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第12章 舞台へ立つために
第160話 将来設計
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「う……うまい……! うますぎる……!」
俺は買ったたこ焼きの味に戦慄を覚えた。
外のカリカリとした焼き具合、中の熱々トロトロ加減、絶妙なタコのサイズ。全てが衝撃的だった。
たこ焼き自体にいい出汁が効いているので、ソースやマヨネーズをかけなくてもおいしい。もちろんかけてもそれはそれで絶品だ。
「どうです? 味には自信があるんですよ?」
「ああ……。実にうまかった。また食べたいもんだ」
もし改革が上手くいって、こういう商品がさらに世に出回りやすくなれば、この国はよりよく発展していくだろう。
そう思った俺は店員夫婦に署名をお願いした。夫婦は快く署名してくれた。
「もしこの話がうまくいけば、私の父にも元のような生活をさせることができそうです」
旦那さんの話では実父は元々武術の有識者だったらしいが、貴族が私欲を肥やすようになってかなり苦しい生活をするようになってしまったそうだ。
「義父には旦那との歳の差結婚も認めてもらいましたしね」
嫁さんはどうやら旦那さんの十歳年上で最初は結婚に反対されるかと思っていたが、義父は快く了承してくれたそうだ。
――ん? 『旦那さんの実父は武術の有識者』? 『嫁さんは旦那さんより十歳年上』?
どこかでそんな話を聞いたことがあるような――
「あれ? ゼロラさんじゃん? ウォウサカで会うとはまたまた奇遇じゃん」
――思い出した。あの時はチャン老師の戯言と思って軽く聞き流していたが、ここにジャンがいるということは、つまり――
「ゼロラさんも父ちゃんと母ちゃんの店のたこ焼き買ってくれたじゃんか!」
この夫婦……やっぱりお前の両親だったか! オ・レイ・ジャン!
「おや? 息子の知り合いでしたか。私は父のオ・トゥー・サンと言います」
「これは本当に奇遇でしたね。私はジャンの母、オ・カー・サンです」
そして当たり前のように紛らわしい名前をしてるな!?
父親の方は分かるが、なんで母親の方まで似たように紛らわしい名前してるんだよ!? あんたはチャン老師ことオ・ジー・チャンとは血縁ないだろ!?
「ゼロラさんって時々頭痛そうな顔するじゃん。大丈夫じゃん?」
「ああ……大丈夫だ。軽く混乱しただけだ……」
この家系の名前のことはもう知らん。
「そんなことよりゼロラさん。よければゼロラさんもたこ焼き作りに挑戦してみるじゃん?」
……それは少し興味があるな。俺はお言葉に甘えてたこ焼きを作らせてもらうことにした。
■
「おぉ、ゼロラはん。思ったより長いことブラついとったみたいやな」
俺とシシバはお互いに役目を終えて予約しておいた宿で合流した。
「すまんな。こっちも署名を集められる目処がたったもんでな」
「ほー! これは粉モン街の連中やな! あっちの方は俺もあんま行ってなかったから盲点やったわ」
あの後、俺はジャンの両親の周りの店にも署名をお願いし、結構な数を集めることができた。
「それとこいつは土産だ」
「たこ焼きやんか。……ふむ。こりゃうまいやないか」
シシバもたこ焼きに満足しているようだ。
「実はな、そのたこ焼き……俺が作った」
「……ウォウサカに初めて来て観光すんのは分かるが、たこ焼き作る奴がおるとは思わんかったわ」
シシバの顔はやや呆れ気味だ。別にいいだろう。結構うまく作れたんだし。
「シシバ。俺はこの改革が上手くいったら……たこ焼き屋を始めようと思う」
将来的なことを考えればいつまでもガルペラの世話になるわけにはいかない。
俺はいずれ自分のたこ焼き屋を持とうと決意した。
「……あんさん、何目指しとるんや?」
俺は買ったたこ焼きの味に戦慄を覚えた。
外のカリカリとした焼き具合、中の熱々トロトロ加減、絶妙なタコのサイズ。全てが衝撃的だった。
たこ焼き自体にいい出汁が効いているので、ソースやマヨネーズをかけなくてもおいしい。もちろんかけてもそれはそれで絶品だ。
「どうです? 味には自信があるんですよ?」
「ああ……。実にうまかった。また食べたいもんだ」
もし改革が上手くいって、こういう商品がさらに世に出回りやすくなれば、この国はよりよく発展していくだろう。
そう思った俺は店員夫婦に署名をお願いした。夫婦は快く署名してくれた。
「もしこの話がうまくいけば、私の父にも元のような生活をさせることができそうです」
旦那さんの話では実父は元々武術の有識者だったらしいが、貴族が私欲を肥やすようになってかなり苦しい生活をするようになってしまったそうだ。
「義父には旦那との歳の差結婚も認めてもらいましたしね」
嫁さんはどうやら旦那さんの十歳年上で最初は結婚に反対されるかと思っていたが、義父は快く了承してくれたそうだ。
――ん? 『旦那さんの実父は武術の有識者』? 『嫁さんは旦那さんより十歳年上』?
どこかでそんな話を聞いたことがあるような――
「あれ? ゼロラさんじゃん? ウォウサカで会うとはまたまた奇遇じゃん」
――思い出した。あの時はチャン老師の戯言と思って軽く聞き流していたが、ここにジャンがいるということは、つまり――
「ゼロラさんも父ちゃんと母ちゃんの店のたこ焼き買ってくれたじゃんか!」
この夫婦……やっぱりお前の両親だったか! オ・レイ・ジャン!
「おや? 息子の知り合いでしたか。私は父のオ・トゥー・サンと言います」
「これは本当に奇遇でしたね。私はジャンの母、オ・カー・サンです」
そして当たり前のように紛らわしい名前をしてるな!?
父親の方は分かるが、なんで母親の方まで似たように紛らわしい名前してるんだよ!? あんたはチャン老師ことオ・ジー・チャンとは血縁ないだろ!?
「ゼロラさんって時々頭痛そうな顔するじゃん。大丈夫じゃん?」
「ああ……大丈夫だ。軽く混乱しただけだ……」
この家系の名前のことはもう知らん。
「そんなことよりゼロラさん。よければゼロラさんもたこ焼き作りに挑戦してみるじゃん?」
……それは少し興味があるな。俺はお言葉に甘えてたこ焼きを作らせてもらうことにした。
■
「おぉ、ゼロラはん。思ったより長いことブラついとったみたいやな」
俺とシシバはお互いに役目を終えて予約しておいた宿で合流した。
「すまんな。こっちも署名を集められる目処がたったもんでな」
「ほー! これは粉モン街の連中やな! あっちの方は俺もあんま行ってなかったから盲点やったわ」
あの後、俺はジャンの両親の周りの店にも署名をお願いし、結構な数を集めることができた。
「それとこいつは土産だ」
「たこ焼きやんか。……ふむ。こりゃうまいやないか」
シシバもたこ焼きに満足しているようだ。
「実はな、そのたこ焼き……俺が作った」
「……ウォウサカに初めて来て観光すんのは分かるが、たこ焼き作る奴がおるとは思わんかったわ」
シシバの顔はやや呆れ気味だ。別にいいだろう。結構うまく作れたんだし。
「シシバ。俺はこの改革が上手くいったら……たこ焼き屋を始めようと思う」
将来的なことを考えればいつまでもガルペラの世話になるわけにはいかない。
俺はいずれ自分のたこ焼き屋を持とうと決意した。
「……あんさん、何目指しとるんや?」
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