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第一部
35.
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ケビンも弟のアルヴァもリリーに夢中だった。
レインはケビンや婚約者のアルヴァに蔑ろにされるのに耐えられなくなった結果男装した。
すると何故かリリーはレインに関心を向けスキンシップを摂るようになった。
結果ケビンはレインに嫉妬し、そのことにレインは快楽を抱くようになった。
雑に纏めたけれど色々な意味で酷い。酷くない部分が無い。
ただレインに聞いた四人の関係性で閃いたことがある。
原作でレインがエリカに対してセクハラキャラとなっていた理由だ。
(あの時もケビンはセクハラするレインに対し敵意を見せ睨みつけていた)
ケビンなので同性間でもセクハラは良くないという義憤からで無いのはわかっている。
きっとエリカへの独占欲と嫉妬でレインを睨みつけていたのだ。リリーが居た時のように。
つまりレインはエリカに対しやたら距離を近くすることで、独占欲の強いケビンに嫉妬させるのが目的だった。
原作のケビンは息子たちとエリカを取り合うような男だ。レインがエリカと同性だと知っていても嫉妬するだろう。
だからケビンの溺愛対象になっていない今の私にはレインは比較的まともな距離感を取るのだろう。
この推理が事実かを確認することは出来ない。
私がケビンに恋愛的な意味で関心を持たれ独占欲を抱かれるという条件が必要だからだ。
クリア出来る気がしないし、したいとも思わない。
まさかレインの闇落ちを阻止しようとした結果セクハラも止められるとは思わなかった。
レインの医師としての能力は私のアベニウス公爵家での暮らしの役に立つだろうし、良好な関係を築けるなら何よりだ。
せめて離婚が成立して私が第二の人生を歩き始めるまではレインと仲良くできたら良い。
私と親しくしてもケビンに嫉妬させることが出来ないのでレインの性癖を満足させることは出来ないけれど。
(私はリリーみたいにレインを疑似彼氏みたく扱う気も無いし……)
そこまで考えて、思考につまずきを覚える。
リリーと原作のエリカ、レインはどちらとも親しくしてケビンに嫉妬されている。ここまではいい。
そしてリリーはケビンと結婚して子供を二人も出産している。
けれど原作ではエリカに対しレインは避妊薬を強引に飲ませようとして失敗した。つまり妊娠させたくなかったのだ。
何故ケビンが愛した女性二人に対し対応に差をつけるのか。私は疑問を口に出す。
「……レイン先生、変な質問をしても宜しいでしょうか?」
「えっ、少し怖いけれど……どうぞ」
「貴方は前公爵夫人が妊娠した時どう思われましたか」
私が質問するとレインは目を丸くする。その後も戸惑った表情を浮かべただけだった。
演技かもしれないが、そこには憎悪や嫉妬と言う感情は見つけられない。
原作のエリカに対してはケビンの子供を産むことをあれ程までに嫌がったのに。
「医者としては、母体の健康状態を考えれば推奨は出来ない。リリーは昔から虚弱で体力が本当に無くて散歩に車椅子を使う時だって多かったからね」
「車椅子……」
リリーがそこまで体が弱かったとは知らなかった。
なのに二人も子供を産んだのはある意味凄いと思う。ただ、結果としてリリーは亡くなってしまった。
「ただ……どうしても愛する人の子供を産みたい、公爵夫人としての義務を果たしたいと言われれば止めることは出来ないだろう」
彼女の妊娠と出産については私は部外者だったけれど。レインは寂しそうに笑った。
「なら万が一、絶対嫌ですけれど……私がケビン様の子供を妊娠したらどう思いますか?」
「君が、ケビンの子供を……?」
私はレインの表情をじっと観察する。先程リリーに対して質問した時と差異はあまり感じられなかった。
嫉妬も憎悪も無い。確かに私に対してのレインの印象は原作とは違うけれど、ケビンに対しての恋慕は同じ筈なのに。
「望まない妊娠なら、時期が早ければ堕胎という選択肢もあるだろうけれど……私は積極的に推奨は出来ないな。健康上でも、それ以外でも」
「つまり産んだ方が良いということですか?」
「そうだね、養子に出すという手段もあるけれど二人は戸籍的には正式な夫婦だから難しそうだ」
「では……もし私とケビン様が子供が必要だと判断して出産する場合は?」
「それは……二人の判断に任せるとしか。アベニウス公爵家の夫婦計画に口を出せる立場では無いし」
「わかりました。私は絶対ケビン様の子供を妊娠したくないので対策を頑張りたいと思います」
私はレインにそう答える。頭の中では別の事を考えていた。
「そう……まあ、出来る限りの協力はさせて貰うよ」
複雑な笑みで彼女は言う。
やっぱり今のレインに原作レインの愛憎交じりの狂気は感じられない。
違う、原作のレインも途中から急におかしくなったのだ。
エリカにベタベタしてケビンに嫉妬されるのを面白がっていたのに、急にケビンとエリカの仲を否定し始めた。
最初はエリカとケビンが愛の無い結婚だと思っていたのに二人が両想いなことに気付き、破滅させようとしたのだと思った。
けれどレインがケビンに嫉妬されることを求めて、最初からエリカと親密にしていたなら話は別だ。
(漫画のレインは急に暴走した……いや、暴走させられた可能性があるわね)
私はある人物の顔を思い浮かべた。
レインはケビンや婚約者のアルヴァに蔑ろにされるのに耐えられなくなった結果男装した。
すると何故かリリーはレインに関心を向けスキンシップを摂るようになった。
結果ケビンはレインに嫉妬し、そのことにレインは快楽を抱くようになった。
雑に纏めたけれど色々な意味で酷い。酷くない部分が無い。
ただレインに聞いた四人の関係性で閃いたことがある。
原作でレインがエリカに対してセクハラキャラとなっていた理由だ。
(あの時もケビンはセクハラするレインに対し敵意を見せ睨みつけていた)
ケビンなので同性間でもセクハラは良くないという義憤からで無いのはわかっている。
きっとエリカへの独占欲と嫉妬でレインを睨みつけていたのだ。リリーが居た時のように。
つまりレインはエリカに対しやたら距離を近くすることで、独占欲の強いケビンに嫉妬させるのが目的だった。
原作のケビンは息子たちとエリカを取り合うような男だ。レインがエリカと同性だと知っていても嫉妬するだろう。
だからケビンの溺愛対象になっていない今の私にはレインは比較的まともな距離感を取るのだろう。
この推理が事実かを確認することは出来ない。
私がケビンに恋愛的な意味で関心を持たれ独占欲を抱かれるという条件が必要だからだ。
クリア出来る気がしないし、したいとも思わない。
まさかレインの闇落ちを阻止しようとした結果セクハラも止められるとは思わなかった。
レインの医師としての能力は私のアベニウス公爵家での暮らしの役に立つだろうし、良好な関係を築けるなら何よりだ。
せめて離婚が成立して私が第二の人生を歩き始めるまではレインと仲良くできたら良い。
私と親しくしてもケビンに嫉妬させることが出来ないのでレインの性癖を満足させることは出来ないけれど。
(私はリリーみたいにレインを疑似彼氏みたく扱う気も無いし……)
そこまで考えて、思考につまずきを覚える。
リリーと原作のエリカ、レインはどちらとも親しくしてケビンに嫉妬されている。ここまではいい。
そしてリリーはケビンと結婚して子供を二人も出産している。
けれど原作ではエリカに対しレインは避妊薬を強引に飲ませようとして失敗した。つまり妊娠させたくなかったのだ。
何故ケビンが愛した女性二人に対し対応に差をつけるのか。私は疑問を口に出す。
「……レイン先生、変な質問をしても宜しいでしょうか?」
「えっ、少し怖いけれど……どうぞ」
「貴方は前公爵夫人が妊娠した時どう思われましたか」
私が質問するとレインは目を丸くする。その後も戸惑った表情を浮かべただけだった。
演技かもしれないが、そこには憎悪や嫉妬と言う感情は見つけられない。
原作のエリカに対してはケビンの子供を産むことをあれ程までに嫌がったのに。
「医者としては、母体の健康状態を考えれば推奨は出来ない。リリーは昔から虚弱で体力が本当に無くて散歩に車椅子を使う時だって多かったからね」
「車椅子……」
リリーがそこまで体が弱かったとは知らなかった。
なのに二人も子供を産んだのはある意味凄いと思う。ただ、結果としてリリーは亡くなってしまった。
「ただ……どうしても愛する人の子供を産みたい、公爵夫人としての義務を果たしたいと言われれば止めることは出来ないだろう」
彼女の妊娠と出産については私は部外者だったけれど。レインは寂しそうに笑った。
「なら万が一、絶対嫌ですけれど……私がケビン様の子供を妊娠したらどう思いますか?」
「君が、ケビンの子供を……?」
私はレインの表情をじっと観察する。先程リリーに対して質問した時と差異はあまり感じられなかった。
嫉妬も憎悪も無い。確かに私に対してのレインの印象は原作とは違うけれど、ケビンに対しての恋慕は同じ筈なのに。
「望まない妊娠なら、時期が早ければ堕胎という選択肢もあるだろうけれど……私は積極的に推奨は出来ないな。健康上でも、それ以外でも」
「つまり産んだ方が良いということですか?」
「そうだね、養子に出すという手段もあるけれど二人は戸籍的には正式な夫婦だから難しそうだ」
「では……もし私とケビン様が子供が必要だと判断して出産する場合は?」
「それは……二人の判断に任せるとしか。アベニウス公爵家の夫婦計画に口を出せる立場では無いし」
「わかりました。私は絶対ケビン様の子供を妊娠したくないので対策を頑張りたいと思います」
私はレインにそう答える。頭の中では別の事を考えていた。
「そう……まあ、出来る限りの協力はさせて貰うよ」
複雑な笑みで彼女は言う。
やっぱり今のレインに原作レインの愛憎交じりの狂気は感じられない。
違う、原作のレインも途中から急におかしくなったのだ。
エリカにベタベタしてケビンに嫉妬されるのを面白がっていたのに、急にケビンとエリカの仲を否定し始めた。
最初はエリカとケビンが愛の無い結婚だと思っていたのに二人が両想いなことに気付き、破滅させようとしたのだと思った。
けれどレインがケビンに嫉妬されることを求めて、最初からエリカと親密にしていたなら話は別だ。
(漫画のレインは急に暴走した……いや、暴走させられた可能性があるわね)
私はある人物の顔を思い浮かべた。
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