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最終章 花は咲く
②
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結婚式当日の朝、北畠家は二手に分かれての行動になる。
高久は空港まで尚久を迎えに行き、そのまま式場に直行。雪哉は、準備のある主役二人と共に式場入りすることになる。
「結惟はどうするんだ?」
「勿論、ママたちと一緒よ。決まってるじゃない」
そんなわけで、全員感慨に耽る間もなく、慌ただしく家を出ることになった。
「うわあ~きれい! 凄く似合ってるよ!」
「ほんとだな~蒼の雰囲気にぴったりだ!」
ホワイトのモーニングコートを身に着けた蒼を、雪哉と結惟が、眼を輝かせて褒めたたえる。褒められた蒼は、恥ずかし気にほんのりと頬を染めて、それがまた初々しい。
「お兄ちゃんのはシルバーなの?」
「そうなんだ。全く同じより、その方が映えるからって」
「そうねその方がしっくりくるし、そうなるとあお君がホワイトよね、ウエディングドレスよりもきれいよ! 凄く豪華!」
白いモーニングコートは、気品がありそして清楚で、蒼の美しさを引き立たせている。結惟が言うように、ウエディングドレスの花嫁よりも、はるかに美しいと思えた。
そこへノックがして、係員が出ると、高久だった。遠慮がちに入っていいかと聞いてから入ってきて、続いて尚久も入ってきた。
「あっ! なお君! うわあ~大きくなって」
「五年ぶりだからね、僕も成人はしたからね。あお君凄くきれいだ!」
「なお君……ありがとう」
はにかみながら言うのが、初々しくて、いかにも新郎というか、新婦の風情だ。
「あき君には会ったの?」
「うん、兄さんの方の控室で着替えたから。それで、一刻も早くあお君に会いたくてね。兄さんは、お前はこっちにいろって言ったけど、父さんはあお君の後見者だろ。だったら僕はその息子だから、こちら側にいてもいいよねと思って」
「お前たちは、蒼が大好きだからなあ。結局彰久のほうには誰もいないのか、それもちょっと淋しいなあ」
雪哉の言葉に、蒼は僕が行かないとかわいそうな気持ちになる。
「ぼ、僕があき君のほうに……」
「いやいやっ! あお君はここにいないと!」
彰久の控室に行こうとする蒼を、全員が慌てて止める。
「まったく! 相変わらず蒼は彰久に甘いな、子供じゃないから大丈夫だよ。係員も付いているし」
「そうだよ、それにあと少しでこんなきれいなあお君独り占めなんだから、今は少々淋しくてもいいよ」
「そうだな、これほどきれいな蒼とバージンロードを歩くのは誇らしいが、彰久に渡しがたくなるなあ」
「まあ、あなたまで。でもほんとそうだよ、きれいだよ、蒼」
皆が褒めてくれるのが、心から嬉しい。そして温かい気持ちになる。蒼は、今朝言いそびれたことを言うのは今だと思い、意を決した。
「と、父さん……か、母さん今まで本当にありがとうございました。こうして、この日を迎えることができたのは……お二人のおかげです。感謝の気持ちでいっぱいです。……不束者ですが、これからもよろしくお願いいたします」
途中つかえながらも、言うことができた。蒼は、感謝の気持ちを込めて、二人に頭を下げた。
「――蒼!」
雪哉は蒼を抱きしめる。その二人を高久が包み込むようにした。親鳥がひなを守るように。蒼も北畠家の立派な一員、家長の高久にとって庇護する対象なのだ。
二人に抱きしめられて、蒼は新しい父と母の優しさと温もりを感じた。そして心からの幸せを感じた。
その後吉沢家族も顔を出して、暫し賑やかな時をもったが、そろそろ時間ということになり、蒼と高久、雪哉以外は会場入りした。
高久は空港まで尚久を迎えに行き、そのまま式場に直行。雪哉は、準備のある主役二人と共に式場入りすることになる。
「結惟はどうするんだ?」
「勿論、ママたちと一緒よ。決まってるじゃない」
そんなわけで、全員感慨に耽る間もなく、慌ただしく家を出ることになった。
「うわあ~きれい! 凄く似合ってるよ!」
「ほんとだな~蒼の雰囲気にぴったりだ!」
ホワイトのモーニングコートを身に着けた蒼を、雪哉と結惟が、眼を輝かせて褒めたたえる。褒められた蒼は、恥ずかし気にほんのりと頬を染めて、それがまた初々しい。
「お兄ちゃんのはシルバーなの?」
「そうなんだ。全く同じより、その方が映えるからって」
「そうねその方がしっくりくるし、そうなるとあお君がホワイトよね、ウエディングドレスよりもきれいよ! 凄く豪華!」
白いモーニングコートは、気品がありそして清楚で、蒼の美しさを引き立たせている。結惟が言うように、ウエディングドレスの花嫁よりも、はるかに美しいと思えた。
そこへノックがして、係員が出ると、高久だった。遠慮がちに入っていいかと聞いてから入ってきて、続いて尚久も入ってきた。
「あっ! なお君! うわあ~大きくなって」
「五年ぶりだからね、僕も成人はしたからね。あお君凄くきれいだ!」
「なお君……ありがとう」
はにかみながら言うのが、初々しくて、いかにも新郎というか、新婦の風情だ。
「あき君には会ったの?」
「うん、兄さんの方の控室で着替えたから。それで、一刻も早くあお君に会いたくてね。兄さんは、お前はこっちにいろって言ったけど、父さんはあお君の後見者だろ。だったら僕はその息子だから、こちら側にいてもいいよねと思って」
「お前たちは、蒼が大好きだからなあ。結局彰久のほうには誰もいないのか、それもちょっと淋しいなあ」
雪哉の言葉に、蒼は僕が行かないとかわいそうな気持ちになる。
「ぼ、僕があき君のほうに……」
「いやいやっ! あお君はここにいないと!」
彰久の控室に行こうとする蒼を、全員が慌てて止める。
「まったく! 相変わらず蒼は彰久に甘いな、子供じゃないから大丈夫だよ。係員も付いているし」
「そうだよ、それにあと少しでこんなきれいなあお君独り占めなんだから、今は少々淋しくてもいいよ」
「そうだな、これほどきれいな蒼とバージンロードを歩くのは誇らしいが、彰久に渡しがたくなるなあ」
「まあ、あなたまで。でもほんとそうだよ、きれいだよ、蒼」
皆が褒めてくれるのが、心から嬉しい。そして温かい気持ちになる。蒼は、今朝言いそびれたことを言うのは今だと思い、意を決した。
「と、父さん……か、母さん今まで本当にありがとうございました。こうして、この日を迎えることができたのは……お二人のおかげです。感謝の気持ちでいっぱいです。……不束者ですが、これからもよろしくお願いいたします」
途中つかえながらも、言うことができた。蒼は、感謝の気持ちを込めて、二人に頭を下げた。
「――蒼!」
雪哉は蒼を抱きしめる。その二人を高久が包み込むようにした。親鳥がひなを守るように。蒼も北畠家の立派な一員、家長の高久にとって庇護する対象なのだ。
二人に抱きしめられて、蒼は新しい父と母の優しさと温もりを感じた。そして心からの幸せを感じた。
その後吉沢家族も顔を出して、暫し賑やかな時をもったが、そろそろ時間ということになり、蒼と高久、雪哉以外は会場入りした。
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