番が逃げました、ただ今修羅場中〜羊獣人リノの執着と婚約破壊劇〜

く〜いっ

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7・後日談:リノの本気の告白

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旅の途中、静かな湖のほとりで、リノは深く深く息を吐く。

「リーリー。」

「なにかしら?」

「……僕、本気で、好きだよ。」

「……知ってるわ。」

「でも、違うんだ。
 これまでの“好き”と、今の“好き”は――もう、次元が違う。」

クラリーチェは扇子をぱたぱたと仰ぎながら首をかしげる。

「……?」

リノは、まっすぐに彼女を見つめた。

「もし……もし、リーリーが僕のことを、本当に嫌だって思ったら……その時は、僕を――殺して。」

クラリーチェは扇子を止めた。

「僕からは、絶対に……絶対に、リーリーを手放せないから。」

静かに、でも必死に伝えたリノの言葉。

少しの間、沈黙が流れ――クラリーチェは、ほんのり頬を赤く染めた。

「……リノ。」

「はい。」

「……わたくしの“好き”と、あなたの“好き”は――たぶん、同じ比重だとは思えないわ。」

「……。」

「けれど――小さい頃よりも、今までよりも、あなたが……とても愛おしく思うの。」

クラリーチェはゆっくりとリノに歩み寄り、柔らかく笑った。

「わたくしたち、本当の家族になりましょ。」

リノは、感極まり、涙をにじませながら、クラリーチェに手を伸ばす。

「……リーリー……!」

そのまま、唇にキスをしようと――

バシッ!

クラリーチェの扇子がリノの顔面にクリーンヒットした。

「――あら、ダメよ。」

「えっ?」

「“本当の家族”になりましょうって言ったでしょ?
 本当の姉弟は、唇にキスなんてしないものよ。」

「……違う! 違うんだよ、リーリー!!」

「……?」

「そっちの家族じゃないってばーーー!!」

リノ、人生最大の悲鳴。

その時、クラリーチェの扇子の影で――
実は、彼女の狼の耳が小さく、でも嬉しそうにピコピコと動いていたことに、リノは気づけなかった。

リノ――痛恨の見逃しだった。

―― おしまい。
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