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5話
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「お姉様。
本当に大丈夫なのでしょうか?
王都の民は苦しんでいないでしょうか?」
「大丈夫よ。
王都の民の多くが思うさま暴れているよ。
こんな連中は助ける必要なんてない。
殺し合っていなくなればいいのさ」
「そんな!
それはあまりに酷くないですか?
お姉様は聖女ではありませんか」
「まあ、これを見てごらん。
聖女だからこそ、悪人は滅ぼさないといけないのだよ。
それが聖女の役割なんだよ」
私はそう言って遠見の鏡を使った。
エレノアに真実の姿を見せなければいけないからだ。
人間の本性、汚い部分を見せて、領主として間違わないようにして欲しい。
レノヴァに頼りきるだけならいいのですが、理想を押し付けて、レノヴァに無理を言わないようにしたいのです。
「なんて酷い!
これが人間の本性だというのですか?!」
「そうだよ。
これが人間の本性だよ。
それを知ったうえで、罰するべき人間には厳しく接しなければいけない。
労わりと優しさを与える相手を間違えると、悪人をのさばらせ、善良な被害者を更に傷つける事になる。
その事を肝に命じな」
「……はい」
遠見の鏡から目を背けて、打ちのめされた表情でエレノアが返事する
確かに目を背けたくもなるでしょう。
私に強く助けようと言っていた民が、女性を地に押し付けて乱暴している。
集団で女性を襲っているのです。
貴族の屋敷に押し入って盗みを働いているのです。
やりたい放題に悪事を重ねています。
こんな人間がファンケン公爵領に入ってきたら、良民が何をされるか分からない。
顔と名前を特定して、伝言魔をレノヴァに送りましょう。
それとも、王都の混乱がひと段落したら、魔鼠に殺させようか?
それがいいですね。
それが一番確実です。
後で殺す相手を間違えないように、私は牙鼠を操って、悪事を働いた人間の左足小指を喰い千切らせることにした。
「お姉様、レノヴァと話しをしたいのですが、助けてくださいますか?」
「いいよ。
伝書魔と伝言魔を貸してあげるから、好きなだけ相談しなさい」
現実を見て、領地の事が気になったのでしょう。
今迄レノヴァ無理を言ってきた事を誤まっています。
これからの方針を真剣に話し合っていますが、伝言魔のやり取りなので、どうしても大きな時間差があります。
往復の時間、エレノアが深刻な表情をしています。
私はエレノアのことを気にしながら、遠見の鏡で王都の状況を確認します。
無人になった貴族士族の屋敷が荒らされています。
さきほどエレノアが見た惨状の屋敷は、エレノアを陥れた貴族院議員の屋敷です。
王都を逃げたくても、民に囲まれて逃げられなかったのでしょう。
生き残っているのは、厳重な守りの王城だけですが、逆に逃げだす事もできないでいますから、いずれ魔獣の餌になるだけです。
本当に大丈夫なのでしょうか?
王都の民は苦しんでいないでしょうか?」
「大丈夫よ。
王都の民の多くが思うさま暴れているよ。
こんな連中は助ける必要なんてない。
殺し合っていなくなればいいのさ」
「そんな!
それはあまりに酷くないですか?
お姉様は聖女ではありませんか」
「まあ、これを見てごらん。
聖女だからこそ、悪人は滅ぼさないといけないのだよ。
それが聖女の役割なんだよ」
私はそう言って遠見の鏡を使った。
エレノアに真実の姿を見せなければいけないからだ。
人間の本性、汚い部分を見せて、領主として間違わないようにして欲しい。
レノヴァに頼りきるだけならいいのですが、理想を押し付けて、レノヴァに無理を言わないようにしたいのです。
「なんて酷い!
これが人間の本性だというのですか?!」
「そうだよ。
これが人間の本性だよ。
それを知ったうえで、罰するべき人間には厳しく接しなければいけない。
労わりと優しさを与える相手を間違えると、悪人をのさばらせ、善良な被害者を更に傷つける事になる。
その事を肝に命じな」
「……はい」
遠見の鏡から目を背けて、打ちのめされた表情でエレノアが返事する
確かに目を背けたくもなるでしょう。
私に強く助けようと言っていた民が、女性を地に押し付けて乱暴している。
集団で女性を襲っているのです。
貴族の屋敷に押し入って盗みを働いているのです。
やりたい放題に悪事を重ねています。
こんな人間がファンケン公爵領に入ってきたら、良民が何をされるか分からない。
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それとも、王都の混乱がひと段落したら、魔鼠に殺させようか?
それがいいですね。
それが一番確実です。
後で殺す相手を間違えないように、私は牙鼠を操って、悪事を働いた人間の左足小指を喰い千切らせることにした。
「お姉様、レノヴァと話しをしたいのですが、助けてくださいますか?」
「いいよ。
伝書魔と伝言魔を貸してあげるから、好きなだけ相談しなさい」
現実を見て、領地の事が気になったのでしょう。
今迄レノヴァ無理を言ってきた事を誤まっています。
これからの方針を真剣に話し合っていますが、伝言魔のやり取りなので、どうしても大きな時間差があります。
往復の時間、エレノアが深刻な表情をしています。
私はエレノアのことを気にしながら、遠見の鏡で王都の状況を確認します。
無人になった貴族士族の屋敷が荒らされています。
さきほどエレノアが見た惨状の屋敷は、エレノアを陥れた貴族院議員の屋敷です。
王都を逃げたくても、民に囲まれて逃げられなかったのでしょう。
生き残っているのは、厳重な守りの王城だけですが、逆に逃げだす事もできないでいますから、いずれ魔獣の餌になるだけです。
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