本的には構成されております。最後かなりご都合主義のハッピーエンドとなっております。 小説家になろう様のほうにて加筆修正を加えた改稿版を投稿し始めました。

夕方の怪人とガラス玉の向こうの世界(大戦中のローファンタジー)

Tempp
歴史・時代
ーその茜色の箱の底に見る世界は。 軍靴が静かに迫っている時代。 久子に豆腐を買いに行ってほしいと言われて家を出れば、怪し気な人間が箱の中を見ろという。折しも学校では箱を見せて人をさらうという怪人の噂が流れていた。 全3話。『恒久の月』書籍化記念、発売日まで1日1作短編公開キャンペーン中。6/4の更新。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

処理中です...