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覚悟を見せる時 2
しおりを挟むアルジェールはすっかり元気になり、店の二階で楽しそうに遊んでいる。
「かぁさま!とうさまがんばってるね!」
「そうね……母様もお手伝いしたいんだけど」
「ぼくも応援する!かぁさまも、いっしょにおうえんするの!」
「そうね、応援がんばりましょう!」
「うんっ」
私たちは二階から下りて行き、こっそり頑張る姿を見守る。
レブランド様は私とアルジェールが姿を見せると、優しく微笑んだ。
その笑顔がとても好評で、お客様が色めき立ち、どんどん売り上げを積み上げていったらしい。
終わってみれば1000個どころか1100個近く売っていたとか。
夜に皆で食事をいただきながら、一日中パンを作り続けたラルフが恨み言を言っている。
「こんなにパンを作った事はないよ……レブランドさん、あなた凄すぎ」
「フッ。カタリナに相応しい人間になる為にはこれくらい出来なくては」
「俺だってそのくらいパンを作ったんだから、相応しい人間だと思いますけど?」
「くっ」
ラルフに対抗されたレブランド様は食事を頬張りながら、とても悔しそうにしている。
この二人は本当に仲が良いわよね。
お互い無自覚なんでしょうけど。
「まぁまぁ。今日のレブランドさんは本当に凄かったから、本気が伝わってきたよ」
「そうか、それは良かった!」
リイザさんに認めてもらえたレブランド様はとても満足げだわ。
こういうところがとても可愛いと思ってしまう。
ふと手を止めたおかみさんが、私に真剣な眼差しを向けてくる。
「明日にでもここを経つのかい?」
私は彼女の言葉に顔を上げた。
まだその話し合いはしていないけれど……レブランド様の方を見ると、小さく頷く。
「いや、準備もあるので数日後になると思う。アルジェールの事を考えて船で戻ろうと考えているのだ」
「船ね。その方が日数も少なくてすむもんね!この村での見送りになっちまうけど」
皆と別れるのは本当に辛い……今までの思い出が頭を巡り、涙が出そうになる。
お別れの話になるとしんみりしてしまいそうになるので、ワザと話題を変える事にした。
「そ、そうだ!リイザさん。今日はここに泊まってもいいですか?」
「もちろんだよ!どうしたんだい?」
「今日は息子とリイザさんと三人でお泊りしたいんです」
「それは嬉しいね~~さっそく寝床を整えてくるよ!」
「うふふっ。アルも一緒ね」
「うんっ!」
一度でいいから母親のように思っているおかみさんと息子と一緒に寝る、という事をしてみたかったのだ。
私は念願が叶いそうで喜びを隠し切れずにいると、レブランド様が寂しそうな声を出した。
「カタリナ……私も……」
「それはダメです。女性同士の語らいですから」
「そうか……」
「はははっ!フラれてしまいましたね!」
ラルフに笑われてしまい、肩を落とすレブランド様。
ごめんなさい、レブランド様とはこれから一緒に寝る事が出来ますし、お別れする前にしてみたくて。
でもこれからいくらでも寝られるなんて皆の前で言えるはずもなく、私はこっそり言葉を飲み込んだのだった。
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