記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派

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第27章 追憶の番人『殿』

第400話 告白された時の対処法

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 大変なことになってしまったよ……。
 ボクはロギウス殿下に告白された。
 ロギウス殿下の気持ちは本物だ。本気でボクと結婚したいらしい。
 その真っ直ぐな気持ちは、正直ボクも嬉しい。

 ただ、ボクはゼロラ殿のことが今でも好きだ。
 潔く身を引くはずだったのに、どうやらボクの迷いは断ち切れていないらしい。

 そんなボクの迷いのせいで、ゼロラ殿とロギウス殿下は屋上で決闘を始めるようだ――



「ジフ兄ぃい! シシ兄ぃい! ボ、ボクはどうしたらいいのかな!? ボクのせいだよね!? ボク、本当にどうすればいいのかな!?」
「お、落ち着け、リョウ! 俺らじゃどうしようもない!」
「まあ……お互い、死ぬことはないんちゃうか? 流石にそこまではやらんやろ……」

 確かにシシ兄の言う通り、そこまでやることはないと思う。
 でも、これってボクのせいで二人が戦うことになったんだよね――





「リョウさーん! いますかー!?」
「マカロン? 急に玉座の間まで来るなんて、どうかしたのかい?」
「あの後私も気になって、王国騎士団の人に通してもらったんです。なんだか不安そうですけど、何があったんですか?」

 マカロンもお人好しだね。
 わざわざボクのために、駆け付けてくれるなんてさ。

「ありがとう、マカロン。実はね――」

 ボクはマカロンに事情を説明した。
 ボクがロギウス殿下に告白されたこと――
 それが原因でゼロラ殿とロギウス殿下が決闘していること――

 ボクと同じくゼロラ殿を慕っているマカロンになら、この事態を終息させる方法が分かると思い、全部話した。



「う~ん……。流石にゼロラさんとロギウス殿下が戦うのは、心苦しいですよね……」
「うん……。ボクも責任を感じてるよ……」
「いえ、リョウさんが責任を感じることもないと思います。どちらかと言うと、ゼロラさんとロギウス殿下の問題かと……」

 マカロンはこんなボクにも、優しく意見を述べてくれる。
 でも、元々はボクが事の発端なんだ。

 何とかして止めたい。
 ボクの好きな人と、ボクを好きと言ってくれる人が戦うのなんて、ボクは求めない――



「一つ気になったんですが、リョウさんはロギウス殿下のことをどう思ってますか?」
「え……? ボ、ボクがロギウス殿下のことをかい……?」

 マカロンに言われて、ボクは改めてさっきまでの出来事を振り返ってみた。

 ロギウス殿下は見た目は非常に好青年だ。
 だけど、重要なのはそこじゃない。

 ロギウス殿下の思いは本物だ。それは彼の態度と目を見れば、痛いほど伝わって来てた。
 ハッキリ言って、ボクは世間的にあまり優れた人間性は持ち合わせていない。
 欲望に忠実すぎるせいで、避けられることだってある。
 おかげでこれまでの人生、告白されたことなんて一度もない。

 そんなボクのことを、ロギウス殿下は全力で受け止めてくれている。
 あんなに真っ直ぐな気持ちをぶつけられると、正直ボクの心も揺らぐ。

 これまでロギウス殿下のような青年は、ボクの守備範囲外だった。
 ボクとしてはもう少し幼いぐらいが好みだ。
 だけど、ボクが恋愛対象として好きになったのは、ゼロラ殿のような男性だ。
 そういう意味では、ロギウス殿下も恋愛対象としては有りに見えてくる。



 ボクは自分で思っているよりも、浮気性な女だったようだ。
 これまで恋愛対象はゼロラ殿一筋だと思ってたのに、なんだかロギウス殿下にも心が動いてる。

「ねえ、マカロン。ゼロラ殿がダメだったから、ロギウス殿下に乗り換えるのって、すごく失礼な話だよね?」
「そうかもしれませんけど、実際にリョウさんはロギウス殿下のことも気になるんですよね?」

 マカロンにも意見を求めるが、どうにもあやふやな答えだね。

 いや、こういうものはボク自身が決めないといけないことなんだけど――



「リョウさん。ここはいつものリョウさんらしく行きましょう」
「いつものボクらしく?」
「リョウさんはいつだって、"自分に正直"じゃないですか。もしロギウス殿下のことが気になるのなら、一度しっかりとお付き合いしてもいいんじゃないですか?」

 いつものボクらしく―― "自分に正直"に――
 確かに、こんな風に考えすぎるのは、ボクらしくないね。

「でも、ロギウス殿下の思いに応えることが、ゼロラ殿を傷つけたりしないかな?」
「それは大丈夫ですよ。ゼロラさんはリョウさんの幸せを願っているはずです。ゼロラさん自身ももしかすると、リョウさんを傷つけたと内心では思ってるでしょうし」

 マカロンの意見は的確だね。
 ゼロラ殿の考えまでよく理解している。



 ちょっとは気持ちの整理がついたかな?
 とにかくまずは、二人の決闘を止めよう。

 そしてゼロラ殿には悪いけど、ボクはロギウス殿下と――





「あっ! いいことを思いついたよ!」
「え? いいことですか?」
「うん。ゼロラ殿とロギウス殿下の決闘を止めて、ボクの思いをハッキリさせる方法をね」

 ボクはちょっとした方法を思いついた。
 おそらくこれが上手くいけば、誰にも後腐れなく、事態を終息させられる。

 あの二人を止められるのはボクだけだ。
 そうと決まれば、早速ボクも屋上へ向かう必要があるね。

「マカロン、相談ありがとう。ボクはもうしばらく、この国にいることになりそうだよ」
「フフッ、それは良かったです。私もリョウさんとのお別れは、やっぱり寂しいですからね」
「クフフ、それはボクも同じ気持ちさ。……マカロン。改めてだけど、ゼロラ殿のことは君にお願いするよ。ボクは今一度、"自分に正直"に動くとするよ」
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