60 / 63
第三章
59話
しおりを挟む
「オリビア女王陛下におかれましては、急な謁見願いを御聞き入れ下さり、恐悦至極でございます」
「いえ、構いませんよ。
王家王国の友好に勝るものはありませんから、何かあればいつでも遠慮なく言ってくださいね」
さて、それにしても、特に謁見の必要などなかったはずです。
ルークが内乱や盗賊団の鎮圧し、争いの素になる人間を農地用のでんでん虫に辺がさせたから、農地の改良も進み必要な食糧の量も格段に減っています。
ルークの貢献は恐怖と共に大陸の隅々にまで広まりました。
どの国ともある程度の意思疎通はできたはずです。
ルークや私には不要ですが、各国も城下に人質を兼ねた全権王族大使を派遣する事で、不安や恐怖を軽減し、疑心暗鬼が生まれないようにもなっています。
この状態で危険を冒してまで、ルークが執着している私に謁見願いをする理由が、全く分かりません。
城下なら、他国の大使館員や庶民に迷惑をかけないのなければ、母国にいる時よりも自由に生きていけます。
大魔境から狩ったり採集されたりした、他では絶対に手に入らない貴重な素材を母国に送る事で、莫大な利益も手に入っています。
ルークや私を怒らせることは、その全てを失うことを意味しているのです。
手続きだって何重にも人が入って面倒です。
いえ、人どころか半人間や元半人間が入ります。
当然手続きは時間が係る上に間違いが多いです。
半人間に人間と同じ能力を求める方がむりですから。
出来るだけ早く自国に戻りたかった、ローガン陛下とジェイデン殿が考えた方法ですが、普段滅多に使われないので、この娘が願い出てきた時には、正直少々驚いたくらいです。
「ありがたき幸せでございます。
正直に申し上げます。
悩みに悩んで、勇気を振り絞って謁見を御願い致しました。
命懸けの願いでございます。
どうか御教え願います」
おおげさ、とは言えないでしょうね。
ルークと私を怒らせるなというのは、大陸中の人間が骨身に染みている事です。
何かを教えてもらいたいという願いも、命懸けになるのですね。
しかし、その願いが分かりませんね。
馬鹿でない限り、私達に害が及ぶような願いなら、教える教えない以前に、変化させられと分かるはずです。
この娘はバカには見えないですし、本当に何が知りたいのでしょうか?
「ええ、いいですよ。
なんでも聞いて下さい」
「ありがたき幸せでございます。
では遠慮なく質問させていただきます。
ルーク様は、半人間に変化させられた人間ならば、妻にして下さるのでしょうか?
もしして頂けるのなら、私を半人間に変化して頂けるのでしょうか?」
「いえ、構いませんよ。
王家王国の友好に勝るものはありませんから、何かあればいつでも遠慮なく言ってくださいね」
さて、それにしても、特に謁見の必要などなかったはずです。
ルークが内乱や盗賊団の鎮圧し、争いの素になる人間を農地用のでんでん虫に辺がさせたから、農地の改良も進み必要な食糧の量も格段に減っています。
ルークの貢献は恐怖と共に大陸の隅々にまで広まりました。
どの国ともある程度の意思疎通はできたはずです。
ルークや私には不要ですが、各国も城下に人質を兼ねた全権王族大使を派遣する事で、不安や恐怖を軽減し、疑心暗鬼が生まれないようにもなっています。
この状態で危険を冒してまで、ルークが執着している私に謁見願いをする理由が、全く分かりません。
城下なら、他国の大使館員や庶民に迷惑をかけないのなければ、母国にいる時よりも自由に生きていけます。
大魔境から狩ったり採集されたりした、他では絶対に手に入らない貴重な素材を母国に送る事で、莫大な利益も手に入っています。
ルークや私を怒らせることは、その全てを失うことを意味しているのです。
手続きだって何重にも人が入って面倒です。
いえ、人どころか半人間や元半人間が入ります。
当然手続きは時間が係る上に間違いが多いです。
半人間に人間と同じ能力を求める方がむりですから。
出来るだけ早く自国に戻りたかった、ローガン陛下とジェイデン殿が考えた方法ですが、普段滅多に使われないので、この娘が願い出てきた時には、正直少々驚いたくらいです。
「ありがたき幸せでございます。
正直に申し上げます。
悩みに悩んで、勇気を振り絞って謁見を御願い致しました。
命懸けの願いでございます。
どうか御教え願います」
おおげさ、とは言えないでしょうね。
ルークと私を怒らせるなというのは、大陸中の人間が骨身に染みている事です。
何かを教えてもらいたいという願いも、命懸けになるのですね。
しかし、その願いが分かりませんね。
馬鹿でない限り、私達に害が及ぶような願いなら、教える教えない以前に、変化させられと分かるはずです。
この娘はバカには見えないですし、本当に何が知りたいのでしょうか?
「ええ、いいですよ。
なんでも聞いて下さい」
「ありがたき幸せでございます。
では遠慮なく質問させていただきます。
ルーク様は、半人間に変化させられた人間ならば、妻にして下さるのでしょうか?
もしして頂けるのなら、私を半人間に変化して頂けるのでしょうか?」
19
あなたにおすすめの小説
【短編】追放された聖女は王都でちゃっかり暮らしてる「新聖女が王子の子を身ごもった?」結界を守るために元聖女たちが立ち上がる
みねバイヤーン
恋愛
「ジョセフィーヌ、聖なる力を失い、新聖女コレットの力を奪おうとした罪で、そなたを辺境の修道院に追放いたす」謁見の間にルーカス第三王子の声が朗々と響き渡る。
「異議あり!」ジョセフィーヌは間髪を入れず意義を唱え、証言を述べる。
「証言一、とある元聖女マデリーン。殿下は十代の聖女しか興味がない。証言二、とある元聖女ノエミ。殿下は背が高く、ほっそりしてるのに出るとこ出てるのが好き。証言三、とある元聖女オードリー。殿下は、手は出さない、見てるだけ」
「ええーい、やめーい。不敬罪で追放」
追放された元聖女ジョセフィーヌはさっさと王都に戻って、魚屋で働いてる。そんな中、聖女コレットがルーカス殿下の子を身ごもったという噂が。王国の結界を守るため、元聖女たちは立ち上がった。
捨てられた聖女、自棄になって誘拐されてみたら、なぜか皇太子に溺愛されています
日向はび
恋愛
「偽物の聖女であるお前に用はない!」婚約者である王子は、隣に新しい聖女だという女を侍らせてリゼットを睨みつけた。呆然として何も言えず、着の身着のまま放り出されたリゼットは、その夜、謎の男に誘拐される。
自棄なって自ら誘拐犯の青年についていくことを決めたリゼットだったが。連れて行かれたのは、隣国の帝国だった。
しかもなぜか誘拐犯はやけに慕われていて、そのまま皇帝の元へ連れて行かれ━━?
「おかえりなさいませ、皇太子殿下」
「は? 皇太子? 誰が?」
「俺と婚約してほしいんだが」
「はい?」
なぜか皇太子に溺愛されることなったリゼットの運命は……。
聖女は友人に任せて、出戻りの私は新しい生活を始めます
あみにあ
恋愛
私の婚約者は第二王子のクリストファー。
腐れ縁で恋愛感情なんてないのに、両親に勝手に決められたの。
お互い納得できなくて、婚約破棄できる方法を探してた。
うんうんと頭を悩ませた結果、
この世界に稀にやってくる異世界の聖女を呼び出す事だった。
聖女がやってくるのは不定期で、こちらから召喚させた例はない。
だけど私は婚約が決まったあの日から探し続けてようやく見つけた。
早速呼び出してみようと聖堂へいったら、なんと私が異世界へ生まれ変わってしまったのだった。
表紙イラスト:San+様(Twitterアカウント@San_plus_)
―――――――――――――――――――――――――
※以前投稿しておりました[聖女の私と異世界の聖女様]の連載版となります。
※連載版を投稿するにあたり、アルファポリス様の規約に従い、短編は削除しておりますのでご了承下さい。
※基本21時更新(50話完結)
【完結】「神様、辞めました〜竜神の愛し子に冤罪を着せ投獄するような人間なんてもう知らない」
まほりろ
恋愛
王太子アビー・シュトースと聖女カーラ・ノルデン公爵令嬢の結婚式当日。二人が教会での誓いの儀式を終え、教会の扉を開け外に一歩踏み出したとき、国中の壁や窓に不吉な文字が浮かび上がった。
【本日付けで神を辞めることにした】
フラワーシャワーを巻き王太子と王太子妃の結婚を祝おうとしていた参列者は、突然現れた文字に驚きを隠せず固まっている。
国境に壁を築きモンスターの侵入を防ぎ、結界を張り国内にいるモンスターは弱体化させ、雨を降らせ大地を潤し、土地を豊かにし豊作をもたらし、人間の体を強化し、生活が便利になるように魔法の力を授けた、竜神ウィルペアトが消えた。
人々は三カ月前に冤罪を着せ、|罵詈雑言《ばりぞうごん》を浴びせ、石を投げつけ投獄した少女が、本物の【竜の愛し子】だと分かり|戦慄《せんりつ》した。
「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」
アルファポリスに先行投稿しています。
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
2021/12/13、HOTランキング3位、12/14総合ランキング4位、恋愛3位に入りました! ありがとうございます!
偽りの断罪で追放された悪役令嬢ですが、実は「豊穣の聖女」でした。辺境を開拓していたら、氷の辺境伯様からの溺愛が止まりません!
黒崎隼人
ファンタジー
「お前のような女が聖女であるはずがない!」
婚約者の王子に、身に覚えのない罪で断罪され、婚約破棄を言い渡された公爵令嬢セレスティナ。
罰として与えられたのは、冷酷非情と噂される「氷の辺境伯」への降嫁だった。
それは事実上の追放。実家にも見放され、全てを失った――はずだった。
しかし、窮屈な王宮から解放された彼女は、前世で培った知識を武器に、雪と氷に閉ざされた大地で新たな一歩を踏み出す。
「どんな場所でも、私は生きていける」
打ち捨てられた温室で土に触れた時、彼女の中に眠る「豊穣の聖女」の力が目覚め始める。
これは、不遇の令嬢が自らの力で運命を切り開き、不器用な辺境伯の凍てついた心を溶かし、やがて世界一の愛を手に入れるまでの、奇跡と感動の逆転ラブストーリー。
国を捨てた王子と偽りの聖女への、最高のざまぁをあなたに。
悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~
咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」
卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。
しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。
「これで好きな料理が作れる!」
ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。
冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!?
レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。
「君の料理なしでは生きられない」
「一生そばにいてくれ」
と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……?
一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです!
美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!
ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!
沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。
それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。
失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。
アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。
帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。
そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。
再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。
なんと、皇子は三つ子だった!
アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。
しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。
アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。
一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる