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第2章~ヴァルキリーを連れ出せ~
レッドラグーンのリーダーは最後まで諦めません
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マユミさんの額から一瞬覗いたのは、彼女の持つ三つ目の目だ。ジョブ、パンパイアの持つ力でその目で見つめられた者は動けなくなり、最後には死ぬとさえ言われているわ
「では俺は行くぞ」
密かに死にかけていたことなどいざ知らず、ハヤテは勝ち誇った顔を浮かべながら歩き出す。だがその前にはエミールが立ちはだかった。
「ハヤテ様…いや、ハヤテ。おとなしくギルドに出向しろ」
「あん?その女が本当のことを言っている保証なんてどこにもないだろ」
加護を失い、まともに戦ったら勝てなくなっても、態度は変わらず大きい。
ハヤテを本気でおとなしくさせようと思ったら、嫌でも勝てないと思えるような相手が必要なのだろう。
「それなら私が保証しよう」
窓から入ってきたのはラフテルだ。俺のかけた闇魔法は解け、力が復活している。
白い羽を広げ、降り立つ姿は天使の如く美しい。殺伐としていた空気さえも、彼女が来たことでどこかに飛んでしまった。
「て、天使だとっ!?なぜ貴様までもが反逆者に加担する!ギルドから罰を受けたいのか!」
わめきたてるハヤテに、ラフテルは冷たい目を向けるだけだ。
「これ以上抵抗するなら腕の一本でも切り落としてやろうか」
脅しなどてはない。感情の揺らぎのないその言葉は、ただ事実だけを告げているようだった。さすがのハヤテもこれには大人しくなる。加護があろうとなかろうと、ラフテルには勝てない。それぐらいのことは分かるようだ。
「俺は…俺はなにもしては…」
「もういいだろ」
タケヤの拘束を解くと、ハヤテに歩み寄り、肩に手を当てた。
マヤは手首をレティに掴まれたまま、諦めたように下を向いている。
「いいわけないだろ!俺たちは何のために今まで頑張ってきたんだよ!俺達は4人で…4人?」
その瞬間、ハヤテの表情が変わった。
「そうだ。俺たちは4人でクランを立ち上げて、それで…」
まっすぐに俺と目があった。まさか、思い出したのか?一緒に冒険をした日々を。
始めてクエストを受け、ウルフを倒し、魔法で解体したあの日のこと。その後にも、難敵と言われていたモンスターをなんなく倒し続けた。
だとしても、今更どんな顔をしたらいいのかわからない。喜んでいいのか?それとも、遅すぎる!と、怒るべきなのか?
「なんて言うと思ったか?」
ハヤテがにやっと笑うと、馬鹿にしたように舌を出した。
俺はよほどひどい顔をしたのだろう。ハヤテは心底満足そうに笑った。
「くくく、ははははは…俺は悪くない、そうだ、誰かが裏で手を回したに違いない。誰だよ!出てきやがれ!」
「甚だ不快なやつだな」
慈悲はもうなかった。ラフテルは一撃で気絶させると、手足を縛って拘束した。タケヤとマヤは自ら手を差し出し、お縄についた。これにて、レッドラグーンのトップは捕まり、数日後にはクランは消滅するだろう。
「ヤマト、貴方にも報告があります」
マユミさんは俺のもとに歩み寄ると、いつものように微笑んだ。
「貴方の指名手配は解除されました。一時的に除名されていた冒険者ギルドへも復帰することが可能です。どうしますか?」
「冒険者ギルド、か」
思えば、ヴァルキリーを取り戻ることだけを考えていて、その先のことは何も決めていなかった。
「少し、時間をいただけないでしょうか」
「ヤマト様!?」
エミールにも話は聞こえていたようだ。ハヤテの手を縛り終えたその足で、かけよってくる。
「まさか、冒険者を辞められるのですか!?」
「それも選択肢の一つだとは思っているよ」
新たに知らない冒険者と出会い、裏切られたりなんかしたらゴメンだ。それなら、信頼できる仲間と一緒にいたほうがよっぽど安心だ。そう、イレギュラーのメンバーと。
「分かったわ。決まったら教えて頂戴」
マユミさんは頷くと、俺の横を通り過ぎていく。そして、すれ違いざまに耳元で囁いた。
「明日の夜には帰るようにするわ。みんなを集めておいて」
俺を思ってのことだとすぐに分かった。
「ありがとうございます」
俺がいい終える頃には、マユミさんはとっくに離れていて、ラフテルと何やら話していた。
「あの、ヤマト様!」
エミールは俺の前に立つと、気をつけの姿勢をとった。エミールだけじゃない。他にも何人かが、列を為して立っている。
「どうしたんだよ。それに様はやめてくれ。俺はクランとは関係ない」
「それならば、私達もすでに関係ありません」
エミールは真剣だった。片膝をつくと、俺を見上げる格好で顔を上げた。
「その…誠に不躾でありますが、個人的なご要望を聞いていただけないでしょうか」
その必死さに気圧されて、頷いて続きを促すのがやっとだ。
エミールならないと思うが、ヴァルキリーの加護がほしいと言われたらどうしたものか。考えられることを総動員して返事を用意する。
「ヤマト様のクランに入れてください」
「は?俺の?いやいやそもそもそんなものはないし」
作る予定もない。俺がクランのリーダーに?考えもしなかった。
だが、エミールは間違いなく本気だ。エミールと一緒に話を聞いていたメンバーも、気がつけば膝をついていた。そのにいるのは皆、見覚えのある面々ばかりだ。
「我々はヤマト様のおかげで強くなれました。そして、これからも強くなりたいです」
まっすぐな瞳に思わず目をそらした。
彼らの強い決意に応えられるものを、果たして俺は持っているのだろうか。
「悪いな。すぐには決められない」
「そう、ですか…分かりました。もしクランを作るようでしたら誘ってください」
「ありがとう」
エミールたちは離れていき、何やら話し合いをしている。
集まっているのは彼らだけじゃない。見えるだけでも5つほどのグループが出来ていて、話し声が途切れることはない。
遠くない未来に、レッドラグーンは消滅する。クランメンバーはこれからどうするのか考えなくてはいけないのだ。
「では俺は行くぞ」
密かに死にかけていたことなどいざ知らず、ハヤテは勝ち誇った顔を浮かべながら歩き出す。だがその前にはエミールが立ちはだかった。
「ハヤテ様…いや、ハヤテ。おとなしくギルドに出向しろ」
「あん?その女が本当のことを言っている保証なんてどこにもないだろ」
加護を失い、まともに戦ったら勝てなくなっても、態度は変わらず大きい。
ハヤテを本気でおとなしくさせようと思ったら、嫌でも勝てないと思えるような相手が必要なのだろう。
「それなら私が保証しよう」
窓から入ってきたのはラフテルだ。俺のかけた闇魔法は解け、力が復活している。
白い羽を広げ、降り立つ姿は天使の如く美しい。殺伐としていた空気さえも、彼女が来たことでどこかに飛んでしまった。
「て、天使だとっ!?なぜ貴様までもが反逆者に加担する!ギルドから罰を受けたいのか!」
わめきたてるハヤテに、ラフテルは冷たい目を向けるだけだ。
「これ以上抵抗するなら腕の一本でも切り落としてやろうか」
脅しなどてはない。感情の揺らぎのないその言葉は、ただ事実だけを告げているようだった。さすがのハヤテもこれには大人しくなる。加護があろうとなかろうと、ラフテルには勝てない。それぐらいのことは分かるようだ。
「俺は…俺はなにもしては…」
「もういいだろ」
タケヤの拘束を解くと、ハヤテに歩み寄り、肩に手を当てた。
マヤは手首をレティに掴まれたまま、諦めたように下を向いている。
「いいわけないだろ!俺たちは何のために今まで頑張ってきたんだよ!俺達は4人で…4人?」
その瞬間、ハヤテの表情が変わった。
「そうだ。俺たちは4人でクランを立ち上げて、それで…」
まっすぐに俺と目があった。まさか、思い出したのか?一緒に冒険をした日々を。
始めてクエストを受け、ウルフを倒し、魔法で解体したあの日のこと。その後にも、難敵と言われていたモンスターをなんなく倒し続けた。
だとしても、今更どんな顔をしたらいいのかわからない。喜んでいいのか?それとも、遅すぎる!と、怒るべきなのか?
「なんて言うと思ったか?」
ハヤテがにやっと笑うと、馬鹿にしたように舌を出した。
俺はよほどひどい顔をしたのだろう。ハヤテは心底満足そうに笑った。
「くくく、ははははは…俺は悪くない、そうだ、誰かが裏で手を回したに違いない。誰だよ!出てきやがれ!」
「甚だ不快なやつだな」
慈悲はもうなかった。ラフテルは一撃で気絶させると、手足を縛って拘束した。タケヤとマヤは自ら手を差し出し、お縄についた。これにて、レッドラグーンのトップは捕まり、数日後にはクランは消滅するだろう。
「ヤマト、貴方にも報告があります」
マユミさんは俺のもとに歩み寄ると、いつものように微笑んだ。
「貴方の指名手配は解除されました。一時的に除名されていた冒険者ギルドへも復帰することが可能です。どうしますか?」
「冒険者ギルド、か」
思えば、ヴァルキリーを取り戻ることだけを考えていて、その先のことは何も決めていなかった。
「少し、時間をいただけないでしょうか」
「ヤマト様!?」
エミールにも話は聞こえていたようだ。ハヤテの手を縛り終えたその足で、かけよってくる。
「まさか、冒険者を辞められるのですか!?」
「それも選択肢の一つだとは思っているよ」
新たに知らない冒険者と出会い、裏切られたりなんかしたらゴメンだ。それなら、信頼できる仲間と一緒にいたほうがよっぽど安心だ。そう、イレギュラーのメンバーと。
「分かったわ。決まったら教えて頂戴」
マユミさんは頷くと、俺の横を通り過ぎていく。そして、すれ違いざまに耳元で囁いた。
「明日の夜には帰るようにするわ。みんなを集めておいて」
俺を思ってのことだとすぐに分かった。
「ありがとうございます」
俺がいい終える頃には、マユミさんはとっくに離れていて、ラフテルと何やら話していた。
「あの、ヤマト様!」
エミールは俺の前に立つと、気をつけの姿勢をとった。エミールだけじゃない。他にも何人かが、列を為して立っている。
「どうしたんだよ。それに様はやめてくれ。俺はクランとは関係ない」
「それならば、私達もすでに関係ありません」
エミールは真剣だった。片膝をつくと、俺を見上げる格好で顔を上げた。
「その…誠に不躾でありますが、個人的なご要望を聞いていただけないでしょうか」
その必死さに気圧されて、頷いて続きを促すのがやっとだ。
エミールならないと思うが、ヴァルキリーの加護がほしいと言われたらどうしたものか。考えられることを総動員して返事を用意する。
「ヤマト様のクランに入れてください」
「は?俺の?いやいやそもそもそんなものはないし」
作る予定もない。俺がクランのリーダーに?考えもしなかった。
だが、エミールは間違いなく本気だ。エミールと一緒に話を聞いていたメンバーも、気がつけば膝をついていた。そのにいるのは皆、見覚えのある面々ばかりだ。
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