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第2章~ヴァルキリーを連れ出せ~
今後の事を決めましょう
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レッドラグーンの一件が片付いた翌日、マユミさんは約束通り、イレギュラーの拠点へと戻ってきた。ミサ、ティア、ユエ、ユレイルそれから俺のにマユミさんを加えた計6人が執務室に集まった。
「さてヤマト、話を聞かせてもらおうか」
ミサは椅子に座ってのけ反ったまま、足を組んでいて、その隣ではティアが心配そうに胸の前で両手を合わせていた。ユエは壁に背中を預けたまま下を向いていたが、目だけはきちんとこちらを向いている。
彼らなら、きっといいヒントをくれるだろう。
「冒険者ギルドから再登録の打診が来た」
「まあ」と短く言うと、ティアは手を合わせ、曇っていた顔が明るくなった。
「よかったじゃない」
「そうなのか?」
「浮かない顔だな。悪い話ではなかろう」
期待していたのとは違う反応だった。ギルドなんて信用ならない。近づくべきではない。そう言ってくれるんじゃないかと思っていた。
「予想外とばかりの反応じゃないか、ヤマト少年」
「ああ。てっきりみんなギルドを嫌いなのかと」
「別に好きでもないが、特別嫌う理由もないな」
ミサがあっけらんと言うと、ティアとユエも頷いた。入り口の横に佇むユレイルは、顔こそ見えなかったが、縦方向の揺らぎがいつもよりも大きく見えた。多分肯定なのだろう。
「俺はギルドに戻ってクエストを受けようとは思えない」
「それはまた贅沢な悩みだな」
ユエに言われて皆を見ると、ミサは気まずそうに目をそらし、ティアは困ったように笑っていた。
まるで何かを隠されているようだ。その正体を教えてくれたのは、ソファーに座ってお茶を飲んでいたマユミさんだった。閉じられていた目はすっと開き、色のない真っ白な目と真っ黒なからは禍々しいオーラが溢れ出し、部屋の空気が一気に重くなった。
「ヤマト、貴方以外は皆ギルドに戻ることすら出来ないのよ」
「それってどういう…」
「アタイのことは前に話したよな。ムカついたヤツをぶん殴った。もう二度とクエストなんてしたくなるなるぐらいによ」
つまりブラックリストに載っているということだろう。ミサはみるからに気性が荒いからわかるが、他の面々はどうだろう。
ティアなんて見るからに優しい女の子で、とても争い事を好むようには思えない。
「えーっと…私?そうね…私のために争わないで、みたいなことがあって、クランが10個ぐらい潰れたわ」
それならなんか納得だ。本人の知らぬところでいざこざがあって、結果的に巻き込まれたのだろう。
じゃあユエも同じ口か?整った顔立ちは、女性ウケするものだ。人気があっても不思議じゃない。
「俺は人を食った」
「それはえーっと…腕とか頭的な方向で?」
性的な意味で?とか聞きそうになったが、場違いな気がしたのでごまかした。
結果的には正解だったようだ。
「ごまかし方がよくわからんがそのとおりだ。村何個かが俺の胃袋の中にある」
ビーストとは聞いていたが、マジモンの獣…それどころか、魔獣の域じゃないのかそれ。何にせよ人間業とは思えない。
「ちなみに、今ここで俺が食われたりとかしないよな?」
「心配するな。発作は抑えられている」
つまり今は問題ないと。だとしても、ギルドとしては危険人物であることは間違いないだろう。
最後はユレイルだ。こいつは影…危険性がよくわからん。
「知らぬほうがいいこともある」
「そ、そうか」
いいたくないなら無理に聞くこともないか。何にせよ、3人が冒険者ギルドに戻れないことは分かった。
「だったら3人的には、俺はギルドに戻ったほうがいいと思うのか?」
「それを決めるのは少年だ…と言いたいところだが、わざわざ頼ってくれたんだ。あえて答えるならば、アタイはそっちのほうがいいと思ってる。可能性が広がる」
ミサはいつになく真剣な顔をすると、頭をかきながら答えてくれた。だが、いまいちピンとこない。
「可能性ってなんだ?」
「ああ。なんだかんだでギルドの権力は大きい。与えられたクエストをこなして名を上げていけば、ギルドや国の重要人物に会うこともあるだろう。もし本当にやりたいことが見つかった時にそれは大きな武器になる」
俺にやりたいことなんて出来るのだろうか?疑問は拭えない。
エミールは俺にクランを作ってほしいと言ってきた。それはとても嬉しいことだ。頭では分かっていても、心が反応してくれない。
ならば答えは最初から決まっている。
「やりたいことないし、これからやりたいことが出来るのかも分からない。けど俺が今望むのは、この場所、イレギュラーにいさせてほしいってことだ」
ミサは答えない。目を閉じると、俯いてしまった。
何か怒らせるようなことを言ってしまったのか?
無言の空間に不安ばかりが積もる。下を向いた俺に、自分のものとは違う影が重なった。
「構わない」
顔を上げると、ユレイルがいた。いつもは最後まで口を開かないのに、珍しく最初に言葉を発した。
「もとより連れてきた身だ。皆が反対しても最後まで面倒は見る」
静かなその声に、乱暴な声が重なった。
「おいおいユレイル、それじゃあまるでアタイ達が冷たい人間みたいじゃないかい。誰が反対するっていうんだよ、そうだろティア、ユエ」
下を向いてたはずのミサは顔を上げていて、白い歯を出して笑った。ティアは目に涙を浮かべながら、何度も頷く。
そしてユエは壁に預けていた体を前に投げ出すと、2本足でしっかり立ち、体をこちらに向けた。
「歓迎するぞ、同胞」
ぱちぱちぱちと、まばらながら拍手は起こる。ミサにティア、ユエ。三人の手から温かい音が聞こえる。ユレイルだけは、手を叩いているものの、空気が揺れるだけだ。
ほっとした。よかった…今更になって思ったが、ここで断られていたら一生立ち直れなかったかもしれない。
イレギュラーにいられなくなることは、俺にとっての二度目の追放に等しい。信じていた相手に二度も裏切られるなんて耐えられない。もう死ぬか、世界を滅ぼすかの二択しか生まれないところだった。
「さてヤマト、話を聞かせてもらおうか」
ミサは椅子に座ってのけ反ったまま、足を組んでいて、その隣ではティアが心配そうに胸の前で両手を合わせていた。ユエは壁に背中を預けたまま下を向いていたが、目だけはきちんとこちらを向いている。
彼らなら、きっといいヒントをくれるだろう。
「冒険者ギルドから再登録の打診が来た」
「まあ」と短く言うと、ティアは手を合わせ、曇っていた顔が明るくなった。
「よかったじゃない」
「そうなのか?」
「浮かない顔だな。悪い話ではなかろう」
期待していたのとは違う反応だった。ギルドなんて信用ならない。近づくべきではない。そう言ってくれるんじゃないかと思っていた。
「予想外とばかりの反応じゃないか、ヤマト少年」
「ああ。てっきりみんなギルドを嫌いなのかと」
「別に好きでもないが、特別嫌う理由もないな」
ミサがあっけらんと言うと、ティアとユエも頷いた。入り口の横に佇むユレイルは、顔こそ見えなかったが、縦方向の揺らぎがいつもよりも大きく見えた。多分肯定なのだろう。
「俺はギルドに戻ってクエストを受けようとは思えない」
「それはまた贅沢な悩みだな」
ユエに言われて皆を見ると、ミサは気まずそうに目をそらし、ティアは困ったように笑っていた。
まるで何かを隠されているようだ。その正体を教えてくれたのは、ソファーに座ってお茶を飲んでいたマユミさんだった。閉じられていた目はすっと開き、色のない真っ白な目と真っ黒なからは禍々しいオーラが溢れ出し、部屋の空気が一気に重くなった。
「ヤマト、貴方以外は皆ギルドに戻ることすら出来ないのよ」
「それってどういう…」
「アタイのことは前に話したよな。ムカついたヤツをぶん殴った。もう二度とクエストなんてしたくなるなるぐらいによ」
つまりブラックリストに載っているということだろう。ミサはみるからに気性が荒いからわかるが、他の面々はどうだろう。
ティアなんて見るからに優しい女の子で、とても争い事を好むようには思えない。
「えーっと…私?そうね…私のために争わないで、みたいなことがあって、クランが10個ぐらい潰れたわ」
それならなんか納得だ。本人の知らぬところでいざこざがあって、結果的に巻き込まれたのだろう。
じゃあユエも同じ口か?整った顔立ちは、女性ウケするものだ。人気があっても不思議じゃない。
「俺は人を食った」
「それはえーっと…腕とか頭的な方向で?」
性的な意味で?とか聞きそうになったが、場違いな気がしたのでごまかした。
結果的には正解だったようだ。
「ごまかし方がよくわからんがそのとおりだ。村何個かが俺の胃袋の中にある」
ビーストとは聞いていたが、マジモンの獣…それどころか、魔獣の域じゃないのかそれ。何にせよ人間業とは思えない。
「ちなみに、今ここで俺が食われたりとかしないよな?」
「心配するな。発作は抑えられている」
つまり今は問題ないと。だとしても、ギルドとしては危険人物であることは間違いないだろう。
最後はユレイルだ。こいつは影…危険性がよくわからん。
「知らぬほうがいいこともある」
「そ、そうか」
いいたくないなら無理に聞くこともないか。何にせよ、3人が冒険者ギルドに戻れないことは分かった。
「だったら3人的には、俺はギルドに戻ったほうがいいと思うのか?」
「それを決めるのは少年だ…と言いたいところだが、わざわざ頼ってくれたんだ。あえて答えるならば、アタイはそっちのほうがいいと思ってる。可能性が広がる」
ミサはいつになく真剣な顔をすると、頭をかきながら答えてくれた。だが、いまいちピンとこない。
「可能性ってなんだ?」
「ああ。なんだかんだでギルドの権力は大きい。与えられたクエストをこなして名を上げていけば、ギルドや国の重要人物に会うこともあるだろう。もし本当にやりたいことが見つかった時にそれは大きな武器になる」
俺にやりたいことなんて出来るのだろうか?疑問は拭えない。
エミールは俺にクランを作ってほしいと言ってきた。それはとても嬉しいことだ。頭では分かっていても、心が反応してくれない。
ならば答えは最初から決まっている。
「やりたいことないし、これからやりたいことが出来るのかも分からない。けど俺が今望むのは、この場所、イレギュラーにいさせてほしいってことだ」
ミサは答えない。目を閉じると、俯いてしまった。
何か怒らせるようなことを言ってしまったのか?
無言の空間に不安ばかりが積もる。下を向いた俺に、自分のものとは違う影が重なった。
「構わない」
顔を上げると、ユレイルがいた。いつもは最後まで口を開かないのに、珍しく最初に言葉を発した。
「もとより連れてきた身だ。皆が反対しても最後まで面倒は見る」
静かなその声に、乱暴な声が重なった。
「おいおいユレイル、それじゃあまるでアタイ達が冷たい人間みたいじゃないかい。誰が反対するっていうんだよ、そうだろティア、ユエ」
下を向いてたはずのミサは顔を上げていて、白い歯を出して笑った。ティアは目に涙を浮かべながら、何度も頷く。
そしてユエは壁に預けていた体を前に投げ出すと、2本足でしっかり立ち、体をこちらに向けた。
「歓迎するぞ、同胞」
ぱちぱちぱちと、まばらながら拍手は起こる。ミサにティア、ユエ。三人の手から温かい音が聞こえる。ユレイルだけは、手を叩いているものの、空気が揺れるだけだ。
ほっとした。よかった…今更になって思ったが、ここで断られていたら一生立ち直れなかったかもしれない。
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