BLゲームの脇役に転生したはずなのに

れい

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可視化された心

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午後の授業は、まるで上の空で過ぎていった。
黒板の文字を目で追っても、耳に入るのは先生の声ではなく――

「……俺の大切な人に、あんなことをした人の誘いなんて、受けません」

シリウスの言葉が、何度も蘇る。

(いやいやいや。あれは“友達思い”なだけやろ。……やんな?
 けど周りからしたら、ほぼ告白やったやろ……?
 ラスもスコーピオもジェミニ先生も、完全に目つき変わってたし)

胸の奥で、嫌な汗が滲む。
俺が望んだのは「観客席」や。
主人公と攻略対象が光の中で絡み合うのを、隅で笑って見守るポジション。
なのに、気づけばスポットライトが俺にまで落ちてきている。

(……やばい。ルートがずれ始めてる。修正せな)



放課後、校門を出たとき。
シリウスが袖を引いた瞬間、俺は内心で息を呑んだ。

「……アリー。ちょっと付き合ってほしい」

「ん? どこに?」

「買い物。寮で使う日用品、まだ揃ってなくて」

(……今日、もう“買い物イベント”が来るんか)

前世でやり込んだ星ネガの記憶が、即座に警鐘を鳴らす。
このイベントは本来、食堂での会長イベントを経て数日後に解禁されるはずだった。
会長の勧誘に「断る」→シリウスが一度落ち込み、気分転換にアリーを誘う。
それが通常の流れ。

けれど今は――食堂での勧誘は確かにあった。
だが、断ったのはシリウスだけじゃなく、俺自身も巻き込まれていた。

(……俺が口を挟んだから、発生条件がずれて、“今日”に前倒しになったんか)

背筋に冷たいものが走る。
物語の進行すら、俺の一挙手一投足で変わっている。

俺は平静を装い、笑った。
「ええよ。案内したる」




日用品を買い揃え、帰り道。
ふと目に入ったのは、細い路地の奥に佇む小さな店だった。
異国風の意匠を刻んだ古びた看板。

「……気になるね」
シリウスが足を止める。

(ここや……ペンダントイベントの舞台)

扉を開けると、薄暗い空間と香の匂いが広がった。
影のように細い老人が現れ、かすれた声を響かせる。

「……探しているのは、“縁”ですか、“未来”ですか」

掌に転がるのは、硝子のハート。
淡い光を孕んだペンダントだった。

「これを持つ者は……心の絆が見えるようになる。
 ただし、それは時に残酷でもある」

シリウスが息を呑む。
「……絆が、見える?」

(そう。これが“好感度メーター”。
 前世ではワクワクした瞬間やけど……今は怖い。
 数値が“俺に傾いた分”まで出たら、完全にバグやろ)

シリウスが受け取ると、光は胸元に吸い込まれるように消えた。

そして ーー俺の視界にだけ、パネルが浮かんだ。


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