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83.廃駅の肝試し①(怖さレベル:★★★)
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(怖さレベル:★★★:旧2ch 洒落怖くらいの話)
『20代男性 木ノ下さん(仮)』
あー……以前、ガソリンスタンドや
吊り橋での体験談を話させてもらったモンです。
いやぁ、もう、なんつーか……相変わらず、
オレたちはバカやってましてね。
前回、前々回もヒドい目に遭ってるつーのに、
まったく懲りねぇな、って自分でも思うくらいですよ。
……ああ。今回はどこへ行ってきたか、って?
まぁ、今回ばかりは不可抗力、ってのはあるんですが……
心霊スポットの定番、廃駅……ですね。
なんでも全国各地には、廃駅となった結果、
そのまま取り壊されずに朽ち果てている駅ってのが、いくつもあるんだそうで。
そのうちの一つが、うちの地元にもあったわけなんです。
そんであのバカな原が、いつかのように、
バイト仲間の女先輩に教えてもらった、っつーパターンですよ。
でも、オレらは二回もあんな目にあった肝試しなんて、
もう行くもんかって一回お断りを入れたんですよ。
あいつ、車も免許も持ってないから、
オレが行くって言わなきゃ足も無いし諦めるだろうと思って。
で、まあ思惑通り、さんざん文句は言われたものの、
同行を阻止することには成功しまして。
もうあんな目に遭わずにすむと、
オレと水島の二人はホッと一安心していたんです。
――が。
「ハァ……!? 例の先輩が、行方不明!?」
「こっ、声でけぇよアホ!」
いつものようにファミレスでダベっていたオレと水島の前に
現れた原が開口一番に訴えてきたその内容に、
オレは水島に肩を叩かれるほどの大声を上げてしまいました。
「そーなんだよ! 今日、バイト出勤のはずなのに連絡がつかねぇんだ」
だいぶ、熱を入れ上げていた相手です。
原の取り乱しっぷりときたら、
大学から付き合いだしたオレが見たこともないレベルでした。
「寝坊したとか、そういうオチじゃねぇの?」
水島が、ズズッとメロンソーダを啜りながら首を傾げました。
確かに、一日バイトをすっぽかしたくらい、
大げさに騒ぎ立てる内容じゃないと、オレも決まり悪く頷きました。
「ち、ちげぇんだよ……昨日、昨日の夜……っ!」
「あ? 夜?」
「先輩……友だちと、例の廃駅に肝試しに行く、って……!」
幼稚園児のように両手を振りまわす原をなだめつつ、
更に話を伺えば、詳しい成り行きはこうです。
オレが行かないと突っぱねたこと、下見ができなくなった原は、
下心も込みでいつかのように先輩に一緒に肝試しに行かないか、
と誘いをかけたのだそうです。
諦め半分、断られると思ったそれに、
意外にも返ってきたのはOKの返答。
そして、それの決行日が昨夜だったのだと。
思いもよらぬ先輩との肝試しに(彼女の友人も
同行予定だったそうですが)すっかり舞い上がった原は、
よせばいいのに前日から徹夜で幽霊対策やら山道歩きやらの調べものに費やし、
当日、すっかり寝坊してしまうという阿呆をやらかしたのだと。
「んで……ヤベェ、ってスマホ見たんだけど」
奴が目覚めた時には予定時刻をゆうに三時間は過ぎていて、
慌てて携帯を確認しても、不在着信や遅刻を
尋ねるメッセージ一つ入っていなかったのだとか。
「そりゃあ……まぁ、確かに妙だ。普通、
行く予定のヤツが時間に来なきゃ、電話の一本くらい入れるよな」
水島も、ようやく本気の眼差しでなにやら考え込みました。
「メッセージ送ってもぜんぜん返ってこねーし、
そのまま先輩たち行方知れずなんだよ……おかしいだろ?」
「いやぁ……お前の寝坊にキレて無視してるだけじゃねぇの」
「にしたって、もう夕方だぜ?
それに、おれに怒ってるっつったって、バイト先には連絡入れるだろ」
まさしく音信不通。
しかし、彼女の自宅を知らない原には、
それ以上調べようがなかったのだそうです。
「なぁ木ノ下……どうしても気になるんだよ。
先輩たち、肝試しに行って、どエラい目にあって帰れないんじゃないかって」
「もし、そうだとしたら……警察に任せるべきじゃねぇのか?」
本当に不測の事態が起きてしまったというのなら、
オカルト絡みであるにしろ、そうでないにしろ、
自分たちにできることなどありません。
「この段階で警察が動くかよ!? それに……
大ごとにしないで済むなら、その方がいいだろ」
珍しく真剣な表情を浮かべる原は、
本気で先輩たちの安否を気にかけているようでした。
もし不審者にでも襲われて連絡がつかないのだとしたら、
警察が動き出すのを待っていては、手遅れになるかもしれない。
今になって考えれば、それであったとしても一度警察、
もしくは親に話をしておくべきだったと思えるのですが、
当時はとにかく、想定外の事態にオレたちは混乱していたのだと思います。
ファミレスでの駄弁りもそこで切り上げて、
オレたちは慌てて出発の準備を始めたのでした。
>>
『20代男性 木ノ下さん(仮)』
あー……以前、ガソリンスタンドや
吊り橋での体験談を話させてもらったモンです。
いやぁ、もう、なんつーか……相変わらず、
オレたちはバカやってましてね。
前回、前々回もヒドい目に遭ってるつーのに、
まったく懲りねぇな、って自分でも思うくらいですよ。
……ああ。今回はどこへ行ってきたか、って?
まぁ、今回ばかりは不可抗力、ってのはあるんですが……
心霊スポットの定番、廃駅……ですね。
なんでも全国各地には、廃駅となった結果、
そのまま取り壊されずに朽ち果てている駅ってのが、いくつもあるんだそうで。
そのうちの一つが、うちの地元にもあったわけなんです。
そんであのバカな原が、いつかのように、
バイト仲間の女先輩に教えてもらった、っつーパターンですよ。
でも、オレらは二回もあんな目にあった肝試しなんて、
もう行くもんかって一回お断りを入れたんですよ。
あいつ、車も免許も持ってないから、
オレが行くって言わなきゃ足も無いし諦めるだろうと思って。
で、まあ思惑通り、さんざん文句は言われたものの、
同行を阻止することには成功しまして。
もうあんな目に遭わずにすむと、
オレと水島の二人はホッと一安心していたんです。
――が。
「ハァ……!? 例の先輩が、行方不明!?」
「こっ、声でけぇよアホ!」
いつものようにファミレスでダベっていたオレと水島の前に
現れた原が開口一番に訴えてきたその内容に、
オレは水島に肩を叩かれるほどの大声を上げてしまいました。
「そーなんだよ! 今日、バイト出勤のはずなのに連絡がつかねぇんだ」
だいぶ、熱を入れ上げていた相手です。
原の取り乱しっぷりときたら、
大学から付き合いだしたオレが見たこともないレベルでした。
「寝坊したとか、そういうオチじゃねぇの?」
水島が、ズズッとメロンソーダを啜りながら首を傾げました。
確かに、一日バイトをすっぽかしたくらい、
大げさに騒ぎ立てる内容じゃないと、オレも決まり悪く頷きました。
「ち、ちげぇんだよ……昨日、昨日の夜……っ!」
「あ? 夜?」
「先輩……友だちと、例の廃駅に肝試しに行く、って……!」
幼稚園児のように両手を振りまわす原をなだめつつ、
更に話を伺えば、詳しい成り行きはこうです。
オレが行かないと突っぱねたこと、下見ができなくなった原は、
下心も込みでいつかのように先輩に一緒に肝試しに行かないか、
と誘いをかけたのだそうです。
諦め半分、断られると思ったそれに、
意外にも返ってきたのはOKの返答。
そして、それの決行日が昨夜だったのだと。
思いもよらぬ先輩との肝試しに(彼女の友人も
同行予定だったそうですが)すっかり舞い上がった原は、
よせばいいのに前日から徹夜で幽霊対策やら山道歩きやらの調べものに費やし、
当日、すっかり寝坊してしまうという阿呆をやらかしたのだと。
「んで……ヤベェ、ってスマホ見たんだけど」
奴が目覚めた時には予定時刻をゆうに三時間は過ぎていて、
慌てて携帯を確認しても、不在着信や遅刻を
尋ねるメッセージ一つ入っていなかったのだとか。
「そりゃあ……まぁ、確かに妙だ。普通、
行く予定のヤツが時間に来なきゃ、電話の一本くらい入れるよな」
水島も、ようやく本気の眼差しでなにやら考え込みました。
「メッセージ送ってもぜんぜん返ってこねーし、
そのまま先輩たち行方知れずなんだよ……おかしいだろ?」
「いやぁ……お前の寝坊にキレて無視してるだけじゃねぇの」
「にしたって、もう夕方だぜ?
それに、おれに怒ってるっつったって、バイト先には連絡入れるだろ」
まさしく音信不通。
しかし、彼女の自宅を知らない原には、
それ以上調べようがなかったのだそうです。
「なぁ木ノ下……どうしても気になるんだよ。
先輩たち、肝試しに行って、どエラい目にあって帰れないんじゃないかって」
「もし、そうだとしたら……警察に任せるべきじゃねぇのか?」
本当に不測の事態が起きてしまったというのなら、
オカルト絡みであるにしろ、そうでないにしろ、
自分たちにできることなどありません。
「この段階で警察が動くかよ!? それに……
大ごとにしないで済むなら、その方がいいだろ」
珍しく真剣な表情を浮かべる原は、
本気で先輩たちの安否を気にかけているようでした。
もし不審者にでも襲われて連絡がつかないのだとしたら、
警察が動き出すのを待っていては、手遅れになるかもしれない。
今になって考えれば、それであったとしても一度警察、
もしくは親に話をしておくべきだったと思えるのですが、
当時はとにかく、想定外の事態にオレたちは混乱していたのだと思います。
ファミレスでの駄弁りもそこで切り上げて、
オレたちは慌てて出発の準備を始めたのでした。
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