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第二章
45話
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「女王陛下!
どうか、どうか、どうか御慈悲を願います。
ケリガン王を元の姿に戻してください。
そうしていただければ、ドレスガン王国の内戦が収まります。
多くの民が死傷しなくてすみます。
伏してお願い申し上げます」
コレクト王国の使者が、地に頭が接するほど礼をとります。
ミアヒス王は妹や甥のために、火の中に飛び込む気なのでしょうか?
ルークがあれほど怒っていたのです。
私ですら、止める事ができなかったのです。
それをこのような事を言ってきて、ただですむと思っているのでしょうか?
「それは、ミアヒス陛下の真意なのですか?
コレクト王国の総意なのですか?
貴男も聞いていますよね?
ルークは私の制止を振り切って呪いをかけたのです。
もう私の手には余るのです。
それにもかかわらず、そのような事を願い出たら、ルークが暴れますよ。
呪いを受けるのが、ミアヒス陛下一人ですまなくなるかもしれませんよ?」
あ?!
今思いついてしまいました!
この使者は、いえ、この使者を送った黒幕は、ミアヒス王とその子供達が変化させられるのを望んでいるのかもしれません。
国が王位継承争いの内乱になろうとも、自分が国王になれる可能性を選んだのかもしれません。
誰かを殺し不幸にしてでも、権力を手にしたいという身勝手な人間は、どの時代にも、どのような場所にもいます。
「我が主君は隣国の不幸を見過ごせないだけで、私利私欲で私を使者に送った訳ではありません。
全ては戦乱に苦しむ民を思っての事でございます。
常に民を想い、慈悲の心で接してこられた女王陛下ならば、我が主君の想いも分かって頂けると信じ、このように願い出させていただきました」
本当でしょうか?
確かに私は公爵令嬢の頃から領民に慈悲深く接してきました。
いえ、それだけではなく、王太子の婚約者として、王国の民にも慈悲深く接していました。
特にルークを父上や兄上から守ったのは有名な話です。
ルークと私の弱みを見つけるために、各国は私とルークの過去を徹底的に調べているでしょう。
その中には、民に甘いという点が際立つはずです。
子供に救いの手を差し伸べて来たと言うのは、弱点として見ているはずです。
それを見逃す為政者はいないでしょう。
今回もその点を突いて、ルークと私を抑え込もうとしているのでしょう。
「お姉ちゃん。
こいつ殺していい?
疣臭豚に変化させるだけでは駄目だったよ。
お姉ちゃんは人を殺してはいけないというけど、こいつら殺さないと分からないんだよ。
殺しちゃおうよ、お姉ちゃん」
「駄目よ、ルーク……」
私がルークに眼を向けた途端、今まで話していた使者が、隠し持っていた短剣を抜いて突っ込んできます!
ルークが私を助けようと、盾になるべく私の前にでてきます!
懇願しながら徐々に近付いて来ていたのは、このためだったのですね!
どうか、どうか、どうか御慈悲を願います。
ケリガン王を元の姿に戻してください。
そうしていただければ、ドレスガン王国の内戦が収まります。
多くの民が死傷しなくてすみます。
伏してお願い申し上げます」
コレクト王国の使者が、地に頭が接するほど礼をとります。
ミアヒス王は妹や甥のために、火の中に飛び込む気なのでしょうか?
ルークがあれほど怒っていたのです。
私ですら、止める事ができなかったのです。
それをこのような事を言ってきて、ただですむと思っているのでしょうか?
「それは、ミアヒス陛下の真意なのですか?
コレクト王国の総意なのですか?
貴男も聞いていますよね?
ルークは私の制止を振り切って呪いをかけたのです。
もう私の手には余るのです。
それにもかかわらず、そのような事を願い出たら、ルークが暴れますよ。
呪いを受けるのが、ミアヒス陛下一人ですまなくなるかもしれませんよ?」
あ?!
今思いついてしまいました!
この使者は、いえ、この使者を送った黒幕は、ミアヒス王とその子供達が変化させられるのを望んでいるのかもしれません。
国が王位継承争いの内乱になろうとも、自分が国王になれる可能性を選んだのかもしれません。
誰かを殺し不幸にしてでも、権力を手にしたいという身勝手な人間は、どの時代にも、どのような場所にもいます。
「我が主君は隣国の不幸を見過ごせないだけで、私利私欲で私を使者に送った訳ではありません。
全ては戦乱に苦しむ民を思っての事でございます。
常に民を想い、慈悲の心で接してこられた女王陛下ならば、我が主君の想いも分かって頂けると信じ、このように願い出させていただきました」
本当でしょうか?
確かに私は公爵令嬢の頃から領民に慈悲深く接してきました。
いえ、それだけではなく、王太子の婚約者として、王国の民にも慈悲深く接していました。
特にルークを父上や兄上から守ったのは有名な話です。
ルークと私の弱みを見つけるために、各国は私とルークの過去を徹底的に調べているでしょう。
その中には、民に甘いという点が際立つはずです。
子供に救いの手を差し伸べて来たと言うのは、弱点として見ているはずです。
それを見逃す為政者はいないでしょう。
今回もその点を突いて、ルークと私を抑え込もうとしているのでしょう。
「お姉ちゃん。
こいつ殺していい?
疣臭豚に変化させるだけでは駄目だったよ。
お姉ちゃんは人を殺してはいけないというけど、こいつら殺さないと分からないんだよ。
殺しちゃおうよ、お姉ちゃん」
「駄目よ、ルーク……」
私がルークに眼を向けた途端、今まで話していた使者が、隠し持っていた短剣を抜いて突っ込んできます!
ルークが私を助けようと、盾になるべく私の前にでてきます!
懇願しながら徐々に近付いて来ていたのは、このためだったのですね!
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