BLゲームの脇役に転生したはずなのに

れい

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好感度メーター

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[好感度メーター:起動]

そこには、攻略対象たちの名前と――驚くべき数値が並んでいた。
• トーラス・チェルナー …… 72%
• ジェミニ・アスター …… 65%
• スコーピオ・ワイツマン …… 58%
• レオ・ヒーズマン …… 54%
• シリウス・スプリング …… 80%

「………………おお」

思わず声が漏れた。

(えっ、みんな結構もう主人公のこと好きやん!
 ラスも70%越え、ジェミニ先生も60%台突入、スコーピオですら半分以上。
 これ、もうちょっとでハーレムルート一直線やろ……!)

胸の奥が高鳴る。
攻略対象たちの数字は、どれも俺が前世で遊んだ初期値よりもはるかに高かった。


まるで既に“恋愛圏内”へ踏み込んでいるみたいに。

(やっぱ俺がうまく橋渡ししたからやろか。……ふふっ、ええ感じや)

ふと目が止まったのは、一番下に並ぶ名前。

――シリウス・スプリング:80%。

(……え? なんで主人公の数値まで出てんの?
 これは攻略対象だけのはずやろ……?
 ま、まぁいいか。バグやろ。ゲームの時もたまに変な数字出ることあったしな)

俺は首を振り、ごまかすように笑った。
「これなら安心やな。順調順調」

隣でシリウスは、ペンダントを指先でつまんで嬉しそうに微笑んでいた。
「すごく綺麗……なんだか力をもらえる気がするよ」

……やっぱり、この数値が見えてるのは俺だけらしい。




会計を済ませようとしたとき、店主がかすれた声で呟いた。

「……選ばれし者がまた現れたか。
 “物語の外”を知る魂よ。
 その目が示す数値に惑わされるな――真実は数値の外にある」

ぞくり、と背筋が冷える。

「え……俺のこと……?」

思わず問い返した瞬間、視界が暗転した。
気づけば俺とシリウスはもう外に立っていて、振り返った先には――あの店は影も形も残っていなかった。

(……な、なんやったんや今の……)

だが隣のシリウスは、無邪気に笑っていた。

「アリー。このペンダント……すごく気に入ったよ。アリーが嬉しそうにしてたから、俺も大切にしたいって思った」

(……え? 俺、そんな顔してたんか……?)

シリウスの瞳は澄んでいて、まるで店の不思議さなんて最初から存在しなかったかのようだった。
そう――店が消えたのも、老人の言葉も、“好感度メーター”も。
それを見ているのは、この世界で俺ただ一人。

ペンダントを胸に下げたまま笑う彼に、俺は曖昧に頷くしかなかった。

(……大丈夫や。数値は順調。ハーレムルートもまだ健在や)

不安を誤魔化すように心の中で唱えながら、俺はシリウスと並んで寮への道を歩き出した。
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