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第七話 緊急事態らしい
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昼食を終え、残りの日用品などを買ってもらったので、とりあえず今日の目標は達成だ。
全ての代金を払ってもらっているのでかなり申し訳ない。
後で返すと言えれば良いが、今のところお金を稼げる予定がない。
たとえ渚がバイトを探そうとしても理玖さんが嫌がるだろう。理玖さんはおそらく一人養う程度問題ない収入があるし、渚が目の届かないところに行くのを嫌がっている。
……そうなると普段の生活、それこそ身体でって話になってしまいそうだ。
まあ、生死に関わるようなことでなければ良いか。
「さて、夕飯の買い物もできたし帰ろう」
二人で手分けして荷物を運ぶ。
最初は渚が潰れそうで怖いと理玖さん一人で持っていたが、食材まで増えると一人で持つのに無茶が出てきたので軽いものが渚に渡された。
「荷物重たくない? 大丈夫?」
「余裕。全然平気」
渚が持つことを許されたのは軽い食材のみ。小学生のお手伝いレベルだ。片手で持てる。
いくら渚がまだ持てると主張しても幼子のわがままの相手をする父親のような顔でたしなめられたので、しぶしぶこの量に甘んじている。
「今日はほんとに楽しかった。また一緒に行ってくれるかい?」
「理玖さんが望むなら」
「めちゃくちゃ望むからまた一緒に行こう!」
理玖さんが楽しそうで、渚はひとまず安心した。
これで楽しくなかったとか言われた時には申し訳なさで潰れるところだった。ペラペラになってしまう。
渚も何年振りかにこんなに楽しい思いをしたので頭の中が幸福でいっぱいだ。
視界の外には今日寄ったお店がいくつもある。
服を見た店。雑貨を見た店。理玖さんの好きなパンダグッズの店。
楽しい思い出が並ぶ中、突如嫌なものが目に入ってきた。
パッと見はなんの変哲もないただのアクセサリーショップ。
ただわかる人はわかる程度に店の雰囲気が違う。
そこはCollarを販売している店だった。
CollarとはDomがSubに贈る首輪だ。
それをSub側が受け取ればパートナー契約が成立する。
パートナー契約が成立すれば、Subは他のDomからの命令に従わなくて済むようになる。だから大抵のSubは身近な信頼できるDomと契約する、らしい。
らしいというのは今まで渚に知り合いのSubがいないからである。
Dynamicsに関する情報はあの人から聞いたものしかない。つまり、信用できる情報でない。
もし機会があればその辺の正しい情報を聞いてみたいと思う。
「あれ、どうかした?」
気が付けば足が止まっていたようだ。
理玖さんが向こうから駆け寄ってくる。荷物も多いのに申し訳ない。
「何か気になるものでもあった?」
「いや、何でもない」
「そう? なら良いけど。僕としては渚が本当に僕を信頼できるようになったらcollarを渡したいって考えてる」
「信頼、ねえ」
理玖さんは変わっているだけで、悪い人ではなさそうだ。今のところは優しい。
だがDomであることに変わりはない。
きっとそのうち奴隷見たく扱うなり捨てるなりして処分されるだろう。
collarなんてきっとすぐ余計なものになる。
あまり、欲しいとは思わない。
「そういや、前いたところではcollarもらったりしてた?」
「赤い紐をもらってた」
「チョーカーとかじゃなくて?」
collarの単語本来の意味には動物の首輪というものがある。ペットとかにつけるそれだ。
それをイメージしてかcollarとして贈られるものはチョーカーが多いのだという。
実際、目の前にある店にも多種多様なチョーカーが置かれている。
もっともcollarはお互いがそれをcollarと認識していれば良いので、ネックレスでもピアスでも日常的に身につけられるものならなんでも良い。
だからといって赤い紐を選ぶセンスはさすがだと思う。
「あの人の家に上がってすぐに、その辺にあった赤い紐を首に巻かれた。多分なんかの包装に使われていたものだったと思う。おもむろに紐を手に取ったと思ったらキュって巻かれてた」
「何それ。ロマンがない。僕だったらちゃんと採寸からして渚にピッタリのチョーカーを贈るのに」
笑い話だと思っていたが、理玖さんが思ったよりむすくれている。
そんなに酷い話だっただろうか。
「サイズがピッタリなのは良いな。紐はキツく締められたせいで息をするだけでも首が絞まって痛かった」
「……そっかあ。ちなみにその紐はどうしたの?」
「切られた」
「え?」
「あの人が、俺を捨てる前に切った。切った残りは昨日着てた服のポッケに入ってる」
あの紐をつけているときも苦しかったが、切られた瞬間が一番苦しかった。
息がしやすくなったはずなのに、息苦しかった。
枷が取れて自由になったはずなのにどうしていいかわからなくて怖かった。
紐を切られ、あの場所を追い出され、彷徨っている間に多少は落ち着いたが、いまだに首に違和感がある。
首が絞まっていなくて、首から垂れる邪魔な紐を気にしなくてよくて、変な感じだ。
「ちょっと待ってね。想像より状況が酷い」
渚が片手で首を触っていると、理玖さんは荷物を置いてどこかへ電話をかけた。
なかなか繋がらないようだ。横顔からでも苛立っているとわかる。
結構マイペースで穏やかな感じのする理玖さんがこうなるとは珍しいことな気がする。
渚は何が理玖さんをそうさせるのかと先ほどまでの会話を思い返してみるが、渚には自分がとんでもないことを言ったという自覚がない。
「休日にほんとごめんね。うん、わかった。ありがとう」
電話は終わったようだ。いつにもなく真剣な表情をしている。
「とりあえず、車乗って」
「わかった」
終始無言で駐車場に向かい、助手席に乗せられる。
理玖さんはしばらく無言で運転していたが、何かを決意したのか口を開いた。
「今から、Dynamicsの専門の人のところに行くよ。うちの店の人で、休みだったけど緊急で来てもらった」
「そんなに急ぐの」
「急ぐ。詳しくは彼に聞いてほしいけど、collarを奪われるってだけでかなり危険な状態。その上パートナー契約も切れてるとなるとさらに危険。なんでか君は平気そうにしてるけど、本来ならすごい負担で瀕死の重症なはず」
渚は自分でもなんで平気なんだと思ってしまう。
健康とは程遠い身体だ。あちらこちらに傷がある。
筋肉も脂肪もほぼない鶏ガラみたいなやつだ。
「ほんとやらかした。昨日のうちに調べて貰えば良かった。見る目落ちてる。ほんとだめだ」
理玖さんは前を見たままぶつぶつとうわごとのように呟いている。
そんなにショックなことだったのだろうか。
「もうちょっとしたら待ち合わせ場所につく。そしたらちょっと待ってて。迎えが来るから」
「特徴、とかあります?」
「黒のパーカーとスウェット着てるって言ってた」
「特徴はないのか」
全身黒ずくめ、といえば若干の怪しさはあるか。
だがそれでもパーカーとスウェットではなんの目印にもならない。
せめて金ピカのアクセサリをつけてるとか、背が高いとか、もう少し何かあるだろう。
「まあ顔見たらわかるよ。彼すごい美形だし。渚のことは『潮風』って伝えてる」
「それが俺の偽名」
「そ。あの子らの前では僕のことも『オーナー』って呼んでね」
「気をつける」
渚から潮風。連想ゲームでもしたのだろう。
渚とは波打ち際を指す語だ。そこから塩からい海の空気、潮風の吹く波打ち際とでも思考を巡らせるのは結構自然な連想だと思う。
それにしても、偽名を使う仕事で、専属契約をしているDynamicsの専門家がいるとは一体具体的にどういった仕事なのだろうか。夜職系とは察していたが、実際どういった店を経営してるかは想像できない。
車窓を眺めてぼんやりしていると、次第に電源を切られたネオンサインが並ぶあたりへ入ってきた。
ここが理玖さんの店の近くだろう。
「はーいここで降りて」
「わかった」
「僕は荷物置いて、ちょっと着替えてくる。診断結果は一緒に聞くつもりだからすぐ戻る」
一度戻らないとアイスは溶けてしまうだろうし、今の服装はオーナーとしての理玖さんらしくない。
中華風の衣装が理玖さんをオーナーたらしめているのだろう。
あれはキャラ付けだと言っていたし。
「じゃあまたあとで」
「またあとで」
適当に道の端によってぼんやり景色を眺めながら待つ。
人通りは少なく、もう夕方なのに街は眠っているみたいだ。
時計も持っていないので時間が長く感じられる。
体感10分くらい待っていると遠くから足音が聞こえてきた。
目だけを動かして姿を見れば黒ずくめの男。フードをかぶっていて顔は見えないが間違いないだろう。
「あんたが、潮風か」
「ああ」
「潮風」は渚の偽名なのであまり感覚的に呼ばれた気がしないが返事をする。
少し声が掠れている。元からそういう声なのか、喉でも痛めたのか。
もし後者だったら申し訳ない。
男は渚のことを上から下まで眺めたあと、パッとフードを外した。
その姿が見覚えのあるものだったので思わず声が出る。
「貴方は……」
「翡翠。蒼が待ってる。行くぞ」
翡翠さんはポケットに手を突っ込んだまま歩き出す。
渚も慌ててそれについて行った。
全ての代金を払ってもらっているのでかなり申し訳ない。
後で返すと言えれば良いが、今のところお金を稼げる予定がない。
たとえ渚がバイトを探そうとしても理玖さんが嫌がるだろう。理玖さんはおそらく一人養う程度問題ない収入があるし、渚が目の届かないところに行くのを嫌がっている。
……そうなると普段の生活、それこそ身体でって話になってしまいそうだ。
まあ、生死に関わるようなことでなければ良いか。
「さて、夕飯の買い物もできたし帰ろう」
二人で手分けして荷物を運ぶ。
最初は渚が潰れそうで怖いと理玖さん一人で持っていたが、食材まで増えると一人で持つのに無茶が出てきたので軽いものが渚に渡された。
「荷物重たくない? 大丈夫?」
「余裕。全然平気」
渚が持つことを許されたのは軽い食材のみ。小学生のお手伝いレベルだ。片手で持てる。
いくら渚がまだ持てると主張しても幼子のわがままの相手をする父親のような顔でたしなめられたので、しぶしぶこの量に甘んじている。
「今日はほんとに楽しかった。また一緒に行ってくれるかい?」
「理玖さんが望むなら」
「めちゃくちゃ望むからまた一緒に行こう!」
理玖さんが楽しそうで、渚はひとまず安心した。
これで楽しくなかったとか言われた時には申し訳なさで潰れるところだった。ペラペラになってしまう。
渚も何年振りかにこんなに楽しい思いをしたので頭の中が幸福でいっぱいだ。
視界の外には今日寄ったお店がいくつもある。
服を見た店。雑貨を見た店。理玖さんの好きなパンダグッズの店。
楽しい思い出が並ぶ中、突如嫌なものが目に入ってきた。
パッと見はなんの変哲もないただのアクセサリーショップ。
ただわかる人はわかる程度に店の雰囲気が違う。
そこはCollarを販売している店だった。
CollarとはDomがSubに贈る首輪だ。
それをSub側が受け取ればパートナー契約が成立する。
パートナー契約が成立すれば、Subは他のDomからの命令に従わなくて済むようになる。だから大抵のSubは身近な信頼できるDomと契約する、らしい。
らしいというのは今まで渚に知り合いのSubがいないからである。
Dynamicsに関する情報はあの人から聞いたものしかない。つまり、信用できる情報でない。
もし機会があればその辺の正しい情報を聞いてみたいと思う。
「あれ、どうかした?」
気が付けば足が止まっていたようだ。
理玖さんが向こうから駆け寄ってくる。荷物も多いのに申し訳ない。
「何か気になるものでもあった?」
「いや、何でもない」
「そう? なら良いけど。僕としては渚が本当に僕を信頼できるようになったらcollarを渡したいって考えてる」
「信頼、ねえ」
理玖さんは変わっているだけで、悪い人ではなさそうだ。今のところは優しい。
だがDomであることに変わりはない。
きっとそのうち奴隷見たく扱うなり捨てるなりして処分されるだろう。
collarなんてきっとすぐ余計なものになる。
あまり、欲しいとは思わない。
「そういや、前いたところではcollarもらったりしてた?」
「赤い紐をもらってた」
「チョーカーとかじゃなくて?」
collarの単語本来の意味には動物の首輪というものがある。ペットとかにつけるそれだ。
それをイメージしてかcollarとして贈られるものはチョーカーが多いのだという。
実際、目の前にある店にも多種多様なチョーカーが置かれている。
もっともcollarはお互いがそれをcollarと認識していれば良いので、ネックレスでもピアスでも日常的に身につけられるものならなんでも良い。
だからといって赤い紐を選ぶセンスはさすがだと思う。
「あの人の家に上がってすぐに、その辺にあった赤い紐を首に巻かれた。多分なんかの包装に使われていたものだったと思う。おもむろに紐を手に取ったと思ったらキュって巻かれてた」
「何それ。ロマンがない。僕だったらちゃんと採寸からして渚にピッタリのチョーカーを贈るのに」
笑い話だと思っていたが、理玖さんが思ったよりむすくれている。
そんなに酷い話だっただろうか。
「サイズがピッタリなのは良いな。紐はキツく締められたせいで息をするだけでも首が絞まって痛かった」
「……そっかあ。ちなみにその紐はどうしたの?」
「切られた」
「え?」
「あの人が、俺を捨てる前に切った。切った残りは昨日着てた服のポッケに入ってる」
あの紐をつけているときも苦しかったが、切られた瞬間が一番苦しかった。
息がしやすくなったはずなのに、息苦しかった。
枷が取れて自由になったはずなのにどうしていいかわからなくて怖かった。
紐を切られ、あの場所を追い出され、彷徨っている間に多少は落ち着いたが、いまだに首に違和感がある。
首が絞まっていなくて、首から垂れる邪魔な紐を気にしなくてよくて、変な感じだ。
「ちょっと待ってね。想像より状況が酷い」
渚が片手で首を触っていると、理玖さんは荷物を置いてどこかへ電話をかけた。
なかなか繋がらないようだ。横顔からでも苛立っているとわかる。
結構マイペースで穏やかな感じのする理玖さんがこうなるとは珍しいことな気がする。
渚は何が理玖さんをそうさせるのかと先ほどまでの会話を思い返してみるが、渚には自分がとんでもないことを言ったという自覚がない。
「休日にほんとごめんね。うん、わかった。ありがとう」
電話は終わったようだ。いつにもなく真剣な表情をしている。
「とりあえず、車乗って」
「わかった」
終始無言で駐車場に向かい、助手席に乗せられる。
理玖さんはしばらく無言で運転していたが、何かを決意したのか口を開いた。
「今から、Dynamicsの専門の人のところに行くよ。うちの店の人で、休みだったけど緊急で来てもらった」
「そんなに急ぐの」
「急ぐ。詳しくは彼に聞いてほしいけど、collarを奪われるってだけでかなり危険な状態。その上パートナー契約も切れてるとなるとさらに危険。なんでか君は平気そうにしてるけど、本来ならすごい負担で瀕死の重症なはず」
渚は自分でもなんで平気なんだと思ってしまう。
健康とは程遠い身体だ。あちらこちらに傷がある。
筋肉も脂肪もほぼない鶏ガラみたいなやつだ。
「ほんとやらかした。昨日のうちに調べて貰えば良かった。見る目落ちてる。ほんとだめだ」
理玖さんは前を見たままぶつぶつとうわごとのように呟いている。
そんなにショックなことだったのだろうか。
「もうちょっとしたら待ち合わせ場所につく。そしたらちょっと待ってて。迎えが来るから」
「特徴、とかあります?」
「黒のパーカーとスウェット着てるって言ってた」
「特徴はないのか」
全身黒ずくめ、といえば若干の怪しさはあるか。
だがそれでもパーカーとスウェットではなんの目印にもならない。
せめて金ピカのアクセサリをつけてるとか、背が高いとか、もう少し何かあるだろう。
「まあ顔見たらわかるよ。彼すごい美形だし。渚のことは『潮風』って伝えてる」
「それが俺の偽名」
「そ。あの子らの前では僕のことも『オーナー』って呼んでね」
「気をつける」
渚から潮風。連想ゲームでもしたのだろう。
渚とは波打ち際を指す語だ。そこから塩からい海の空気、潮風の吹く波打ち際とでも思考を巡らせるのは結構自然な連想だと思う。
それにしても、偽名を使う仕事で、専属契約をしているDynamicsの専門家がいるとは一体具体的にどういった仕事なのだろうか。夜職系とは察していたが、実際どういった店を経営してるかは想像できない。
車窓を眺めてぼんやりしていると、次第に電源を切られたネオンサインが並ぶあたりへ入ってきた。
ここが理玖さんの店の近くだろう。
「はーいここで降りて」
「わかった」
「僕は荷物置いて、ちょっと着替えてくる。診断結果は一緒に聞くつもりだからすぐ戻る」
一度戻らないとアイスは溶けてしまうだろうし、今の服装はオーナーとしての理玖さんらしくない。
中華風の衣装が理玖さんをオーナーたらしめているのだろう。
あれはキャラ付けだと言っていたし。
「じゃあまたあとで」
「またあとで」
適当に道の端によってぼんやり景色を眺めながら待つ。
人通りは少なく、もう夕方なのに街は眠っているみたいだ。
時計も持っていないので時間が長く感じられる。
体感10分くらい待っていると遠くから足音が聞こえてきた。
目だけを動かして姿を見れば黒ずくめの男。フードをかぶっていて顔は見えないが間違いないだろう。
「あんたが、潮風か」
「ああ」
「潮風」は渚の偽名なのであまり感覚的に呼ばれた気がしないが返事をする。
少し声が掠れている。元からそういう声なのか、喉でも痛めたのか。
もし後者だったら申し訳ない。
男は渚のことを上から下まで眺めたあと、パッとフードを外した。
その姿が見覚えのあるものだったので思わず声が出る。
「貴方は……」
「翡翠。蒼が待ってる。行くぞ」
翡翠さんはポケットに手を突っ込んだまま歩き出す。
渚も慌ててそれについて行った。
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