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第12章 舞台へ立つために
第161話 手の平で踊れ
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ある日の夜中。バクト公爵邸に"三公爵"が揃って集まっていた。
「どうしたんだ、貴様ら? いつもの威勢はどこへ行った?」
バクトがボーネス公爵とレーコ公爵にキツイ目をニヤつかせながら尋ねる。その問いかけに二人は歯を食い絞めながら堪えるしかなかった。
ボーネス公爵はオジャル伯爵の失態と寝返り、ジャコウの研究の遅れで大きく立場を危うくしていた。
レーコ公爵も同様に勇者レイキースとその仲間たちを誘惑して懐柔したスキャンダルが表に出てしまい、火消しに追われてピンチから脱し切れていない。
"三公爵"内での立場はバクトの圧倒的優勢。
その状況を二人は歯痒く見ているしかできないでいた。
「……今日は貴様らに協力してほしくて集まってもらったんだがな」
「協力……だと?」
今この現状でバクトが他の二人に協力など申し出る必要性が感じられない。ボーネス公爵は怪しんだ。
「ガルペラ侯爵の改革活動は知っているな?」
「ええ。なんでも"貴族制度の撤廃"を狙っているそうね。本当に馬鹿な小娘ね。そんなことをして何になるのかしら?」
レーコ公爵もバクトの協力要請に違和感を覚えたが、ガルペラの改革活動について問われたので素直に答えた。
「わしが最近聞いた話だが、方々の街や村を回って改革のための署名活動をしているそうだな」
「ああ、そうだ。仮にそんなことが実現してしまえば、"三公爵"も意味をなさなくなる」
ボーネス公爵もガルペラの動きについてはある程度把握している。そこへバクトは危機感を募らせるような発言を交える。
「協力というのは他でもない。ガルペラ侯爵を潰すのに協力してほしい」
「潰すと言っても……具体的にどうするのかしら?」
「近々オジャル伯爵を通して、"円卓会議"を開かせる。その場にガルペラ侯爵にも出てきてもらう」
「まさか……その場でガルペラの権威を失墜させる気か?」
バクトの提案にレーコ公爵とボーネス公爵は驚きながらも考え込む。
今やガルペラの勢力は無視できない存在だ。
仮にガルペラの改革が実現してしまえば、これまで自分達が私欲のために作り上げた貴族社会そのものが崩壊してしまう。
そうなってしまえばバクトがいくら"三公爵"で優勢を誇っていても、無意味になってしまう。
だが、二人はバクトが権力の座にまるで興味がないことも、裏でガルペラと結託していることも知らなかった。
「今回ばかりは俺も"手札"を使わせてもらおう。俺の"手札"――ギャングレオ盗賊団をな」
「やはりギャングレオ盗賊団はお主の差し金じゃったか……」
「でもそこまでやるってことは、相当本気なのね?」
これまで大っぴらにしてこなかったバクトの"手札"、ギャングレオ盗賊団。
バクトがその名を口にしたことが二人に対して本気度を高めさせた。
本当の思惑など知らず、『本気でガルペラ侯爵を潰す』と思い込んでいた。
「別に手を貸さないというならばそれでもいい。だが、このまま待っているだけでは"三公爵"も他の貴族も終わりだぞ?」
畳みかけるようにバクトが二人の不安を煽る。
確かにこのまま待っているだけではガルペラによってそう遠くない未来、自分達の立場は今よりさらに悪くなってしまう。この話に乗らない手はない。
バクトも自らギャングレオ盗賊団を"手札"と明言してしまった以上、そのことを突き詰めることでバクトも後で蹴落とせる。起死回生のチャンスにもなりうる。
ボーネス公爵もレーコ公爵も、バクトの提案に乗るしかなかった。それが全て罠だとも知らずに。
「分かった。わしもバクト公爵に従い、"円卓会議"に出席しよう」
「ええ、そうね。私も今回ばかりは協力してあげるわ」
二人の了承を得られた。これでボーネス公爵もレーコ公爵も"円卓会議"に出席する。
バクトの準備がここに整った。
「"円卓会議"は五日後を予定している。貴様らには当日、存分に働いてもらうぞ?」
全てがバクトの思惑通りに動いていると知らぬまま、ボーネス公爵とレーコ公爵は屋敷を後にした。
「馬鹿なジジイとババアだ。貴様らはただ、この俺の手の平で踊っていればいい」
「どうしたんだ、貴様ら? いつもの威勢はどこへ行った?」
バクトがボーネス公爵とレーコ公爵にキツイ目をニヤつかせながら尋ねる。その問いかけに二人は歯を食い絞めながら堪えるしかなかった。
ボーネス公爵はオジャル伯爵の失態と寝返り、ジャコウの研究の遅れで大きく立場を危うくしていた。
レーコ公爵も同様に勇者レイキースとその仲間たちを誘惑して懐柔したスキャンダルが表に出てしまい、火消しに追われてピンチから脱し切れていない。
"三公爵"内での立場はバクトの圧倒的優勢。
その状況を二人は歯痒く見ているしかできないでいた。
「……今日は貴様らに協力してほしくて集まってもらったんだがな」
「協力……だと?」
今この現状でバクトが他の二人に協力など申し出る必要性が感じられない。ボーネス公爵は怪しんだ。
「ガルペラ侯爵の改革活動は知っているな?」
「ええ。なんでも"貴族制度の撤廃"を狙っているそうね。本当に馬鹿な小娘ね。そんなことをして何になるのかしら?」
レーコ公爵もバクトの協力要請に違和感を覚えたが、ガルペラの改革活動について問われたので素直に答えた。
「わしが最近聞いた話だが、方々の街や村を回って改革のための署名活動をしているそうだな」
「ああ、そうだ。仮にそんなことが実現してしまえば、"三公爵"も意味をなさなくなる」
ボーネス公爵もガルペラの動きについてはある程度把握している。そこへバクトは危機感を募らせるような発言を交える。
「協力というのは他でもない。ガルペラ侯爵を潰すのに協力してほしい」
「潰すと言っても……具体的にどうするのかしら?」
「近々オジャル伯爵を通して、"円卓会議"を開かせる。その場にガルペラ侯爵にも出てきてもらう」
「まさか……その場でガルペラの権威を失墜させる気か?」
バクトの提案にレーコ公爵とボーネス公爵は驚きながらも考え込む。
今やガルペラの勢力は無視できない存在だ。
仮にガルペラの改革が実現してしまえば、これまで自分達が私欲のために作り上げた貴族社会そのものが崩壊してしまう。
そうなってしまえばバクトがいくら"三公爵"で優勢を誇っていても、無意味になってしまう。
だが、二人はバクトが権力の座にまるで興味がないことも、裏でガルペラと結託していることも知らなかった。
「今回ばかりは俺も"手札"を使わせてもらおう。俺の"手札"――ギャングレオ盗賊団をな」
「やはりギャングレオ盗賊団はお主の差し金じゃったか……」
「でもそこまでやるってことは、相当本気なのね?」
これまで大っぴらにしてこなかったバクトの"手札"、ギャングレオ盗賊団。
バクトがその名を口にしたことが二人に対して本気度を高めさせた。
本当の思惑など知らず、『本気でガルペラ侯爵を潰す』と思い込んでいた。
「別に手を貸さないというならばそれでもいい。だが、このまま待っているだけでは"三公爵"も他の貴族も終わりだぞ?」
畳みかけるようにバクトが二人の不安を煽る。
確かにこのまま待っているだけではガルペラによってそう遠くない未来、自分達の立場は今よりさらに悪くなってしまう。この話に乗らない手はない。
バクトも自らギャングレオ盗賊団を"手札"と明言してしまった以上、そのことを突き詰めることでバクトも後で蹴落とせる。起死回生のチャンスにもなりうる。
ボーネス公爵もレーコ公爵も、バクトの提案に乗るしかなかった。それが全て罠だとも知らずに。
「分かった。わしもバクト公爵に従い、"円卓会議"に出席しよう」
「ええ、そうね。私も今回ばかりは協力してあげるわ」
二人の了承を得られた。これでボーネス公爵もレーコ公爵も"円卓会議"に出席する。
バクトの準備がここに整った。
「"円卓会議"は五日後を予定している。貴様らには当日、存分に働いてもらうぞ?」
全てがバクトの思惑通りに動いていると知らぬまま、ボーネス公爵とレーコ公爵は屋敷を後にした。
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