月乙女の伯爵令嬢が婚約破棄させられるそうです。

克全

文字の大きさ
24 / 29
第2章

23話

しおりを挟む
 フィリップス公爵閣下は、必死でヴラド大公殿下に言い訳していますが、これはどうにもなりません。
 ヴラド大公殿下が私達の為に開いて下さった婚約披露宴で、このような醜態をするなど、殿下の面目を潰してしまったことになります。
 絶対に許されないことです。

 まあ、フィリップス公爵閣下にしたら、認めたら家の浮沈にかかわるので、認めるわけにはいかないのでしょう。
 それは理解出来るのですが、もうどうしようもないと思います。
 言葉は丁寧ですが、ヴラド大公殿下が激怒しておられるのが、私にも理解出来ます。
 会場にいる者全員が、事の成り行きを興味津々で聞いておられます。

「アリス嬢にこれ以上の恥をかかせるわけにはいかぬ。
 侍女に案内させるから、家に帰るがいい」

「はい。
 ありがとうございます。
 ヴラド大公殿下」

「待ってくれ。
 これは何かの間違いなのだ。
 あの女とは、ちゃんと話はつけるから、帰らないでくれ!」

「フィリップス公爵!
 これ以上の無礼は、この場での決闘となるぞ。
 貴君にその覚悟があるのか?」

「そんなぁ」

 私は侍女に案内されて、控室に入りました。
 控室にはザラを含めた多くの侍女が待ってくれていました。
 今日の主賓は私とローガン様でしたから、着付けや化粧直しなど、多くの手が必要だったのです。

 元々家臣の少なかった我が家では、新たな家臣はヴラド大公殿下の紹介で雇った者ばかりです。
 当然大公家の家臣とは顔見知りですし、元の同僚です。
 阿吽の呼吸で動いてくれます。

 直ぐにカイが他の護衛と一緒に来てくれました。
 カイが来てくれたら、もう何の心配もありません。
 直ぐに馬車の支度を整えてくれて、屋敷に帰ることになりました。
 今日は疲れました。

「爺。
 フィリップス公爵家が取り潰しになったと言うのは本当?」

「本当でございます」

「私との婚約破棄が原因なの?」

「婚約破棄が原因ではありません。
 原因は借財と名誉棄損でございます。
 我が家との婚約破棄も、借財と名誉棄損が原因でございます」

「うぅぅぅん。
 何かしっくりこないのだけれど。
 ヴラド大公殿下が私の為に動いて下さったような気がするのだけれど?」

「ヴラド大公殿下は、御嬢様が作られる花がいたく気に入られております。
 カイが戻って以来、御嬢様が作られる花が光り輝いております。
 ローガン様が婿に来られる事で、また花が咲かなくなっては困ると申しておられました」

「そうなのね。
 だったら今日も心を込めて花の世話をしないといけないわね。
 でもなんだか悪いわ。
 大好きな事をして、これほどよくしていただけるなんて」
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました

鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」 そう言ったのは、王太子アレス。 そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。 外交も財政も軍備も―― すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。 けれど功績はすべて王太子のもの。 感謝も敬意も、ただの一度もない。 そして迎えた舞踏会の夜。 「便利だったが、飾りには向かん」 公開婚約破棄。 それならば、とレイナは微笑む。 「では業務も終了でよろしいですね?」 王太子が望んだ通り、 彼女は“確認”をやめた。 保証を外し、責任を返し、 そして最後に―― 「ご確認を」と差し出した書類に、 彼は何も読まずに署名した。 国は契約で成り立っている。 確認しない者に、王の資格はない。 働きたくない公爵令嬢と、 責任を理解しなかった王太子。 静かな契約ざまぁ劇、開幕。 ---

【完結】毒殺疑惑で断罪されるのはゴメンですが婚約破棄は即決でOKです

早奈恵
恋愛
 ざまぁも有ります。  クラウン王太子から突然婚約破棄を言い渡されたグレイシア侯爵令嬢。  理由は殿下の恋人ルーザリアに『チャボット毒殺事件』の濡れ衣を着せたという身に覚えの無いこと。  詳細を聞くうちに重大な勘違いを発見し、幼なじみの公爵令息ヴィクターを味方として召喚。  二人で冤罪を晴らし婚約破棄の取り消しを阻止して自由を手に入れようとするお話。

悪役令嬢ベアトリスの仁義なき恩返し~悪女の役目は終えましたのであとは好きにやらせていただきます~

糸烏 四季乃
恋愛
「ベアトリス・ガルブレイス公爵令嬢との婚約を破棄する!」 「殿下、その言葉、七年お待ちしておりました」 第二皇子の婚約者であるベアトリスは、皇子の本気の恋を邪魔する悪女として日々蔑ろにされている。しかし皇子の護衛であるナイジェルだけは、いつもベアトリスの味方をしてくれていた。 皇子との婚約が解消され自由を手に入れたベアトリスは、いつも救いの手を差し伸べてくれたナイジェルに恩返しを始める! ただ、長年悪女を演じてきたベアトリスの物事の判断基準は、一般の令嬢のそれとかなりズレている為になかなかナイジェルに恩返しを受け入れてもらえない。それでもどうしてもナイジェルに恩返しがしたい。このドッキンコドッキンコと高鳴る胸の鼓動を必死に抑え、ベアトリスは今日もナイジェルへの恩返しの為奮闘する! 規格外で少々常識外れの令嬢と、一途な騎士との溺愛ラブコメディ(!?)

見るに堪えない顔の存在しない王女として、家族に疎まれ続けていたのに私の幸せを願ってくれる人のおかげで、私は安心して笑顔になれます

珠宮さくら
恋愛
ローザンネ国の島国で生まれたアンネリース・ランメルス。彼女には、双子の片割れがいた。何もかも与えてもらえている片割れと何も与えられることのないアンネリース。 そんなアンネリースを育ててくれた乳母とその娘のおかげでローザンネ国で生きることができた。そうでなければ、彼女はとっくに死んでいた。 そんな時に別の国の王太子の婚約者として留学することになったのだが、その条件は仮面を付けた者だった。 ローザンネ国で仮面を付けた者は、見るに堪えない顔をしている証だが、他所の国では真逆に捉えられていた。

未来の記憶を手に入れて~婚約破棄された瞬間に未来を知った私は、受け入れて逃げ出したのだが~

キョウキョウ
恋愛
リムピンゼル公爵家の令嬢であるコルネリアはある日突然、ヘルベルト王子から婚約を破棄すると告げられた。 その瞬間にコルネリアは、処刑されてしまった数々の未来を見る。 絶対に死にたくないと思った彼女は、婚約破棄を快く受け入れた。 今後は彼らに目をつけられないよう、田舎に引きこもって地味に暮らすことを決意する。 それなのに、王子の周りに居た人達が次々と私に求婚してきた!? ※カクヨムにも掲載中の作品です。

王子、おひとり様で残りの人生をお楽しみください!

ちゃっぴー
恋愛
「ラーニャ、貴様との婚約を破棄する!」 卒業パーティーの真っ最中、ナルシストな第一王子ウィルフレッドに身に覚えのない罪で断罪された公爵令嬢ラーニャ。しかし、彼女はショックを受けるどころか、優雅に微笑んで拍手を送った。 なぜなら、ラーニャはとっくに王子の無能さに愛想を尽かし、この日のために完璧な「撤退準備」を進めていたからだ。

覚えてないけど婚約者に嫌われて首を吊ってたみたいです。

kieiku
恋愛
いやいやいやいや、死ぬ前に婚約破棄! 婚約破棄しよう!

クラフター公爵家令嬢の婚約破棄騒動

青空鰹
恋愛
クラフター公爵家の長女、 リペア・ワークス・クラフター アバレス王子と婚約していたが、学園で開かれる卒業パーティーの場で婚約破棄を言い渡されてしまう! 彼女の運命は一体どうなってしまうのか? ※深夜のテンションで作った作品なので、多分ところどころおかしいとところがあると思います。

処理中です...