徳川慶勝、黒船を討つ

克全

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第1章

22話

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 ドゥーン!
 ダッーン!
 ドッーン!

 大砲と大鉄砲の砲声が鳴り響いていた。
 高島秋帆と弟子達の指揮の元、幕臣と尾張派諸藩が砲術訓練をしている。
 砲弾を無駄にしないように、再使用できるように、完成したばかりの江戸湾のお台場ではなく、江戸の郊外での砲術訓練だった。

 この一年の動きは劇的だった。
 尾張家をはじめとする尾張派諸侯の官位は極官となり、もっとも石高が低かった母里藩越前松平家でさえ、余裕をもって老中を就任ができるように、四万石加増され五万石の石高になっていた。

 武装や生産の問題は、流石にまだ反射高炉は完成せず、湯島に大小砲鋳立場が設立されていた。
 もちろん尾張派諸藩内にも独自の大小砲鋳立場が設立され、蘭国から技術者も招かれ、急速に南蛮の武器製造技術が取り入れられていた。
 だが今は、旧式の鎖国以前からの大砲と大鉄砲で訓練するしかない。

「和製鉄砲と大筒の口径と砲弾重量」
大筒:一貫(三・七五キログラム)の砲弾を発射する口径八四・二ミリ
半筒:半貫(一・八七五キログラム)の砲弾を発射する口径
分砲:二五疋(九三七・五グラム)砲弾を発射する口径
大鉄砲:二〇匁(七五グラム)口径二三・五八ミリ
   :三〇匁(一一二・五グラム)口径二六・九九ミリ
   :五〇匁(一八七・五グラム)口径三三・〇四ミリ
   :一〇〇匁(三七五グラム)口径三九・五ミリ

 江戸湾砲台場を完成させるために、高輪の八ツ山や御殿山を切り崩して大量の土を調達した。
 諸藩から購入した大砲と大鉄砲は、その江戸湾砲台場に設置されていた。
 八カ月の短期間で、江戸湾の五ケ所のが埋め立てられ砲台場完成していた
 諸藩も厳しい勝手向きを少しでも改善すべく、藩内にある大砲と大鉄砲を進んで売り払ったため、武装が幕府や尾張派諸藩よりも低下していった。

 だが、相手は国内の外様反幕派ではない。
 強力な大砲を何十と搭載した南蛮の戦艦艦隊だ。
 それを打ち払うためには、最低でも同等の大砲が必要だった。
 幕臣や藩士に訓練させている夜間斬り込み拿捕は、正面から撃ち合えない弱者の戦法でしかない。

 その事は、アヘン戦争で清国が英国に敗れて以来、南蛮対策に奔走している徳川慶恕が誰よりも理解していた。
 だから、反射高炉の完成と大型艦載砲の鋳造のために、蘭国より技師を招こうとしていたが、流石に江戸近郊では問題があり、尾張藩領内の設置しようとしていた。
 そして蘭国技師に学ぶなら、日本の基準を捨てる覚悟をしていた。
 貫疋匁で大砲の大きさを表現するのではなく、ポンドで表現することにした。
 そして将来は艦載砲として活用すべく、艦載砲を基準にした。

ダブルカノン :六八ポンド砲
カノン    :四二ポンド砲
デミカノン  :三二ポンド砲
カルバリン  :一八ポンド砲
デミカルバリン: 九ポンド砲
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