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第19章 光と闇の交差点
第253話 魔幻塔夢幻戦③
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俺とマカロンは屋上目指して魔幻塔の階段を駆け上がる。
黒蛇部隊が足止めしてくれているおかげで、敵は少なくなっていた。
だが、相変わらず辺りにはリョウの放つ闇が漂っている。
その濃度は屋上へと近づくほどに濃いものとなっている。
リョウ……本当に何があったんだ……?
「ヒーヒヒヒ! ワシの開発した新たなる闇の力! <ナイトメアハザード>の力を見るがよいわァアア!!」
屋上近くの開けた部屋から誰かの声がした。
俺も聞いたことのある声だ。胸糞の悪くなるようなこの声の主は確か――
「く、くそがぁ……! ジャコウ……てめぇ、リョウに何を……!?」
「あの女には生贄になってもらったのじゃ! このワシの最高傑作のなァア!!」
ルクガイア王国騎士団軍師――ジョコウ!
その周囲には、以前ダウンビーズで俺とロギウスを襲ってきた連中と同じ漆黒のローブを身に纏った五人。
――そしてその眼前で膝をついているのは、黒蛇部隊の隊長であり、リョウの兄の一人、ジフウだった。
「おい、ジフウ! これはどうなってるんだ!? お前ほどの男がジャコウごときに――」
「ゼロラか……。来てくれてよかったぜ。お前なら事態を聞けば来てくれると信じてたしな」
ジフウはまだ戦えるだけの体力は残っているようだが、かなり押されていたようだ。
ジャコウを含む六人相手になんとか持ちこたえていたのか……。
「シシバは? 弟のシシバはどうしたんだ?」
「あいつは先に進めた。……だが、俺の方はこのジャコウどもに邪魔されて足止め食らっちまってる。おそらくこいつらは……"ルクガイア暗部"の連中だ!」
ルクガイア暗部……。
おそらく俺とロギウスが戦った六人の追跡者と同じ連中だろう。
一人足りないが、こいつらはやはりルクガイア暗部のメンバーだったのか。
「ジャコウも部下の五人も想像以上の強さだ……。リョウが放ってるこの闇に完全に飲み込まれたせいで、限界以上の力を引き出してやがる……!」
「やっぱりこの闇はリョウが放っているものなんだな……」
「ああ。そしてリョウにこんなことをさせている張本人……。それが今俺達の前にいるジャコウのクソ野郎だ!!」
ジャコウ……。最初に会った時から<魔王の闇>を使ったヤバイ研究をしていたいけ好かない野郎だったが、リョウまで犠牲にしやがって……!
許せない……!!
「フン! いつぞやのチンピラまで出てきおったカ! じゃが無駄じゃ! 無駄も無駄じゃ! 今のワシの力なら、貴様ら全員を始末することなど造作もないワ!!」
ジャコウはこちらを嘲笑いながら、周囲の闇を自身と部下五人に纏わりつかせる。
こいつ自身もリョウの闇によって操られているのだろう。
リョウを犠牲にして作り出した自らの研究で操られるとは、何とも愚かな奴だ。
――憐れむ気は毛頭ないがな。
「ゼロラさん……! あの人が……あの人がリョウさんにこんな酷いことをさせている張本人なんですね……!!」
マカロンも怒り心頭といった表情でジャコウを睨みつけている。俺も同じ気持ちだ。
リョウを止めるためにも、ここでこのクソ軍師はぶちのめす必要があるな……!
「マカロン。さっきの光魔法をもう一度頼む。こいつはここでぶちのめす」
「分かりました。ゼロラさん……お願いします!」
「え? 光魔法? なんでマカロンがそんなものを――」
マカロンが光魔法を使えることを不思議がるジフウだったが、今は説明している余裕もない。
俺の両手両足に再びマカロンの光魔法が纏われる。
「ジフウ、説明は後だ。今はマカロンの力を信じてくれ。俺達二人はリョウを止めるためにここまで来たんだ」
「……分かった。お前がこんなところに女を連れ込むことには、相応の訳があるんだろうよ。俺も援護する。あのフナ虫野郎をぶっ潰すぞ!」
ジフウも細かい事情は抜きにして、リョウを助けるためにも俺達に協力してくれる。
「<龍の宣告>!!」
ジフウの<龍の宣告>によって左腕へと纏われる青い風魔法。
ジフウは俺の後ろへ回り、いつでも援護できる体勢をとった。
「俺が突っ込んでも、ジャコウの二の舞になりそうだ。あの闇に飲みこまれるわけにはいかねえ。直接ジャコウをぶっ飛ばすのはお前らに任せるぞ!」
「ああ、頼んだ! マカロン! お前は防御を優先してくれ!」
「はい!」
俺達三人はそれぞれ目の前の六人を倒す準備を整える。
ルクガイア王国騎士団軍師、ジャコウ!
てめぇがただ操られているだけにしても……この落とし前はキッチリ付けてもらう!!
黒蛇部隊が足止めしてくれているおかげで、敵は少なくなっていた。
だが、相変わらず辺りにはリョウの放つ闇が漂っている。
その濃度は屋上へと近づくほどに濃いものとなっている。
リョウ……本当に何があったんだ……?
「ヒーヒヒヒ! ワシの開発した新たなる闇の力! <ナイトメアハザード>の力を見るがよいわァアア!!」
屋上近くの開けた部屋から誰かの声がした。
俺も聞いたことのある声だ。胸糞の悪くなるようなこの声の主は確か――
「く、くそがぁ……! ジャコウ……てめぇ、リョウに何を……!?」
「あの女には生贄になってもらったのじゃ! このワシの最高傑作のなァア!!」
ルクガイア王国騎士団軍師――ジョコウ!
その周囲には、以前ダウンビーズで俺とロギウスを襲ってきた連中と同じ漆黒のローブを身に纏った五人。
――そしてその眼前で膝をついているのは、黒蛇部隊の隊長であり、リョウの兄の一人、ジフウだった。
「おい、ジフウ! これはどうなってるんだ!? お前ほどの男がジャコウごときに――」
「ゼロラか……。来てくれてよかったぜ。お前なら事態を聞けば来てくれると信じてたしな」
ジフウはまだ戦えるだけの体力は残っているようだが、かなり押されていたようだ。
ジャコウを含む六人相手になんとか持ちこたえていたのか……。
「シシバは? 弟のシシバはどうしたんだ?」
「あいつは先に進めた。……だが、俺の方はこのジャコウどもに邪魔されて足止め食らっちまってる。おそらくこいつらは……"ルクガイア暗部"の連中だ!」
ルクガイア暗部……。
おそらく俺とロギウスが戦った六人の追跡者と同じ連中だろう。
一人足りないが、こいつらはやはりルクガイア暗部のメンバーだったのか。
「ジャコウも部下の五人も想像以上の強さだ……。リョウが放ってるこの闇に完全に飲み込まれたせいで、限界以上の力を引き出してやがる……!」
「やっぱりこの闇はリョウが放っているものなんだな……」
「ああ。そしてリョウにこんなことをさせている張本人……。それが今俺達の前にいるジャコウのクソ野郎だ!!」
ジャコウ……。最初に会った時から<魔王の闇>を使ったヤバイ研究をしていたいけ好かない野郎だったが、リョウまで犠牲にしやがって……!
許せない……!!
「フン! いつぞやのチンピラまで出てきおったカ! じゃが無駄じゃ! 無駄も無駄じゃ! 今のワシの力なら、貴様ら全員を始末することなど造作もないワ!!」
ジャコウはこちらを嘲笑いながら、周囲の闇を自身と部下五人に纏わりつかせる。
こいつ自身もリョウの闇によって操られているのだろう。
リョウを犠牲にして作り出した自らの研究で操られるとは、何とも愚かな奴だ。
――憐れむ気は毛頭ないがな。
「ゼロラさん……! あの人が……あの人がリョウさんにこんな酷いことをさせている張本人なんですね……!!」
マカロンも怒り心頭といった表情でジャコウを睨みつけている。俺も同じ気持ちだ。
リョウを止めるためにも、ここでこのクソ軍師はぶちのめす必要があるな……!
「マカロン。さっきの光魔法をもう一度頼む。こいつはここでぶちのめす」
「分かりました。ゼロラさん……お願いします!」
「え? 光魔法? なんでマカロンがそんなものを――」
マカロンが光魔法を使えることを不思議がるジフウだったが、今は説明している余裕もない。
俺の両手両足に再びマカロンの光魔法が纏われる。
「ジフウ、説明は後だ。今はマカロンの力を信じてくれ。俺達二人はリョウを止めるためにここまで来たんだ」
「……分かった。お前がこんなところに女を連れ込むことには、相応の訳があるんだろうよ。俺も援護する。あのフナ虫野郎をぶっ潰すぞ!」
ジフウも細かい事情は抜きにして、リョウを助けるためにも俺達に協力してくれる。
「<龍の宣告>!!」
ジフウの<龍の宣告>によって左腕へと纏われる青い風魔法。
ジフウは俺の後ろへ回り、いつでも援護できる体勢をとった。
「俺が突っ込んでも、ジャコウの二の舞になりそうだ。あの闇に飲みこまれるわけにはいかねえ。直接ジャコウをぶっ飛ばすのはお前らに任せるぞ!」
「ああ、頼んだ! マカロン! お前は防御を優先してくれ!」
「はい!」
俺達三人はそれぞれ目の前の六人を倒す準備を整える。
ルクガイア王国騎士団軍師、ジャコウ!
てめぇがただ操られているだけにしても……この落とし前はキッチリ付けてもらう!!
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