392 / 492
第9章
391話
しおりを挟む
「帰すわけには行かないとは、どういう事だ……?」
私達の逃げ場を遮る様にしてカールは少し下がり、扉の前に立ち塞がる。
「君達は俺の為に良く働いてくれたからね……このまま通して上げたいのはやまやまなんだよ?」
ワザとらしく肩を竦めるカール。
「けど、君達を帰しちゃうと、流石に色々不味いでしょ──うん、この状況は不味いねぇ」
全然焦った様子の無いカールは横目でラシェン王の死体を見る。
「はは、お前には悪いけどこの人数相手にどうにかなると思っているのかよ?」
「ググガの言う通りだ、ここは何としても通させて貰うぞ?」
ググガ達四人が戦闘態勢を取る。
「あはは、まぁそうなるよね──けど、俺が何でこんな昔話をしたと思う? ──もちろん、感極まって話したのもあるけど、理由はこれさ……」
カールの言葉に扉からゾロゾロと部下が入って来た。
その中には、私と初日に戦った副隊長の姿も……
「カール様、部下総勢十名到着致しました」
「あはは、ご苦労様、助かったよ」
「ですが、城内に連れて来れたのは十名と少なく、申し訳ありません」
「大丈夫、大丈夫」
部屋の中は遊撃隊で埋め尽くされた。
「シ、シク様、どうする? ──不味い状況だぜ」
どうする……?
部屋にはカールの部下達が武器を構えている。
すると、ガルルが仲間達に向かって口を開く。
「皆んな……シク様だけは……逃すぞッ!」
「「「おうッ」」」
ガルルの言葉に私以外の仲間が一瞬で反応する。
皆の足は淡く光りを帯び、そして気が付いた時には四人がカールの部下達に次々と攻撃を仕掛ける。
「オラッ通せよッ!」
ググガは近くに居た兵士二人に纏めて蹴りを喰らわす。
蹴りを喰らった二人は勢い良く後ろに吹き飛んび、部屋にある家具などを壊す。
攻撃を受けた仲間を見て、他の兵士が驚いているのが感じ取られる。
それも、そうだろう──今までの訓練でガルル達が見せていた威力とは段違いなのだから。
訓練では、制限してスキルを使用していた為、あまりの違いに困惑している兵士達。
「シク様ッ、早くお逃げ下さい!!」
ガルルが叫びながら、次々と兵士を倒していく。
「あはは、強いねぇ……」
部下が次々と倒されているのにも関わらず、そこまで焦りを見せないカールに私は怪訝な表情を浮かべる。
ガルル達は私だけでも逃げろと言っているが、仲間を見捨てて逃げるわけにはいかない──それに気が付けばガルル達四人で、カールの部下達を全員倒してしまった様だ。
そして残ったのはカールと副隊長のみであった。
「まさか、ここまで強いとは……」
副隊長は自分の部下がガルル達に一瞬で倒されたのが信じられない様子である。
「あはは、副隊長落ち着きなよ。確かに予想外だけど今回は戦う場所が悪かったよ」
狭い部屋の中では、人間族の特性であるチームワークが発揮出来ないのが効いたな。
残るは後二人……これなら……
私は足に力を込める。
副隊長は、それなりに強い為、ガルル達でも一瞬で倒す事は出来ないみたいだ。
だが、私ならいけるッ!
未だに、スキル力を制御しきれていなに私だが、副隊長の目の前に一瞬で移動して腹に一撃を与えて気絶させる。
そして、すかさず扉の前に陣取って居たカールに向かって走り出す。
「──ッな?!」
私のスキルを視認したカールはここに来て初めて焦りの表情を浮かべた。
そして、私は拳を副隊長同様にカールの腹に叩き込もうとすると……
「──ッぶないね!」
「ッ?!」
なんと、カールは私の攻撃を避けたのであった。
「今のは危なかった……偵察の時に、君がダブル持ちなのは知っていたけど、まさかここまで早いとは思っても見なかったよ……相当ランクが高いね……」
「でも、避けられた」
「いやいや、副隊長を狙わず最初から俺に攻撃を仕掛けていたら、恐らく避けきれなかっただろうね……」
こいつ、強いな……
しかし、今の目的はカールを倒す事はでは無い。
私の攻撃を避けたカールは扉の前から退いた為、私はガルル達に合図を送る。
「皆ッ、行くぞ!」
ガルルは直ぐに私の意図を汲み取り、皆に声をかけて扉から外に出る。
「あはは、シクさんだっけ? 貴方は何というか不思議な人だ、それに強い。確かに戦闘になったら俺は勝てないだろう」
仲間が全員部屋から出た事を確認した私は自分も後を追う様に足を動かそうとすると、カールが話かけて来た。
「だけど、この城には化け物じみた怖ーいオッサンが居るから、逃げても無駄だよ。諦めて捕まってくれないかい?」
「無理な相談だ」
そう言い残し、私はカールに背を向けて皆の後を追った……
私達の逃げ場を遮る様にしてカールは少し下がり、扉の前に立ち塞がる。
「君達は俺の為に良く働いてくれたからね……このまま通して上げたいのはやまやまなんだよ?」
ワザとらしく肩を竦めるカール。
「けど、君達を帰しちゃうと、流石に色々不味いでしょ──うん、この状況は不味いねぇ」
全然焦った様子の無いカールは横目でラシェン王の死体を見る。
「はは、お前には悪いけどこの人数相手にどうにかなると思っているのかよ?」
「ググガの言う通りだ、ここは何としても通させて貰うぞ?」
ググガ達四人が戦闘態勢を取る。
「あはは、まぁそうなるよね──けど、俺が何でこんな昔話をしたと思う? ──もちろん、感極まって話したのもあるけど、理由はこれさ……」
カールの言葉に扉からゾロゾロと部下が入って来た。
その中には、私と初日に戦った副隊長の姿も……
「カール様、部下総勢十名到着致しました」
「あはは、ご苦労様、助かったよ」
「ですが、城内に連れて来れたのは十名と少なく、申し訳ありません」
「大丈夫、大丈夫」
部屋の中は遊撃隊で埋め尽くされた。
「シ、シク様、どうする? ──不味い状況だぜ」
どうする……?
部屋にはカールの部下達が武器を構えている。
すると、ガルルが仲間達に向かって口を開く。
「皆んな……シク様だけは……逃すぞッ!」
「「「おうッ」」」
ガルルの言葉に私以外の仲間が一瞬で反応する。
皆の足は淡く光りを帯び、そして気が付いた時には四人がカールの部下達に次々と攻撃を仕掛ける。
「オラッ通せよッ!」
ググガは近くに居た兵士二人に纏めて蹴りを喰らわす。
蹴りを喰らった二人は勢い良く後ろに吹き飛んび、部屋にある家具などを壊す。
攻撃を受けた仲間を見て、他の兵士が驚いているのが感じ取られる。
それも、そうだろう──今までの訓練でガルル達が見せていた威力とは段違いなのだから。
訓練では、制限してスキルを使用していた為、あまりの違いに困惑している兵士達。
「シク様ッ、早くお逃げ下さい!!」
ガルルが叫びながら、次々と兵士を倒していく。
「あはは、強いねぇ……」
部下が次々と倒されているのにも関わらず、そこまで焦りを見せないカールに私は怪訝な表情を浮かべる。
ガルル達は私だけでも逃げろと言っているが、仲間を見捨てて逃げるわけにはいかない──それに気が付けばガルル達四人で、カールの部下達を全員倒してしまった様だ。
そして残ったのはカールと副隊長のみであった。
「まさか、ここまで強いとは……」
副隊長は自分の部下がガルル達に一瞬で倒されたのが信じられない様子である。
「あはは、副隊長落ち着きなよ。確かに予想外だけど今回は戦う場所が悪かったよ」
狭い部屋の中では、人間族の特性であるチームワークが発揮出来ないのが効いたな。
残るは後二人……これなら……
私は足に力を込める。
副隊長は、それなりに強い為、ガルル達でも一瞬で倒す事は出来ないみたいだ。
だが、私ならいけるッ!
未だに、スキル力を制御しきれていなに私だが、副隊長の目の前に一瞬で移動して腹に一撃を与えて気絶させる。
そして、すかさず扉の前に陣取って居たカールに向かって走り出す。
「──ッな?!」
私のスキルを視認したカールはここに来て初めて焦りの表情を浮かべた。
そして、私は拳を副隊長同様にカールの腹に叩き込もうとすると……
「──ッぶないね!」
「ッ?!」
なんと、カールは私の攻撃を避けたのであった。
「今のは危なかった……偵察の時に、君がダブル持ちなのは知っていたけど、まさかここまで早いとは思っても見なかったよ……相当ランクが高いね……」
「でも、避けられた」
「いやいや、副隊長を狙わず最初から俺に攻撃を仕掛けていたら、恐らく避けきれなかっただろうね……」
こいつ、強いな……
しかし、今の目的はカールを倒す事はでは無い。
私の攻撃を避けたカールは扉の前から退いた為、私はガルル達に合図を送る。
「皆ッ、行くぞ!」
ガルルは直ぐに私の意図を汲み取り、皆に声をかけて扉から外に出る。
「あはは、シクさんだっけ? 貴方は何というか不思議な人だ、それに強い。確かに戦闘になったら俺は勝てないだろう」
仲間が全員部屋から出た事を確認した私は自分も後を追う様に足を動かそうとすると、カールが話かけて来た。
「だけど、この城には化け物じみた怖ーいオッサンが居るから、逃げても無駄だよ。諦めて捕まってくれないかい?」
「無理な相談だ」
そう言い残し、私はカールに背を向けて皆の後を追った……
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
スライムに転生した俺はユニークスキル【強奪】で全てを奪う
シャルねる
ファンタジー
主人公は気がつくと、目も鼻も口も、体までもが無くなっていた。
当然そのことに気がついた主人公に言葉には言い表せない恐怖と絶望が襲うが、涙すら出ることは無かった。
そうして恐怖と絶望に頭がおかしくなりそうだったが、主人公は感覚的に自分の体に何かが当たったことに気がついた。
その瞬間、謎の声が頭の中に鳴り響いた。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
地味スキル「ためて・放つ」が最強すぎた!~出来損ないはいらん!と追い出したくせに英雄に駆け上がってから戻れと言われても手遅れです~
かくろう
ファンタジー
【ためて・放つ】という地味スキルを一生に一度の儀式で授かってしまった主人公セージ。
そのせいで家から追放され、挙げ句に異母弟から殺されかけてしまう。
しかしあらゆるものを【ためる】でパワフルにできるこのスキルは、最高ランクの冒険者すらかすんでしまうほどのぶっ壊れ能力だった!
命からがら魔物の強襲から脱したセージは、この力を駆使して成り上がっていく事を決意する。
そして命の危機に瀕していた少女リンカニアと出会い、絆を深めていくうちに自分のスキルを共有できる事に気が付いた。
――これは、世界で類を見ない最強に成り上がっていく主人公と、彼の元へ集まってくる仲間達との物語である。
最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~
津ヶ谷
ファンタジー
綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。
ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。
目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。
その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。
その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。
そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。
これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる