記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派

文字の大きさ
109 / 476
第9章 激突・ギャングレオ盗賊団

第110話 ただいま準備中

しおりを挟む
 本日は快晴なり。絶好の喧嘩日和やな。このアジト、地下にあるから天気とか関係あらへんけど。
 でもこういう日にこそゼロラはんが来てほしいもんなんやが……。

「アガ……つ、強い……」
「ば、化け物……だ……」

「な~んで、どこぞの誰とも分からん冒険者なんぞの相手を俺がせにゃならんのや!?」

 ゼロラはんやのうて、弱っちい冒険者が来てもうた。

「そもそもこのアジトの場所は簡単にはバレへんはずやろが!?」
「……そりゃー、カシラがゼロラが来た時分かりやすいようにって『ギャングレオ盗賊団のアジトはこちらです』って書かれた看板を外に設置したからじゃないすか……」

 せやったな、サイバラ。やっぱ外に看板立てるのはアカンわ。余計な輩まで来てまう。
 現在アジトはゼロラはんのために"ギャングレオ流歓迎会"の準備の真っ最中や。おかげで人手が足りんくて、俺まで出張らなあかんようになってもた。

「さてと……サイバラ。気になる歓迎会の準備はどんな感じや?」
「へい。人員の方は一般の若衆を筆頭に、火縄衆、忍衆の配置が完了してます。前線指揮はおれが。補佐としてホクチ、ナンコ、トーカイがつく予定です」

 うむ。人員配置は問題なさそうやな。ゼロラはんの力を試すためには特攻隊長・サイバラをぶつけるので問題ないやろ。

「てやんでい、カシラ! カシラが待ち構える部屋へ案内するための看板の設置が終わったでい!」

 お? もう終わったんか、建設現場主任・ヤカタ。
 俺が『このアジトややこしいから案内ないと迷うな』って言ったばっかりやったのにもう出来上がるとは。その迅速な仕事と高い技術で今やギャングレオ盗賊団の建設部門は稼ぎ頭の筆頭や。
 思えばこいつには何度助けられたことか。

「そもそも敵が来るのに案内表記とかいりますかね?」
「そら、いるやろ。間違って食堂やら大浴場やらに行ってもうたらあかんやろ」
「は~、そうですか~……」

 気だるげやな、サイバラ。グラサンつけてても眉毛が垂れてんのがよう分かるで。

「カシラ。あっしが思うに、アジトに入ったすぐ辺りに『ようこそ、ゼロラ様』って看板を用意するのがいいと思いやすね」

 お? そらええ考えやな、企画営業部長・ネモト。
 アジトを入ってすぐなら余計な冒険者も入ってこんやろうし、『ゼロラ様』って明記しておけば誰宛てのもんかもすぐに分かるな。その痒い所に手が届く発想と管理能力のおかげでギャングレオ盗賊団の運営は成り立ってると言っても過言やない。
 思えばこいつには何度助けられたことか。

「いや、それはいらないでしょ? なんで本気で歓迎ムード出しちゃうんすか?」
「そら、いるやろ。これ"歓迎会"なんやし」
「いや!? 頭に"ギャングレオ流"ってつきますからね!?」

 文句多いな、サイバラ。腹の肉も心なしかいつもより跳ねて見えるぞ。

「おや? 歓迎会の準備は進んでいるようですね」

 お? 帰って来たんやな、参謀長・コゴーダ。
 話を聞くと明日の朝にはゼロラはんが一人でここに来るらしい。流石の交渉術や。他のモンには任せられへん仕事をやってのける。情報収集もできるし、まさにギャングレオ盗賊団のナンバー2ってところやな。
 思えばこいつには何度助けられたことか。

「ッシャア! ゼロラの野郎……今度こそぶちのめしてやるぜ!」

 お? 気合い入っとるな、特攻隊長・サイバラ。
 こいつは……その……なんや? 確かに強いんやけど……とにかくオツム弱いわ、運がないわ、問題ばっかり起こすわ……。とりあえず腕っぷし自体はええから特攻隊長の役職に就けたのはええんやけど……。
 思えばこいつのおかげで助かったことってあったっけ?

「あの? カシラ? 今、おれに対してものすごく失礼なこと思ってません?」
「そら……思うとった」
「そんな! ひどい!」

 まあ、そないなことはどうでもええわ。

「とりあえずこれで準備は整ったで! さあ! "ギャングレオ四天王"ども! この歓迎会を盛大に盛り上げるんやで~!」

 今こそ、幹部の意地の見せ所ってやつや!


「てやんでい? "ギャングレオ四天王"ってなんでい?」
「あっしも初めて聞きやしたね」
「恐らくはまた頭領の思い付きかと」
「この計画自体、ほとんど思い付きで進んでますよね……」

 別にええやろ。なんかええ感じのネーミングやし。

「ほんなら俺は予定通り"炎脈炉"がある部屋で待ち構えとくさかい……いや、待てよ」

 俺が総大将として待ち構えておく"炎脈炉"がある部屋にもなんかドスの聞いたネーミングが欲しいな。ちょっとこいつらにも聞いてみるか。

「てやんでい! だったら『火傷注意・危険地帯』に決まってるでい!」
「あっしはストレートに『ゼロラ様歓迎会会場』がいいと思いやす」
「後ろに『間』は付けたいところですね」
「いいや! ここは荒っぽく、『ここがお前の墓場』だ!」

 見事に意見が分かれてもうた。……最悪、全部混ぜればええか。

「ほな、最後に各々の配置だけ確認しとくか」
「おれが前線に出る以上! ゼロラは必ずぶちのめしてみせますぜ!」

 そうか。まあ、頑張れ。特攻脳筋グラサン半裸隊長。

「私も頭領の部屋の前で待ち構えておきましょう。先程実力を確認したところ、それでも問題ないかと」

 コゴーダが待ち構える程の相手か。そらますます楽しみやな。

「てやんでい。俺とネモト部長は当日のアジト内整備に回るでい」
「まだまだ手が行き届いてないところもありやすからね」
「……って、ヤカタ主任とネモト部長は戦わねえのかよ!?」

 しゃーないやろ。過剰戦力で迎え撃ったら、試す意味なくなってまうやないか。
 あ~……それにしても明日が楽しみや……!

「ちゃ~んとこの"ギャングレオ城"に来てくれや~、ゼロラはん! た~のし~、た~のし~、喧嘩の時間や~!キッシャシャシャシャ!」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!

ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!? 夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。 しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。 うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。 次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。 そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。 遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。 別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。 Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって! すごいよね。 ――――――――― 以前公開していた小説のセルフリメイクです。 アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。 基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。 1話2000~3000文字で毎日更新してます。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ
ファンタジー
10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~ 大筋は変わっていませんが、内容を見直したバージョンを追加でアップしています。単なる自己満足の書き直しですのでオリジナルを読んでいる人は見直さなくてもよいかと思います。主な変更点は以下の通りです。 話数を半分以下に統合。このため1話辺りの文字数が倍増しています。 説明口調から対話形式を増加。 伏線を考えていたが使用しなかった内容について削除。(龍、人種など) 別視点内容の追加。 剣と魔法の世界であるライハンドリア・・・。魔獣と言われるモンスターがおり、剣と魔法でそれを倒す冒険者と言われる人達がいる世界。 高校の休み時間に突然その世界に行くことになってしまった。この世界での生活は10日間と言われ、混乱しながらも楽しむことにしたが、なぜか戻ることができなかった。 特殊な能力を授かるわけでもなく、生きるための力をつけるには自ら鍛錬しなければならなかった。魔獣を狩り、いろいろな遺跡を訪ね、いろいろな人と出会った。何度か死にそうになったこともあったが、多くの人に助けられながらも少しずつ成長し、なんとか生き抜いた。 冒険をともにするのは同じく異世界に転移してきた女性・ジェニファー。彼女と出会い、ともに生き抜き、そして別れることとなった。 2021/06/27 無事に完結しました。 2021/09/10 後日談の追加を開始 2022/02/18 後日談完結しました。 2025/03/23 自己満足の改訂版をアップしました。

処理中です...