過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第9章

392話

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「……なんか、城内が少し騒がしいかしら……?」

 フルメイスの鎧を着たリッテは城を見る。

「シク様達でしょうか?」
「えぇ、多分ね……それかさっき城内に入っていったカールの部下達かしら?」

 決して大きな物音が聞こえる訳ではない。しかし、獣人族であるリッテ達は人間族と違い五感がとても鋭い為、何かを察している様だ。

「それにしても、遅いわね……」
「えぇ、何も無ければ良いですが」
「うふふ、シク様に何かあったら決して許さないわ」

 シク達が城内に入ってから一時間は経過しようかという時間である。

 急に城内から騒がしい鐘の音が鳴り始めた。

「「「ッ?!」」」

 真夜中の静まり返っている所に、似つかわしくない鐘の音が何かがあった事を知らせる。

「リッテさん、どうしますか? ──恐らくシク様の作戦関連だと思います」
「確実にそうね」

 兵士達の格好をしたリッテ達だけでは無く、見えない位置に隠れていたキャリ達も、相当慌てているのが伺える。

 リッテ達が、どう行動するか悩んでいる内に兵士達は次々と集まって来るのが見て分かる。

「キャリッ!」
「は、はい!?」
「ネークさん達に合図を送りなさい」
「で、でもシク様達が、まだ……」
「結果がどうなったかは分からないけど、このままシク様を見捨てるわけにはいかないわ!」
「わ、わかりました!」

 リッテの剣幕に慌てて、キャリと仲間の一人が先程準備した仕掛けを発動していく。

「貴方達は、このまま見張りを続けて頂戴。私は城内に入って様子を見て来るわ」
「「分かりました」」

 仲間達に迅速に指示をしてリッテ自身はシク達の様子を見に行く様だ。

 しかし、城内に足を踏み入れようとすると……

「おい、何があった?」
「「「ッ!」」」

 そこには、大柄な男が立っていた……

 その男は、立派な鎧に身を包んでおり、ただの兵士で無い事が一目で分かる。

 そして、その男の顔を見て、リッテ達は更に驚く……

「グンドウ……」

 リッテ達の中の誰がつぶやいたかは分からないが、ぼそりと口から無意識に出たのだろう。

「ん? なんだって?」

 幸いにも、グンドウは聞き取れなかった様だ。
 そして、城内を見て、鐘の音を聞くグンドウ。

「お前達は見張りの者だな? この鐘はなんの知らせだ?」
「わ、分かりません! 見張りをしていたら、急に鳴り始めました」

 仲間の一人がグンドウに報告する。

「そうか。お前達はこのまま、見張りを続けろ──決して怪しい者達を外に出すなよ?」
「はいッ!」

 そう言って、グンドウは城内に入っていく。

 本来であれば、この城門で止めるのが最善だろう。
 しかし、リッテを初め全員がグンドウを見て悟る。

「む、無理だわ……あんな化け物を相手にするなんて……」

 五感だけでは無く、第六感も優れていると言われる獣人族。
 どうやら、グンドウを一目見て、その強さを悟った様子である。

「リ、リッテさんどうされますか?」
「こ、このまま、ここで待機よ……」

 リッテは考えた──自分が城内に入ってもシク達の足手纏いにしかならないだろうと……

 本当であれば、尊敬して敬愛しているシクの元へと駆け寄りたいリッテである。
 しかし、自身が行った所で恐らく邪魔になるだけであると判断する。

「シク様、一人なら恐らくここから脱出可能……けど、私達が居るとなると別……」

 シクのスキルであれば、ここから脱出は安易だろう。
 あのグンドウ相手にすら逃げるという事に目を向ければ、可能だ──ランクAのシクには誰にも追い付けない。

「でも、シク様は優しい……」

 リッテは理解している──表情をあまり変えない冷酷そうに見えるシクだが、とても仲間思いな事を……

「私達が出来る事は、とにかくシク様の邪魔にならない事……」

 リッテは自分に言い聞かせる様に言葉を繋ぐ。

「そして、シク様に危機が訪れようとしたら、命に替えても守る事……」

 決して仲間達に向かって言ったわけでは無いが……

「リッテさん、分かっていますよ。シク様は我々獣人族の宝ですからね……」
「うふふ。貴方はどうやらシク様の偉大さが、少しは分かっている様ね」
「はは、そうですね」

 城内で一体何が起きているか、分からないがリッテ達は、ただただシク達が作戦を成功させて、無事に戻って来る事を祈る事しか出来ないのであった……
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