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7 アダム視点
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オレには、姉のような親友がいる。実際、兄の婚約者となり義姉になると聞いた時は、気がおかしくなりそうだった。
オレは母親に憎まれていた。その理由は分かるようで分からなかった。使用人たちがこそこそと噂をしていたから。
子供ながらに母親はこの国の王である父親を、愛していないという事だけは分かった。
それでもバカなオレは母に愛されたかった。
会いに行くと、見たくない、喋らないでと叫ばれた。
幽霊にでもなれば母親の側にいれるのだろうか。
それから母は死んだ。最後は母の為に会いに行かなかった。
そして、気付けば声が出なくなっていた。少しずつ、少しずつ、心が壊れていってしまっていたのかもしれない。
その頃から周りは、腫れ物に触るようにオレに接した。
初めてイヴリンに会った時は、澄ました顔をした少し顔が綺麗なだけの、そこら辺どこにでもいる令嬢だと思った。
だけどそれはオレの使用人の前だけの話だった。
「でんか、あちらの方に、キレイなばらが咲いていますわ」
と愛らしい笑顔を振り撒いて、オレの手をひいた。
オレはされるがままに連れていかれる。
使用人達は「あまり遠くには行かないでくださいね~」と微笑ましげに見ていた。
そして連れていかれたのは庭裏だった。
ダンッ
そして今、令嬢達が殿方にやって欲しいランキング上位の、壁ドンとやらをされていた。
「ちょっとアンタ、いい加減にしなさいよ。こっちは仕方なく時間をつくって来てあげてるんだからねっ」
「…………。」
「目も合わせないわ、無視するわ。私ひとりで喋べってバカみたいじゃん。話せないなら紙に書くとかできるよね?
将来大人になってもそうやって生きていくつもり??!」
「……………。」
「いーい??!アンタはこの国の第二王子なのよ?みんなのお手本にならないといけないの!わかる?」
「………………。」
「それってすごーく辛くて大変なことなのよ?それでもアンタはだーれも味方を作らないの?」
「…………………。」
「もー。分かんないかなあ?私がアンタの味方になってあげるって言ってんの」
味方…?
オレは初めて、本当の意味でイヴリンと視線を合わせたと思う。
イヴリンは静かな眼差しで、オレの視線を捕らえ離さなかった。
「だから、私はアンタの声も聞きたいし、笑ったところも見てみたい。こんなにかわいい顔しているのに勿体ないわ」
と日だまりのような笑顔で笑った。
気付くとオレは泣いていた。ひっくひっくと始まり、ぎゃーー!!と声を出して大声で泣いていた。
イヴリンは驚いて、
「ちょっちょちょちょっ!?アンタ声だせないんじゃなかったの!??だっ誰か来ちゃう!これじゃあ私が殿下をいじめてるみたいじゃない!いや、そうなのかもしれないけど!」
やばいやばいと慌てるイヴリンに俺はしがみついた。オレはずっと孤独で寂しかったのかもしれない。
側にいる使用人は優しいが、結局は仕事だ。オレのことを可哀想で哀れと噂する。
王である父親も罪悪感でオレに接した。
だれも彼も、母親でさえもオレを孤独にする。
だけどイヴリンだけは違った。オレを本気で怒り、味方でいようとしてくれる。
だからオレも変わらないといけない。
オレはイヴリンのスカートを握りしめて言った。
「うっうっ…。オレのなまえは…アダム・ムーアですっ…」
驚いて目を瞬かせたイヴリンは言った。
「いや、知ってるけど」
と。
オレは母親に憎まれていた。その理由は分かるようで分からなかった。使用人たちがこそこそと噂をしていたから。
子供ながらに母親はこの国の王である父親を、愛していないという事だけは分かった。
それでもバカなオレは母に愛されたかった。
会いに行くと、見たくない、喋らないでと叫ばれた。
幽霊にでもなれば母親の側にいれるのだろうか。
それから母は死んだ。最後は母の為に会いに行かなかった。
そして、気付けば声が出なくなっていた。少しずつ、少しずつ、心が壊れていってしまっていたのかもしれない。
その頃から周りは、腫れ物に触るようにオレに接した。
初めてイヴリンに会った時は、澄ました顔をした少し顔が綺麗なだけの、そこら辺どこにでもいる令嬢だと思った。
だけどそれはオレの使用人の前だけの話だった。
「でんか、あちらの方に、キレイなばらが咲いていますわ」
と愛らしい笑顔を振り撒いて、オレの手をひいた。
オレはされるがままに連れていかれる。
使用人達は「あまり遠くには行かないでくださいね~」と微笑ましげに見ていた。
そして連れていかれたのは庭裏だった。
ダンッ
そして今、令嬢達が殿方にやって欲しいランキング上位の、壁ドンとやらをされていた。
「ちょっとアンタ、いい加減にしなさいよ。こっちは仕方なく時間をつくって来てあげてるんだからねっ」
「…………。」
「目も合わせないわ、無視するわ。私ひとりで喋べってバカみたいじゃん。話せないなら紙に書くとかできるよね?
将来大人になってもそうやって生きていくつもり??!」
「……………。」
「いーい??!アンタはこの国の第二王子なのよ?みんなのお手本にならないといけないの!わかる?」
「………………。」
「それってすごーく辛くて大変なことなのよ?それでもアンタはだーれも味方を作らないの?」
「…………………。」
「もー。分かんないかなあ?私がアンタの味方になってあげるって言ってんの」
味方…?
オレは初めて、本当の意味でイヴリンと視線を合わせたと思う。
イヴリンは静かな眼差しで、オレの視線を捕らえ離さなかった。
「だから、私はアンタの声も聞きたいし、笑ったところも見てみたい。こんなにかわいい顔しているのに勿体ないわ」
と日だまりのような笑顔で笑った。
気付くとオレは泣いていた。ひっくひっくと始まり、ぎゃーー!!と声を出して大声で泣いていた。
イヴリンは驚いて、
「ちょっちょちょちょっ!?アンタ声だせないんじゃなかったの!??だっ誰か来ちゃう!これじゃあ私が殿下をいじめてるみたいじゃない!いや、そうなのかもしれないけど!」
やばいやばいと慌てるイヴリンに俺はしがみついた。オレはずっと孤独で寂しかったのかもしれない。
側にいる使用人は優しいが、結局は仕事だ。オレのことを可哀想で哀れと噂する。
王である父親も罪悪感でオレに接した。
だれも彼も、母親でさえもオレを孤独にする。
だけどイヴリンだけは違った。オレを本気で怒り、味方でいようとしてくれる。
だからオレも変わらないといけない。
オレはイヴリンのスカートを握りしめて言った。
「うっうっ…。オレのなまえは…アダム・ムーアですっ…」
驚いて目を瞬かせたイヴリンは言った。
「いや、知ってるけど」
と。
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