記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派

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第19章 光と闇の交差点

第252話 魔幻塔夢幻戦②

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 黒蛇部隊――
 隊長のジフウと一緒に魔幻塔に入って来たと聞いていたが、どうも様子がおかしい。
 目元は暗い影で覆われ、どこか虚ろな瞳をしている。
 まさかこいつらもこの闇に操られているのか……!?

「おい! 何があったんだ!? しっかりしろ!」
「おいどもに関係さなかばい……! <ナイトメアハザード>の意思さため、おまんらぶっ潰すばい……!」

 副隊長であるポールを始め、黒蛇部隊はこちらの話に聞く耳を持たない。
 どうやら本当に操られているようだ……!

 黒蛇部隊の四人はこちらに対して身構え、今にも襲い掛かろうとしてくる――

「レッツ! ドゥーイット!」
「押忍! ぶっ潰、押忍!」
「……消えロ!」
「おまんら! かかるばい!」

 そして四人が一斉に俺へと飛び掛かってきた!
 黒蛇部隊の個々の能力は魔幻塔の兵隊よりも高い! その四人が各々の技を駆使して一斉に襲い掛かる!

「ゼ、ゼロラさん!!?」
「安心しろ! マカロン! なんとか対抗はできる!」

 黒蛇部隊は確かに強敵だ。
 ――だが、以前バクトの屋敷で戦った時ほどの脅威はない。

 この闇に操られているためだろう。
 黒蛇部隊最大の武器とも言える"連携"が取れていないのだ。
 操られている影響でどれだけダメージを与えてもすぐに立ち上がってくるが、返り討ちにする分には問題ない。

「な……なぜけん!? なんばおいどもさ力通用せんばい!?」
「操られているだけのお前らじゃ、俺には勝てねえよ」

 ――それでも面倒なことには変わりない。
 連携こそ取れていないが、他の兵隊達と同じように倒しても倒しても何度も立ち上がってくる。
 このままこいつら相手に消耗するわけにはいかない……!
 だが、このままでは――



「……お願い! ゼロラさんを守って!!」

 ――そこへ飛び込んできたマカロンの言葉。
 マカロンは俺がプレゼントしたブローチを掲げて、魔法を唱え始めていた。

 キィイイン――

 そしてブローチから放たれる、白く輝く光の波動。
 その光は俺の両手両足を優しく包み込む。
 どこか暖かくて優しい光の波動――

「ゼロラさん! 確信はありませんが……それで攻撃してください! この闇が――洗脳がリョウさんの魔法によるものなら、それで払うことができるはずです!」

 マカロンがブローチを媒体にして俺にかけた光魔法。
 俺にも不思議と理解できた。
 ――この力なら、黒蛇部隊を狂わせている闇を払うことができる!

「ドント、ウォーリー! ザッツは意味ナッシングね!」
「押忍! 俺達の力こそ最強で、押忍!」
「……抗うナ!」
「ぎたんぎたんさ、やっちゃるばい!」

 再び単調かつ単純な動きで俺へと襲い掛かる黒蛇部隊。

 ――悪いが、もう少しだけ痛い目を見てもらうぜ?

「ドォォウラァァアア!!」

 バキンッ!

 アーサーの<合気道>による返し技でも追いつけないほどの速さで拳を振りぬき――

 ズドォン!

 トムの<琉球空手>の一撃が入る前に投げ飛ばし――

 メキャァアン!

 ボブが<ルチャリブレ>の技を使うために空中に飛び上がった間に蹴り落とし――

 ドゴォオン!!

 ポールが<ブラジリアン柔術>で組みかかってくる前に正拳突きで吹き飛ばす――

「……終わりだ」

 四人は俺の攻撃で地面に倒れ伏す。
 今度はさっきのように起き上がってくる様子がない。

 次第に倒れた四人の体から闇のような抜けていき、少しずつ立ち上がる。





「ホ、ホワッツ? 一体何がハープンね?」
「お、押忍……。何か悪い夢でも見ていたようで……押忍」
「……操られていた……のカ?」
「ど、どうやらそんようばい。おいども黒蛇部隊とすたことが不覚ばい……」

 ――どうやら黒蛇部隊の四人は正気に戻ったようだ。

「大丈夫か? ちょいと手荒な方法をとったが、元に戻ったんだな?」
「ゼ、ゼロラ? なんげおるさ知らんが、助かったばい……」

 四人の様子を確認するがさっきまでのような目元の影はなくなり、瞳も元に戻っている。

「一体何があったんだ? どうして俺達を襲ってきた?」
「……俺達はジフウ隊長と一緒にリョウ大神官のいる屋上へと向かっていタ。だが、途中で俺達四人はこの闇に飲み込まれて、隊長とも分断されタ。そこから先のことはよく覚えていなイ……」

 やはりこの四人がおかしくなってしまったのはこの闇に原因があるようだ。
 ――つまり理由はどうあれ、リョウがこの事態を引き起こしている。

「押忍……。俺達がこの先に行っても足手まといで、押忍。ゼロラ、本来敵同士である俺達が頼めた義理ではないが、リョウ大神官を――ジフウ隊長の妹を助けてほしいで、押忍」
「ミー達はここでクレイジーソルジャーの足止めをするね。この先はシャドウパワーがさらにアップしてるけど、そこのガールのライトパワーがある二人ならオーケーね」

 黒蛇部隊は俺達に願い出た後、後方を振り向く。
 マカロンが作った光の壁が破られたのか、魔幻塔の兵隊が再び後ろから迫ってきている。

「……分かった。俺達も元々リョウを助けるためにここまで来たんだ。ここのことは任せるぞ!」
「任せんしゃい! 闇に飲まれんように注意さすれば、足止めさ問題ないけ!」

 黒蛇部隊の四人は俺達にリョウのことを託し、後方の兵隊へと向かって行った。

「行きましょう、ゼロラさん。あの人達が足止めしてくれている間に、急いでリョウさんの元に!」
「ああ。急ぐぞ! マカロン!」

 この闇は異常だ。こんなものがこの国を――世界を覆いつくしてしまえば、世の中が終わってしまう。
 この先にいるはずのジフウとシシバとも早く合流して、リョウを止めないと……!
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