公爵令嬢が婚約破棄され、弟の天才魔導師が激怒した。

克全

文字の大きさ
61 / 63
第三章

60話

しおりを挟む
 正直な話、本気で驚きました。
 まったく想像もしていなかった質問に、虚を突かれました。
 体と頭が固まって、何も考えられず、すぐに返事ができなかったです。
 それでも、公爵令嬢として受けてきた教育の御陰か、ルークの姉として経験してきた事の積み重ねか、恥をかく前に何とか答えることができました。

「さて、そんな事は考えたこともありませんでした。
 一度のルークに聞いてみなければけませんね。
 ですがそれは、貴女の居ない場所がいいでしょう。
 貴女になにか触りがあってはいけませんからね」

 えぇぇぇぇと。
 この娘の名前は何と言ったでしょうか?
 余りの衝撃に名前が飛んでしまいました。
 国は、そう国はホワイト王国で、王家もホワイ王家です。
 名前は、そう!
 名前はレイナでしたね。
 王の娘には全員婚約者がいたので、弟の娘を養女にして、飾りの王族全権大使にして送り込んできたのでした。
 ですが色々あって交代の王族が送られてくる事も帰国することもできず、城下で三年もの間、欝々とした年月を積み重ねていたのでした。
 本来ならどこかに輿入れしていてもおかしくない年齢になっています。
 申し訳ないことをしましたね。
 どうしてあげるのがいいのでしょうか?

「貴女達には本当に申し訳ない事をしたと思っています。
 もし本国から無理難題を押し付けられているのなら、責任を持って対処します。
 人質をとられているのなら、必ず無事に取り返すと約束します。
 婚期を逃したと言うのなら、相手を探します。
 家柄を優先するのか、人柄を優先するのか、それとも容姿が大切なのか、遠慮なく言ってください」

 まあ、そうは言っても、素直に本心を口にしてくれるとは限りません。
 相手は王族です。
 現国王の直系ではありませんが、傍流と言い切るには血が濃いです。
 先代王の直系ですから、王族としては十分な位置ですね。
 当然ですが、蝶よ花よと育てられた深窓の令嬢でしょう。
 国王や海千山千の大臣に脅されたら、何の抵抗も出来ないでしょう。

「いえ、そのような事はございません。
 決して父母や国王陛下に無理強いされたわけではないのです。
 わたくし、動物や半人間にも御優しいルーク様をお慕いしているのです。
 幼い頃から、動物が大好きでした。
 父母に無理を言って、小さな犬や猫を貰って育てた事もあります。
 ですが、大きな動物を育てる事は許してもらえませんでした。
 もし、ルーク様の妻になれたら、大きな動物も育てさせてもらえるのではないか?
 半人間のお世話も出来るのではないか?
 そう考えて、御教え願いたいと、厚かましくも謁見を願い出たのでございます。
 どうか、どうか、御教えくださいませ!」

 はい?
 なんですって?
しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

婚約破棄の上に家を追放された直後に聖女としての力に目覚めました。

三葉 空
恋愛
 ユリナはバラノン伯爵家の長女であり、公爵子息のブリックス・オメルダと婚約していた。しかし、ブリックスは身勝手な理由で彼女に婚約破棄を言い渡す。さらに、元から妹ばかり可愛がっていた両親にも愛想を尽かされ、家から追放されてしまう。ユリナは全てを失いショックを受けるが、直後に聖女としての力に目覚める。そして、神殿の神職たちだけでなく、王家からも丁重に扱われる。さらに、お祈りをするだけでたんまりと給料をもらえるチート職業、それが聖女。さらに、イケメン王子のレオルドに見初められて求愛を受ける。どん底から一転、一気に幸せを掴み取った。その事実を知った元婚約者と元家族は……

捨てられた聖女、自棄になって誘拐されてみたら、なぜか皇太子に溺愛されています

h.h
恋愛
「偽物の聖女であるお前に用はない!」婚約者である王子は、隣に新しい聖女だという女を侍らせてリゼットを睨みつけた。呆然として何も言えず、着の身着のまま放り出されたリゼットは、その夜、謎の男に誘拐される。 自棄なって自ら誘拐犯の青年についていくことを決めたリゼットだったが。連れて行かれたのは、隣国の帝国だった。 しかもなぜか誘拐犯はやけに慕われていて、そのまま皇帝の元へ連れて行かれ━━? 「おかえりなさいませ、皇太子殿下」 「は? 皇太子? 誰が?」 「俺と婚約してほしいんだが」 「はい?」 なぜか皇太子に溺愛されることなったリゼットの運命は……。

「君の代わりはいくらでもいる」と言われたので、聖女をやめました。それで国が大変なことになっているようですが、私には関係ありません。

木山楽斗
恋愛
聖女であるルルメアは、王国に辟易としていた。 国王も王子達も、部下を道具としか思っておらず、自国を発展させるために苛烈な業務を強いてくる王国に、彼女は疲れ果てていたのだ。 ある時、ルルメアは自身の直接の上司である第三王子に抗議することにした。 しかし、王子から返って来たのは、「嫌ならやめてもらっていい。君の代わりはいくらでもいる」という返答だけだ。 その言葉を聞いた時、ルルメアの中で何かの糸が切れた。 「それなら、やめさせてもらいます」それだけいって、彼女は王城を後にしたのだ。 その後、ルルメアは王国を出て行くことにした。これ以上、この悪辣な国にいても無駄だと思ったからだ。 こうして、ルルメアは隣国に移るのだった。 ルルメアが隣国に移ってからしばらくして、彼女の元にある知らせが届いた。 それは、彼の王国が自分がいなくなったことで、大変なことになっているという知らせである。 しかし、そんな知らせを受けても、彼女の心は動かなかった。自分には、関係がない。ルルメアは、そう結論付けるのだった。

捨てられた聖女は穢れた大地に立つ

宵森 灯理
恋愛
かつて聖女を輩出したマルシーヌ聖公家のソフィーとギルレーヌ王家のセルジュ王子とは古くからの慣わしにより婚約していたが、突然王子から婚約者をソフィーから妹のポレットに交代したいと言われる。ソフィーの知らぬ間に、セルジュ王子とソフィーの妹のポレットは恋仲になっていたのだ。 両親も王族もポレットの方が相応しいと宣い、ソフィーは婚約者から外されてしまった。放逐された失意のソフィーはドラゴンに急襲され穢れた大地となった隣国へ救済に行くことに決める。 実際に行ってみると、苦しむ人々を前にソフィーは、己の無力さと浅はかさを痛感するのだった。それでも一人の神官として浄化による救助活動に勤しむソフィーの前に、かつての学友、ファウロスが現れた。 そして国と民を救う為、自分と契約結婚してこの国に留まって欲しいと懇願されるのだった。 ソフィーは苦しむ民の為に、その契約を受け入れ、浄化の活動を本格化させる。人々を救っていく中でファウロスに特別な感情を抱きようになっていったが、あくまで契約結婚なのでその気持ちを抑え続けていた。 そんな中で人々はソフィーを聖女、と呼ぶようになっていった。彼女の名声が高まると、急に故郷から帰ってくるように、と命令が来た。ソフィーの身柄を自国に戻し、名声を利用とする為に。ソフィーとファウロスは、それを阻止するべく動き出したのだった。

辺境伯聖女は城から追い出される~もう王子もこの国もどうでもいいわ~

サイコちゃん
恋愛
聖女エイリスは結界しか張れないため、辺境伯として国境沿いの城に住んでいた。しかし突如王子がやってきて、ある少女と勝負をしろという。その少女はエイリスとは違い、聖女の資質全てを備えていた。もし負けたら聖女の立場と爵位を剥奪すると言うが……あることが切欠で全力を発揮できるようになっていたエイリスはわざと負けることする。そして国は真の聖女を失う――

捨てられた私が聖女だったようですね 今さら婚約を申し込まれても、お断りです

木嶋隆太
恋愛
聖女の力を持つ人間は、その凄まじい魔法の力で国の繁栄の手助けを行う。その聖女には、聖女候補の中から一人だけが選ばれる。私もそんな聖女候補だったが、唯一のスラム出身だったため、婚約関係にあった王子にもたいそう嫌われていた。他の聖女候補にいじめられながらも、必死に生き抜いた。そして、聖女の儀式の日。王子がもっとも愛していた女、王子目線で最有力候補だったジャネットは聖女じゃなかった。そして、聖女になったのは私だった。聖女の力を手に入れた私はこれまでの聖女同様国のために……働くわけがないでしょう! 今さら、優しくしたって無駄。私はこの聖女の力で、自由に生きるんだから!

【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください

ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。 義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。 外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。 彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。 「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」 ――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。 ⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎

妹に裏切られた聖女は娼館で競りにかけられてハーレムに迎えられる~あれ? ハーレムの主人って妹が執心してた相手じゃね?~

サイコちゃん
恋愛
妹に裏切られたアナベルは聖女として娼館で競りにかけられていた。聖女に恨みがある男達は殺気立った様子で競り続ける。そんな中、謎の美青年が驚くべき値段でアナベルを身請けした。彼はアナベルをハーレムへ迎えると言い、船に乗せて隣国へと運んだ。そこで出会ったのは妹が執心してた隣国の王子――彼がこのハーレムの主人だったのだ。外交と称して、隣国の王子を落とそうとやってきた妹は彼の寵姫となった姉を見て、気も狂わんばかりに怒り散らす……それを見詰める王子の目に軽蔑の色が浮かんでいることに気付かぬまま――

処理中です...