記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派

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第22章 改革の歌

第301話 改革の序曲

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「さあ、夜明けじゃ! 五番隊、六番隊、七番隊! 出撃じゃー!」

 夜明けと共に王都の門が開く。
 そこからジャコウの号令の元、大勢の騎士が進軍を開始する。
 まず動いたのはルクガイア王国騎士団の三部隊。
 この王都を目指して進軍してくるであろうギャングレオ盗賊団を倒すために動き始める。

「【虎殺しの暴虎】サイバラ! わしの計画通りに、まずは七番隊を迂回させるのじゃ!」
「進言したのはオレなんスが……かしこまりました」

 ジャコウはサイバラに七番隊の先導を任せ、ギャングレオ盗賊団の後方へと回り込むよう指示した。
 正面から五番隊と六番隊。後方からの七番隊。
 これらで挟み撃ちにしてしまえば、半壊したギャングレオ盗賊団を蹂躙することなど容易いとジャコウは考えていた。

 だがそもそもこの作戦を立案したのは、七番隊を先導しているサイバラ本人。
 サイバラにはギャングレオ盗賊団どころか、他で潜伏している改革派の動きも全て把握している。

 ――まずは七番隊を罠に嵌めるため、サイバラは漆黒のローブで顔を含む全身を隠しながら七番隊の先頭を歩いて行った。





「サイバラ……だったな? 一体どこまで行くつもりだ?」
「あー……。もうちょっとッスかねぇ」

 七番隊の隊長はひたすらに平原を歩き続けるサイバラに尋ねた。
 どこまで行ってもギャングレオ盗賊団の後ろを捕らえることなどできない、この状況――
 いくらサイバラが現在王国騎士団の指揮件を握るジャコウの配下とはいえ、流石に不審に思い始めた。

「……着いたッスね。……お前らぁ! 出てこぉい!!」

 サイバラは目的の場所に着くと、辺りにいる誰かへと号令をかけた。



「サイバラの兄貴! 待ってたでヤンス!」
「こっちは準備万端でゴンス!」
「ありったけ用意してあるでアリンス!」

 サイバラの号令を聞いて現れたのは、"ギャングレオ盗賊団"としての配下三人だった。
 三人の手元には大量の砲弾が乗った台車が用意されていた。
 その姿を確認したサイバラは、ローブを脱ぎ捨てて呼び出した三人の元へと歩み寄る。



 ――そして、七番隊に対して向かい合った。

「さーてとぉ……。早速始めるとするかぁ……!」
「お、おい!? サイバラ!? これは一体どういうことだ!?」

 完全に自分達と敵対する様子を見せるサイバラに、七番隊は動揺が走る。

「どうもこうもねぇだろがぁ! オレはもうとっくにルクガイア暗部に辞表は叩きつけておいたんだぜぇ! 受理されたかは知らねぇけどなぁ!! ダーハハハ!!」

 サイバラは七番隊の面々を嘲笑い、両手に部下が用意した砲弾を手に取る。

「てめぇら全員この【虎殺しの暴虎】――ギャングレオ盗賊団特攻隊長のサイバラ様が相手してやるよぉお!! シャラァアア!!」

 その宣戦布告と同時に、サイバラは両手に持った砲弾を七番隊へと投げつける。



 ドガァアン! ドガァアン!

「な、なんだと!? 素手で砲弾をこのスピードで!?」

 サイバラが投げた砲弾は猛スピードで七番隊を襲い、着弾と同時に爆発していく。
 そのスピードは普通の砲撃以上。サイバラ自身が砲台を担っている。

 そんな砲弾の嵐を、サイバラは次々と七番隊へと浴びせていく。

「オラオラぁ! 忍衆! 援護しろぉお!!」

「任せてください! サイバラ隊長!」
「くらえ! 炸裂手裏剣!」
「ギャングレオ城の恨みー!」
「覚悟しろー!」

 サイバラの号令で草陰に隠れていた忍衆も攻勢に出る。
 七番隊の周りを回りながら、手に持った手裏剣を投げつけていく。
 七番隊の騎士達は手裏剣を払いのけようとするが、触れるだけで爆発していく。

「お、おのれ……! 我々を――軍師ジャコウ様を裏切るのか!?」
「裏切る? オレはハナからジャコウに心底尽くしたつもりはねぇえなぁああ!!」

 完全にジャコウとの決別を誓ったサイバラに迷いはなくなった。
 自らが任された七番隊の相手のため、ひたすらに自らを砲台とした砲弾の雨を放ち続けた――





「お? 来おったな~。ルクガイア王国騎士団……その五番隊と六番隊が~!」

 サイバラが七番隊の相手をし始めたのと同じ頃、シシバ率いるギャングレオ盗賊団本隊も五番隊、六番隊の二部隊と相対していた。

「ギャングレオ盗賊団……。やはり王都への進軍を始めていたか。お前達の狼藉もここまでだ! 覚悟しろ!」

 五番隊と六番隊は剣を抜き、ギャングレオ盗賊団へと構えた。
 本来なら二部隊だけでは相手をするのも難しいギャングレオ盗賊団。
 だがギャングレオ城の崩壊と暴走により半壊した今ならば、後ろから挟撃に入るであろう七番隊も含めて十分制圧可能な状況だった。

「キシシシ! 俺らの後ろから七番隊でも襲っきおるんか? せやけど、それはありえへん話やな~」
「な!? なぜ貴様がそれを――」

 シシバが騎士達との会話で気を反らしている間に、ギャングレオ盗賊団の構成員は五番隊と六番隊を大きく包囲し始めた。



「皆さん! お願いします!」
「てやんでい! 任せるでい!」
「あっしも力仕事といきやしょう!」

 配置を確認したコゴーダの号令で、ヤカタやネモトを始めとするギャングレオ盗賊団構成員が、配置場所にあった大きな板を次々に立てていく。
 それは五番隊と六番隊を囲う大きな壁となってそびえ立った。

「頭領! 後はお願いします!」
「おう! しっかり壁を支えとくんやで~!」

 コゴーダから受け取ったバールを右手に、トンファーを左手に持ったシシバは体を脱力させる。
 そしてコゴーダも壁の外に出ることで、中にいるのはシシバと王国騎士団だけとなった――



「これからお前らの度肝抜いたるわ……。俺自身もこれから、何を攻撃すっか分からへんけどなぁあ!!」

 シュゥウン!!

 その掛け声と同時に、シシバの姿が王国騎士団の眼前から消える。

 ――いや、正確にはシシバの動きが速すぎて、目で追えなくなっていた。



 シュゥウン! ガキンッ! シュゥウン! バキンッ!

「な、なんだ!? 何が起こっている!?」
「い、一体どこから攻撃が―― ウガッ!?」

 シシバがゼロラとギャングレオ城で戦った時に使った、速さ任せの無差別攻撃。
 バールとトンファーという二本の牙が、王国騎士団へと連続で襲い掛かる。

「て、てやんでい! すごい衝撃でい!」
「これがカシラの本気って奴ですねい!」

 王国騎士団の周囲はギャングレオ盗賊団が作った壁により包囲されている。
 シシバはその壁を蹴り飛ばしながら、視界が見えない中でも関係なしに無差別攻撃を繰り替えす。
 シシバの攻撃による衝撃に耐えるように、ギャングレオ盗賊団が必死に壁を支える。

 シシバが全力を出すためのフィールドがこの場に用意されていた――
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