23 / 29
第2章
22話
しおりを挟む
絹を裂くような女性の悲鳴が、婚約披露宴会場に広がりました。
ただ事ではありません。
信じられないような素早さで、ヴラド大公殿下が動かれました。
ホストとして、事の真相を確かめに行かれたのでしょう。
御立派な事です。
「ローガン殿。
これは一体どう言うことだ?!」
「いえ。
この女が根も葉もないこと言い出したので、それを黙らそうとしただけで」
「どのような嘘を言ったかは知らないが、余の開いたローガン殿とアリス嬢の婚約披露宴で、淑女のドレスを剥ぎ取るなど、絶対に許されぬぞ!
それにその淑女が申された事が、嘘だという証拠が何処にある!」
「嘘です。
嘘なんです。
根も葉もない讒言なのです」
「讒言だと?!
いったい何が讒言だと言うのだ!」
私は人の輪の外にいたのですが、ヴラド大公殿下の侍女がエスコートしてくれて、ヴラド大公殿下とローガン様の側に案内してくださいました。
ヘンリー公爵閣下も同じようにエスコートされました。
何と言っても、フィリップス公爵家とスミス伯爵家の婚約披露宴なのですから、事の真相を見守る必要があります。
「ローガン!
なんてことをしでかしたんだ!」
「嘘ではございません。
嘘などついておりません。
ローガン様は私に愛していると言って下さいました。
結婚すると言って下さいました。
私の御腹には、ローガン様の子供が宿っているのです!」
「嘘だ!
この女は嘘をついているんだ!
私は何も言っていない。
結婚の約束などしていない。
腹の子などしらない。
この女がどこぞの男と遊んで出来た子だ。
俺の子供じゃない!」
「ヴラド大公殿下!
ローガンがこう言っているのなら、間違いです。
この女が嘘をついているんです。
ローガンに振られでもして、腹いせの大嘘です。
早くこの女を放り出して下さい!」
「ならぬ!
アリス嬢と余の顔に泥を塗ったのが、この女なのか?
それともローガン殿なのか?
事の真相を明らかにせねばならぬ!
それともフィリップス公爵は、調べられて困る事があるのか!?」
「いいえ!
ありません!
調べられて困る事など、何一つありません!」
「ならばこの女は、大公家で調べる。
ローガン殿は、フィリップス公爵が調べられよ。
だが覚悟して頂きたい。
もしローガン殿に非があるのなら、アリス嬢と余が受けた恥辱、戦にしてでも晴らしますぞ!」
「そんな!
これは嘘です。
嘘に違いはありませんが、貴族が浮名を流すくらい、目くじら立てることではないのではありませんか?」
真っ青になったフィリップス公爵は、必死で抗弁されておられます。
ローガン殿に関して、思い当たることがあるのでしょう。
これは、上手くすれば婚約破棄出来るかもしれません。
ただ事ではありません。
信じられないような素早さで、ヴラド大公殿下が動かれました。
ホストとして、事の真相を確かめに行かれたのでしょう。
御立派な事です。
「ローガン殿。
これは一体どう言うことだ?!」
「いえ。
この女が根も葉もないこと言い出したので、それを黙らそうとしただけで」
「どのような嘘を言ったかは知らないが、余の開いたローガン殿とアリス嬢の婚約披露宴で、淑女のドレスを剥ぎ取るなど、絶対に許されぬぞ!
それにその淑女が申された事が、嘘だという証拠が何処にある!」
「嘘です。
嘘なんです。
根も葉もない讒言なのです」
「讒言だと?!
いったい何が讒言だと言うのだ!」
私は人の輪の外にいたのですが、ヴラド大公殿下の侍女がエスコートしてくれて、ヴラド大公殿下とローガン様の側に案内してくださいました。
ヘンリー公爵閣下も同じようにエスコートされました。
何と言っても、フィリップス公爵家とスミス伯爵家の婚約披露宴なのですから、事の真相を見守る必要があります。
「ローガン!
なんてことをしでかしたんだ!」
「嘘ではございません。
嘘などついておりません。
ローガン様は私に愛していると言って下さいました。
結婚すると言って下さいました。
私の御腹には、ローガン様の子供が宿っているのです!」
「嘘だ!
この女は嘘をついているんだ!
私は何も言っていない。
結婚の約束などしていない。
腹の子などしらない。
この女がどこぞの男と遊んで出来た子だ。
俺の子供じゃない!」
「ヴラド大公殿下!
ローガンがこう言っているのなら、間違いです。
この女が嘘をついているんです。
ローガンに振られでもして、腹いせの大嘘です。
早くこの女を放り出して下さい!」
「ならぬ!
アリス嬢と余の顔に泥を塗ったのが、この女なのか?
それともローガン殿なのか?
事の真相を明らかにせねばならぬ!
それともフィリップス公爵は、調べられて困る事があるのか!?」
「いいえ!
ありません!
調べられて困る事など、何一つありません!」
「ならばこの女は、大公家で調べる。
ローガン殿は、フィリップス公爵が調べられよ。
だが覚悟して頂きたい。
もしローガン殿に非があるのなら、アリス嬢と余が受けた恥辱、戦にしてでも晴らしますぞ!」
「そんな!
これは嘘です。
嘘に違いはありませんが、貴族が浮名を流すくらい、目くじら立てることではないのではありませんか?」
真っ青になったフィリップス公爵は、必死で抗弁されておられます。
ローガン殿に関して、思い当たることがあるのでしょう。
これは、上手くすれば婚約破棄出来るかもしれません。
2
あなたにおすすめの小説
勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました
鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」
そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。
外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。
そして迎えた舞踏会の夜。
「便利だったが、飾りには向かん」
公開婚約破棄。
それならば、とレイナは微笑む。
「では業務も終了でよろしいですね?」
王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。
保証を外し、責任を返し、
そして最後に――
「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。
国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。
働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。
静かな契約ざまぁ劇、開幕。
---
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
婚約破棄される前に、帰らせていただきます!
パリパリかぷちーの
恋愛
ある日、マリス王国の侯爵令嬢クロナは、王子が男爵令嬢リリィと密会し、自分を「可愛げのない女」と罵り、卒業パーティーで「婚約破棄」を言い渡そうと画策している現場を目撃してしまう。
普通なら嘆き悲しむ場面だが、クロナの反応は違った。
【完結】毒殺疑惑で断罪されるのはゴメンですが婚約破棄は即決でOKです
早奈恵
恋愛
ざまぁも有ります。
クラウン王太子から突然婚約破棄を言い渡されたグレイシア侯爵令嬢。
理由は殿下の恋人ルーザリアに『チャボット毒殺事件』の濡れ衣を着せたという身に覚えの無いこと。
詳細を聞くうちに重大な勘違いを発見し、幼なじみの公爵令息ヴィクターを味方として召喚。
二人で冤罪を晴らし婚約破棄の取り消しを阻止して自由を手に入れようとするお話。
悪役令嬢ベアトリスの仁義なき恩返し~悪女の役目は終えましたのであとは好きにやらせていただきます~
糸烏 四季乃
恋愛
「ベアトリス・ガルブレイス公爵令嬢との婚約を破棄する!」
「殿下、その言葉、七年お待ちしておりました」
第二皇子の婚約者であるベアトリスは、皇子の本気の恋を邪魔する悪女として日々蔑ろにされている。しかし皇子の護衛であるナイジェルだけは、いつもベアトリスの味方をしてくれていた。
皇子との婚約が解消され自由を手に入れたベアトリスは、いつも救いの手を差し伸べてくれたナイジェルに恩返しを始める! ただ、長年悪女を演じてきたベアトリスの物事の判断基準は、一般の令嬢のそれとかなりズレている為になかなかナイジェルに恩返しを受け入れてもらえない。それでもどうしてもナイジェルに恩返しがしたい。このドッキンコドッキンコと高鳴る胸の鼓動を必死に抑え、ベアトリスは今日もナイジェルへの恩返しの為奮闘する!
規格外で少々常識外れの令嬢と、一途な騎士との溺愛ラブコメディ(!?)
【短編】婚約破棄の断罪裁判を開いた王太子、証言で全て自分の首を絞める
あまぞらりゅう
恋愛
エドゥアルト王太子から「婚約破棄だ!」と断罪されるシャルロッテ侯爵令嬢。
彼は彼女の『悪行』を暴くため、証人を次々と呼び出す。
しかし、証言されるのは、全て『彼女が正しかった証拠』ばかり。
断罪裁判はいつしか、王太子自身の罪を暴く場へと変わっていき……?
※覚えやすさや分かりやすさを重視しているので、登場人物の名前は「キャラクター名+身分表記」にしています
★他サイト様にも投稿しています!
悪役令嬢発溺愛幼女着
みおな
ファンタジー
「違います!わたくしは、フローラさんをいじめてなどいません!」
わたくしの声がホールに響いたけれど、誰もわたくしに手を差し伸べて下さることはなかった。
響いたのは、婚約者である王太子殿下の冷たい声。
わたくしに差し伸べられたのは、騎士団長のご子息がわたくしを強く床に押し付ける腕。
冷ややかな周囲のご令嬢ご令息の冷笑。
どうして。
誰もわたくしを信じてくれないまま、わたくしは冷たい牢の中で命を落とした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる