22 / 26
第一章
第22話:不覚・皇太子視点
しおりを挟む
プランケ伯爵ジーガン卿がニルラル公爵家のようす、はっきり言えば、真聖女を大魔境に捨てたビエンナを監視するために領都に向かっている間に、私は残った騎士団のようすを確認し、団員一人一人に声をかけた。
皇国に戻って民の心を正すには、中核となる騎士団が誰よりも神を信じ神を敬わなければいけないからだ。
幸いというのは語弊があるが、嫌というほど神の力を感じた直後だ。
全騎士団員が、皇国を正さなければいけないと、強く心に誓ってくれていた。
「大変でございます、皇太子殿下、ビエンナが逃げておりません!」
正直自分の耳を疑ったが、聞き間違えではない事は、ジーガン卿の自殺しかねない悲壮な表情を見れば分かる。
あの神は、この事を知っていて私に試練を与えたのか?
知っていたのだろうな、本当に性格の捻じ曲がった神だ!
この状況で、二つの試練を達成しろとは、あまりにも厳し過ぎるではないか。
いや、そう考えること自体が、皇国民が身勝手になっている証拠かもしれない。
神から見れば、真聖女を殺そうとした事は、絶対に許せない事なのだろう。
「慌てるな、これは神も知っていた事なのだろう。
全知全能の神が、この状況も分からずに試練を課すはずがない。
皇国はこれほどの試練を課されるくらい、神を冒涜していたのだ。
そしてその影響は、皇国一国に留まらず、大陸全体にまで及んでいた。
まずはビエンナを探し出して捕え、相応しい罰を与えるぞ」
「「「「「おう!」」」」」
そうは言ったものの、具体的な方法はどうするべきだろう?
今ここにいる騎士団だけで探すのでは人手が足りない。
侵攻駐屯部隊を全員投入するにしても、この国の隅々まで知っているわけではないから、裏世界にでも紛れられたら探し出すのは厄介だ。
だが、公爵夫人で王妹のビエンナが、裏世界に智知があるとも思えない。
いや、そもそも逃げたという事は、身の危険を感じたという事だ。
この国に残っているとも限らないな。
「皇太子殿下、ひと言よろしいでしょうか?」
ジーガン卿に何か献策があるようだ、顔色も表情も普段の状態に戻っている。
流石に歴戦のジーガン卿だ、直ぐに心を立て直した。
彼に任せれば私が下手に考えるよりいい方法をとってくれるだろう。
「構わんぞ、何か策があるのだな?」
「はっ、まずは本隊に伝令を送り、王都を攻め取ってもらいます。
ビエンナは王妹、王都王城に逃げ込んでいる可能性があります」
「うむ、伝令、直ぐに走れ。
それで、他にも策があるのだな?」
「はっ、我々が領都領城を占拠します。
逃げたように見せかけて、隠れ家に潜んでいる可能性がございます」
「分かった、聞いていたな、直ぐに領城を確保するぞ!」
皇国に戻って民の心を正すには、中核となる騎士団が誰よりも神を信じ神を敬わなければいけないからだ。
幸いというのは語弊があるが、嫌というほど神の力を感じた直後だ。
全騎士団員が、皇国を正さなければいけないと、強く心に誓ってくれていた。
「大変でございます、皇太子殿下、ビエンナが逃げておりません!」
正直自分の耳を疑ったが、聞き間違えではない事は、ジーガン卿の自殺しかねない悲壮な表情を見れば分かる。
あの神は、この事を知っていて私に試練を与えたのか?
知っていたのだろうな、本当に性格の捻じ曲がった神だ!
この状況で、二つの試練を達成しろとは、あまりにも厳し過ぎるではないか。
いや、そう考えること自体が、皇国民が身勝手になっている証拠かもしれない。
神から見れば、真聖女を殺そうとした事は、絶対に許せない事なのだろう。
「慌てるな、これは神も知っていた事なのだろう。
全知全能の神が、この状況も分からずに試練を課すはずがない。
皇国はこれほどの試練を課されるくらい、神を冒涜していたのだ。
そしてその影響は、皇国一国に留まらず、大陸全体にまで及んでいた。
まずはビエンナを探し出して捕え、相応しい罰を与えるぞ」
「「「「「おう!」」」」」
そうは言ったものの、具体的な方法はどうするべきだろう?
今ここにいる騎士団だけで探すのでは人手が足りない。
侵攻駐屯部隊を全員投入するにしても、この国の隅々まで知っているわけではないから、裏世界にでも紛れられたら探し出すのは厄介だ。
だが、公爵夫人で王妹のビエンナが、裏世界に智知があるとも思えない。
いや、そもそも逃げたという事は、身の危険を感じたという事だ。
この国に残っているとも限らないな。
「皇太子殿下、ひと言よろしいでしょうか?」
ジーガン卿に何か献策があるようだ、顔色も表情も普段の状態に戻っている。
流石に歴戦のジーガン卿だ、直ぐに心を立て直した。
彼に任せれば私が下手に考えるよりいい方法をとってくれるだろう。
「構わんぞ、何か策があるのだな?」
「はっ、まずは本隊に伝令を送り、王都を攻め取ってもらいます。
ビエンナは王妹、王都王城に逃げ込んでいる可能性があります」
「うむ、伝令、直ぐに走れ。
それで、他にも策があるのだな?」
「はっ、我々が領都領城を占拠します。
逃げたように見せかけて、隠れ家に潜んでいる可能性がございます」
「分かった、聞いていたな、直ぐに領城を確保するぞ!」
104
あなたにおすすめの小説
【完結】『妹の結婚の邪魔になる』と家族に殺されかけた妖精の愛し子の令嬢は、森の奥で引きこもり魔術師と出会いました。
夏灯みかん
恋愛
メリルはアジュール王国侯爵家の長女。幼いころから妖精の声が聞こえるということで、家族から気味悪がられ、屋敷から出ずにひっそりと暮らしていた。しかし、花の妖精の異名を持つ美しい妹アネッサが王太子と婚約したことで、両親はメリルを一族の恥と思い、人知れず殺そうとした。
妖精たちの助けで屋敷を出たメリルは、時間の止まったような不思議な森の奥の一軒家で暮らす魔術師のアルヴィンと出会い、一緒に暮らすことになった。
なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?
ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。
だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。
これからは好き勝手やらせてもらいますわ。
妹に婚約者を奪われたけど、婚約者の兄に拾われて幸せになる
ワールド
恋愛
妹のリリアナは私より可愛い。それに才色兼備で姉である私は公爵家の中で落ちこぼれだった。
でも、愛する婚約者マルナールがいるからリリアナや家族からの視線に耐えられた。
しかし、ある日リリアナに婚約者を奪われてしまう。
「すまん、別れてくれ」
「私の方が好きなんですって? お姉さま」
「お前はもういらない」
様々な人からの裏切りと告白で私は公爵家を追放された。
それは終わりであり始まりだった。
路頭に迷っていると、とても爽やかな顔立ちをした公爵に。
「なんだ? この可愛い……女性は?」
私は拾われた。そして、ここから逆襲が始まった。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
【完結】私が愛されるのを見ていなさい
芹澤紗凪
恋愛
虐げられた少女の、最も残酷で最も華麗な復讐劇。(全6話の予定)
公爵家で、天使の仮面を被った義理の妹、ララフィーナに全てを奪われたディディアラ。
絶望の淵で、彼女は一族に伝わる「血縁者の姿と入れ替わる」という特殊能力に目覚める。
ディディアラは、憎き義妹と入れ替わることを決意。
完璧な令嬢として振る舞いながら、自分を陥れた者たちを内側から崩壊させていく。
立場と顔が入れ替わった二人の少女が織りなす、壮絶なダークファンタジー。
婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。
幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ
猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。
そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。
たった一つボタンを掛け違えてしまったために、
最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。
主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?
戻る場所がなくなったようなので別人として生きます
しゃーりん
恋愛
医療院で目が覚めて、新聞を見ると自分が死んだ記事が載っていた。
子爵令嬢だったリアンヌは公爵令息ジョーダンから猛アプローチを受け、結婚していた。
しかし、結婚生活は幸せではなかった。嫌がらせを受ける日々。子供に会えない日々。
そしてとうとう攫われ、襲われ、森に捨てられたらしい。
見つかったという遺体が自分に似ていて死んだと思われたのか、別人とわかっていて死んだことにされたのか。
でももう夫の元に戻る必要はない。そのことにホッとした。
リアンヌは別人として新しい人生を生きることにするというお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる