過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

文字の大きさ
408 / 492
第10章

407話

しおりを挟む
「お兄さん、まだ着かないのー?」
「いや、そろそろだと思うんだけどな……」

 俺達がエルフの村を出てから、一ヶ月以上経過している。
 目的地に向かう為ひたすら歩き続けている俺達。

「まーだー?」

 ロピは今日、何度めか分からない質問を口にする。

「もう少しだ」
「もー。そればっかり!」

 口を膨らませて、むくれるロピを見て俺は笑う。

「あーッ! 今笑った?!」

 慌てて首を横に振り、否定する。

「嘘だー! 絶対笑った!」
「ほっほっほ。アトス殿はロピ殿の様子を懐かしんでいたのですよ」
「ん? なんで懐かしむのー?」

 ロピが首を傾げる。

「ふむ。先程ロピ殿が口一杯に空気を取り込み、ホッペを膨らます行為ですが、前は良くされておりましたから」
「えー? そうだっけ?」

 リガスは俺が考えていた事を全てロピに話してくれた。

「はは、リガスの言う通り。ロピは良くホッペを膨らませていたからな……それが懐かしくて笑ったんだよ」
「私は無意識やっている事だから全然知らなかった!」

 理由に納得してくれたのか、ロピは直ぐに笑顔に戻り、前を、向いて歩き出す。

 そんな姉を……

「単純な姉さんが、とても素敵です」
「ほっほっほ。それがロピ殿の利点でもありますからな」

 それからも、歩き続ける。
 ロピにはもう少しだと言ったが結局目的地到着したのは、更に二週間程経過した頃であった。

「はは、やっと着いたな」
「ほっほっほ。思ってたより距離がありましたな」
「予想ではもっと早く到着すると思いました」

 リガスとチルは目の前の簡素な村を見る。

 だが、約1名は目の前の村を見るのでは無く、どこかあらぬ所を見ていた。

「「「…………」」」

 俺達三人は一度顔を見合わせてから、代表で俺が声を掛ける。

「ロ、ロピ……? ど、どうしたんだよ、着いたぞ?」
「つーん!」

 俺の言葉を聞いていません! と言う様な態度で華麗に無視を決め込むロピ。

「わ、悪かったよ、もう直ぐとか適当な事を言って」

 どうやら、ロピはもう直ぐ着くと言う言葉を信じたにも関わらず結局二週間経過した事に腹を立てている様だ。

「姉さん、アトス様が謝っているから許してあげて?」
「許せないよッ! 私は今か今かと思いながら歩いていたのに、着いたのは結局二週間後なんだもん!」
「アトス様だって、間違える事はあるよ? 神様だけどミスはするもんだよ?」
「チ、チルちゃん……お兄さんは神様じゃ無いよ……?」
「ううん。アトス様は神様なんだよ? 
これは、何度もお話したよね?」

 何やら、俺に怒っていたロピだったが、今はその事をすっかり忘れて、妹の事を心配そうに見つめる。

「チルちゃん、そろそろ理解しようよッ! お兄さんは人間なんだよ?!」
「はぁ……」

 姉の言葉にチルは首を数度横に振ってから俺の方に身体を向けて、いきなり頭を下げ始めた。

「アトス様、申し訳ございません──私の姉が未だアトス様を神様だと信じてくれません。これも私の信仰心の弱さが原因でしょう」

 チルは、とても申し訳なさそうに口を開く。

「こんなんだけど、一応は私の姉です。どうかお許し下さい──これからは毎日アトス様が如何に神なのかを伝えます」
「チ、チルちゃん……? わ、私は別にチルちゃんから神様のお話なんて聞きたく無いよ……?」
「姉さんは黙ってて」
「はい……」

 妹の圧力に負けたロピはトボトボと俺の所に来た。

「お兄さん、チルちゃんの、この性癖だけは理解出来ないよ」
「俺もだよ……」

 先程までロピは俺に対して怒っていた様子だったが、今はチル悪癖が出て、それどころでは無い様子だ。

「これから毎日、姉さんには朝と夜にアトス様が神である事を説明しないと……睡眠時間は減るけど、姉さんの為ッ!」

 チルがブツブツと呟いている。

「お兄さん、私嫌だよ……夜は早く寝たいし、朝はギリギリまで寝ていたいよー」
「あきらめろ……」
「ほっほっほ。チル様は頑固ですからな──私とアトス殿は先に寝かせて頂き、朝はギリギリまで寝かせて貰いますよ?」
「ッえ?! それはズルイよ!」
「ほっほっほ。安眠を貪りますぞー!」
「うーっ!!」

 リガスは、ここぞと言わんばりにロピを楽しそうに揶揄う。

 リガスを追い掛けようとするが、以前の事を学んだのかロピは出しかけた足を引っ込めて、チルに向かって声を上げた。

「チルちゃーん! 魔族さんも私と一緒にお兄さんの事を毎日聞きたいって!」
「分かった。最近のリガスの態度は目に余る……アトス様の話を聞いて心を浄化するべき」
「あはは、これで魔族さんも一緒に夜は遅くまで起きて、朝は早く起きないとだねー」
「……ほっほっほ。これは一本取られましたな」

 俺達が目的地の目の前で騒いでいると声を掛けられた。

「がははは、もしかしてお前、アトスか?」

 そこにはとても大きな体格をしたオークが現れた……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依
ファンタジー
 氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。  死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。  大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。

お妃さま誕生物語

すみれ
ファンタジー
シーリアは公爵令嬢で王太子の婚約者だったが、婚約破棄をされる。それは、シーリアを見染めた商人リヒトール・マクレンジーが裏で糸をひくものだった。リヒトールはシーリアを手に入れるために貴族を没落させ、爵位を得るだけでなく、国さえも手に入れようとする。そしてシーリアもお妃教育で、世界はきれいごとだけではないと知っていた。 小説家になろうサイトで連載していたものを漢字等微修正して公開しております。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

《戦》いの《鳥》と《少女》たちは二つの世界を舞う

たくみ
ファンタジー
突如現れた異形の怪物達に襲われた王国。 抵抗空しく、最後の時を迎えようとする王国と命運を共にしようとする王女。 だが、王宮に仕える魔法使いに導かれ王女は異世界へと逃れる。 時と場所は変わって現代の日本。 毎夜不思議な夢を見るようになった少女は、肉親に起こったとある変化をきっかけにその運命を大きくかえる事になる。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

処理中です...