32 / 58
第1章
第32話:閑話・スペシャル・グレイド・ヴァンパイア
しおりを挟む
「今から街に行くのは危険過ぎる、領都に戻ろう」
歴戦の辺境伯家騎士団副団長は慎重だった。
全住民が眷属化されている街に、たった九騎で向かうほど愚かではなかった。
二百人を超える街の住民全員を眷属ができるヴァンパイアは、レッサー・ヴァンパイアやインターミーディア・ヴァンパイアではないと判断した。
リーダー・オークを使役している事から、スペシャル・グレイド・ヴァンパイア以上の強敵だとも判断していた。
ヴァンパイアに特化した武器、聖銀製の武器があれば別だが、普通の武器しか持たない状況では、ゾンビやレンブラントを斃すには技量が必要になる。
正確に心臓を貫くか首を刎ねるしかないという、制限を付けられた状況で九対二百以上で戦わなければいけない。
それもスペシャル・グレイド・ヴァンパイア以上が敵に加わった状態で、戦いが夜間に及ぶかもしれない時間から討伐を始めるのは危険過ぎると判断した。
副騎士団長は急いで領都に向かったが、残念ながら時間を使い過ぎていた。
オークとコボルトを殲滅するのに時間を使い過ぎてしまっていた。
領都の城門を前にして、遂に陽が完全に暮れてしまったのだ。
「お待ちなさい、私の手下を殺しておいて、生きて帰れると思っているのですか?」
副騎士団長の前に圧倒的な強者の気配を纏った敵が現れた。
リーダー・オークが従っているのを見て、敵のヴァンパイアが唯者でないのは分かっていたが、それにしても存在感が桁外れだった。
「お前が街や村を襲ったのか?」
「くっ、くっ、くっ、くっ、くっ」
「何がおかしい?」
「高貴な私が下賤な人間を襲う訳がないでしょう。
並の人間が高貴な私に血を吸われたら、ゾンビにもなれずに消え去ります」
「灰になったから住民が消えたのではないのか?」
「下賤な人間は、配下のレッサー・ヴァンパイアに血を吸わせました。
レッサー・ヴァンパイアの弱い血なら、下賤な人間を消さずにゾンビやレンブラントにできますからね」
「おのれ、ゾンビやレンブラントを増やして何をする気だ?」
「何もしませんよ、目障りな人間を滅ぼす駒にするだけです」
「駒だと、人間を何だと思っている?」
「生きていても何の役にもたたない、下等生物だと思っていますよ。
ああ、ですが極稀にですが、眷属になれる者がいますから、全て滅ぼさずに適当に生かさなければいけませんね。
……お前なら、インターミーディア・ヴァンパイアくらいには成れるかもしれませんので、引き裂かずに血を吸ってあげましょう。
側にいる人間たちも、レッサー・ヴァンパイアくらいには成れるでしょう」
敵の大将、スペシャル・グレイド・ヴァンパイアがそう言うと、周囲の闇から百を超えるヴァンパイアが現れた。
大半はレッサー・ヴァンパイアだが、七体のインターミーディア・ヴァンパイアと二体のハイア・ヴァンパイアが含まれていた。
「急げ、もっとヴァンパイアヴァン除けの香を焚け。
明日になったら領民全員で香の材料を集めろ。
辺境伯閣下に全て伝えろ」
副騎士団長が城門を守る騎士や兵士に命じた。
自分では勝てないと判断して、今後の方針を伝えたのだ。
「こんな辺境の民に興味などありませんよ。
手駒が必要だから襲っただけで、貴方をヴァンパイアにできれば、これ以上下賤な血を飲む気はありません。
だから大人しく私の眷属になりなさい」
「黙れ、人を襲う道具にされると分かっていて、言う通りにする私ではない。
お前のような化け物の眷属にされるくらいなら、自害する」
「くっ、くっ、くっ、くっ、くっ。
私の魔眼から逃れられるとでも思っているのですか、愚か者!」
余裕の態度で副騎士団長と話していたスペシャル・グレイド・ヴァンパイアが、ついに得意の魔眼を使った。
自害させる事なく副騎士団長を眷属に加えようとした。
「ナイト・チャージ!」
「「「「「おう!」」」」」
副騎士団長はこの時を待っていたのだ。
攻撃をしようとした瞬間に隙が生まれるのは、人もヴァンパイアも同じだ。
スペシャル・グレイド・ヴァンパイアが魔眼を使おうとした瞬間、ヴァンパイア・ハンターの遺品である聖銀製の剣を全力で投げた。
投げただけでなく、同時に全力で騎士突撃を行ったのだ。
副騎士団長が全身全霊を込めて投げた聖銀剣は見事にスペシャル・グレイド・ヴァンパイアの心臓を貫いた。
レッサー・ヴァンパイアやインターミーディア・ヴァンパイアなら、この攻撃だけで即死させられた。
ハイア・ヴァンパイアでも身動きできないくらいの重態にできた。
だがスペシャル・グレイド・ヴァンパイアが相手だと、重傷どまりだった。
緩慢な動きだが、自らの手で聖銀製の剣を心臓から引き抜こうとしていた。
「「「「「おのれ!」」」」」
周囲で余裕の態度をとっていたヴァンパイアたちが、余りにも予想外の出来事に驚き、次いで激怒した。
二体のハイア・ヴァンパイアを先頭に一斉に襲い掛かった。
百を越えるヴァンパイアたちに襲われては、副騎士団長と子飼いの騎士たちでもどうにもならない。
軍馬の傷つけられた事で騎士突撃の脚を止められ、スペシャル・グレイド・ヴァンパイアの止めを刺す事ができず、その場で戦うしかなかった。
軍馬、子飼いの騎士たちから順に切り刻まれ、絶命して行った。
それでも、多数の敵に包囲攻撃されながら、全員が最低でも一体のレッサー・ヴァンパイアの首を刎ねて道連れにしていた。
副騎士団長に至っては、鍛え上げられた鋼鉄剣とはいえ、聖なる効果が付与されていない剣を振るって、九体のレッサー・ヴァンパイアを屠った。
だが、背後から襲って来たハイア・ヴァンパイアの爪に心臓を貫かれてしまった。
歴戦の辺境伯家騎士団副団長は慎重だった。
全住民が眷属化されている街に、たった九騎で向かうほど愚かではなかった。
二百人を超える街の住民全員を眷属ができるヴァンパイアは、レッサー・ヴァンパイアやインターミーディア・ヴァンパイアではないと判断した。
リーダー・オークを使役している事から、スペシャル・グレイド・ヴァンパイア以上の強敵だとも判断していた。
ヴァンパイアに特化した武器、聖銀製の武器があれば別だが、普通の武器しか持たない状況では、ゾンビやレンブラントを斃すには技量が必要になる。
正確に心臓を貫くか首を刎ねるしかないという、制限を付けられた状況で九対二百以上で戦わなければいけない。
それもスペシャル・グレイド・ヴァンパイア以上が敵に加わった状態で、戦いが夜間に及ぶかもしれない時間から討伐を始めるのは危険過ぎると判断した。
副騎士団長は急いで領都に向かったが、残念ながら時間を使い過ぎていた。
オークとコボルトを殲滅するのに時間を使い過ぎてしまっていた。
領都の城門を前にして、遂に陽が完全に暮れてしまったのだ。
「お待ちなさい、私の手下を殺しておいて、生きて帰れると思っているのですか?」
副騎士団長の前に圧倒的な強者の気配を纏った敵が現れた。
リーダー・オークが従っているのを見て、敵のヴァンパイアが唯者でないのは分かっていたが、それにしても存在感が桁外れだった。
「お前が街や村を襲ったのか?」
「くっ、くっ、くっ、くっ、くっ」
「何がおかしい?」
「高貴な私が下賤な人間を襲う訳がないでしょう。
並の人間が高貴な私に血を吸われたら、ゾンビにもなれずに消え去ります」
「灰になったから住民が消えたのではないのか?」
「下賤な人間は、配下のレッサー・ヴァンパイアに血を吸わせました。
レッサー・ヴァンパイアの弱い血なら、下賤な人間を消さずにゾンビやレンブラントにできますからね」
「おのれ、ゾンビやレンブラントを増やして何をする気だ?」
「何もしませんよ、目障りな人間を滅ぼす駒にするだけです」
「駒だと、人間を何だと思っている?」
「生きていても何の役にもたたない、下等生物だと思っていますよ。
ああ、ですが極稀にですが、眷属になれる者がいますから、全て滅ぼさずに適当に生かさなければいけませんね。
……お前なら、インターミーディア・ヴァンパイアくらいには成れるかもしれませんので、引き裂かずに血を吸ってあげましょう。
側にいる人間たちも、レッサー・ヴァンパイアくらいには成れるでしょう」
敵の大将、スペシャル・グレイド・ヴァンパイアがそう言うと、周囲の闇から百を超えるヴァンパイアが現れた。
大半はレッサー・ヴァンパイアだが、七体のインターミーディア・ヴァンパイアと二体のハイア・ヴァンパイアが含まれていた。
「急げ、もっとヴァンパイアヴァン除けの香を焚け。
明日になったら領民全員で香の材料を集めろ。
辺境伯閣下に全て伝えろ」
副騎士団長が城門を守る騎士や兵士に命じた。
自分では勝てないと判断して、今後の方針を伝えたのだ。
「こんな辺境の民に興味などありませんよ。
手駒が必要だから襲っただけで、貴方をヴァンパイアにできれば、これ以上下賤な血を飲む気はありません。
だから大人しく私の眷属になりなさい」
「黙れ、人を襲う道具にされると分かっていて、言う通りにする私ではない。
お前のような化け物の眷属にされるくらいなら、自害する」
「くっ、くっ、くっ、くっ、くっ。
私の魔眼から逃れられるとでも思っているのですか、愚か者!」
余裕の態度で副騎士団長と話していたスペシャル・グレイド・ヴァンパイアが、ついに得意の魔眼を使った。
自害させる事なく副騎士団長を眷属に加えようとした。
「ナイト・チャージ!」
「「「「「おう!」」」」」
副騎士団長はこの時を待っていたのだ。
攻撃をしようとした瞬間に隙が生まれるのは、人もヴァンパイアも同じだ。
スペシャル・グレイド・ヴァンパイアが魔眼を使おうとした瞬間、ヴァンパイア・ハンターの遺品である聖銀製の剣を全力で投げた。
投げただけでなく、同時に全力で騎士突撃を行ったのだ。
副騎士団長が全身全霊を込めて投げた聖銀剣は見事にスペシャル・グレイド・ヴァンパイアの心臓を貫いた。
レッサー・ヴァンパイアやインターミーディア・ヴァンパイアなら、この攻撃だけで即死させられた。
ハイア・ヴァンパイアでも身動きできないくらいの重態にできた。
だがスペシャル・グレイド・ヴァンパイアが相手だと、重傷どまりだった。
緩慢な動きだが、自らの手で聖銀製の剣を心臓から引き抜こうとしていた。
「「「「「おのれ!」」」」」
周囲で余裕の態度をとっていたヴァンパイアたちが、余りにも予想外の出来事に驚き、次いで激怒した。
二体のハイア・ヴァンパイアを先頭に一斉に襲い掛かった。
百を越えるヴァンパイアたちに襲われては、副騎士団長と子飼いの騎士たちでもどうにもならない。
軍馬の傷つけられた事で騎士突撃の脚を止められ、スペシャル・グレイド・ヴァンパイアの止めを刺す事ができず、その場で戦うしかなかった。
軍馬、子飼いの騎士たちから順に切り刻まれ、絶命して行った。
それでも、多数の敵に包囲攻撃されながら、全員が最低でも一体のレッサー・ヴァンパイアの首を刎ねて道連れにしていた。
副騎士団長に至っては、鍛え上げられた鋼鉄剣とはいえ、聖なる効果が付与されていない剣を振るって、九体のレッサー・ヴァンパイアを屠った。
だが、背後から襲って来たハイア・ヴァンパイアの爪に心臓を貫かれてしまった。
10
あなたにおすすめの小説
生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!
mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの?
ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。
力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる!
ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。
読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。
誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。
流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。
現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇
此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。
運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)
村から追い出された変わり者の僕は、なぜかみんなの人気者になりました~異種族わちゃわちゃ冒険ものがたり~
楓乃めーぷる
児童書・童話
グラム村で変わり者扱いされていた少年フィロは村長の家で小間使いとして、生まれてから10年間馬小屋で暮らしてきた。フィロには生き物たちの言葉が分かるという不思議な力があった。そのせいで同年代の子どもたちにも仲良くしてもらえず、友達は森で助けた赤い鳥のポイと馬小屋の馬と村で飼われている鶏くらいだ。
いつもと変わらない日々を送っていたフィロだったが、ある日村に黒くて大きなドラゴンがやってくる。ドラゴンは怒り村人たちでは歯が立たない。石を投げつけて何とか追い返そうとするが、必死に何かを訴えている.
気になったフィロが村長に申し出てドラゴンの話を聞くと、ドラゴンの巣を荒らした者が村にいることが分かる。ドラゴンは知らぬふりをする村人たちの態度に怒り、炎を噴いて暴れまわる。フィロの必死の説得に漸く耳を傾けて大人しくなるドラゴンだったが、フィロとドラゴンを見た村人たちは、フィロこそドラゴンを招き入れた張本人であり実は魔物の生まれ変わりだったのだと決めつけてフィロを村を追い出してしまう。
途方に暮れるフィロを見たドラゴンは、フィロに謝ってくるのだがその姿がみるみる美しい黒髪の女性へと変化して……。
「ドラゴンがお姉さんになった?」
「フィロ、これから私と一緒に旅をしよう」
変わり者の少年フィロと異種族の仲間たちが繰り広げる、自分探しと人助けの冒険ものがたり。
・毎日7時投稿予定です。間に合わない場合は別の時間や次の日になる場合もあります。
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
レイルーク公爵令息は誰の手を取るのか
宮崎世絆
児童書・童話
うたた寝していただけなのに異世界転生してしまった。
公爵家の長男レイルーク・アームストロングとして。
あまりにも美しい容姿に高い魔力。テンプレな好条件に「僕って何かの主人公なのかな?」と困惑するレイルーク。
溺愛してくる両親や義姉に見守られ、心身ともに成長していくレイルーク。
アームストロング公爵の他に三つの公爵家があり、それぞれ才色兼備なご令嬢三人も素直で温厚篤実なレイルークに心奪われ、三人共々婚約を申し出る始末。
十五歳になり、高い魔力を持つ者のみが通える魔術学園に入学する事になったレイルーク。
しかし、その学園はかなり特殊な学園だった。
全員見た目を変えて通わなければならず、性格まで変わって入学する生徒もいるというのだ。
「みんな全然見た目が違うし、性格まで変えてるからもう誰が誰だか分からないな。……でも、学園生活にそんなの関係ないよね? せっかく転生してここまで頑張って来たんだし。正体がバレないように気をつけつつ、学園生活を思いっきり楽しむぞ!!」
果たしてレイルークは正体がバレる事なく無事卒業出来るのだろうか?
そしてレイルークは誰かと恋に落ちることが、果たしてあるのか?
レイルークは誰の手(恋)をとるのか。
これはレイルークの半生を描いた成長物語。兼、恋愛物語である(多分)
⚠︎ この物語は『レティシア公爵令嬢は誰の手を取るのか』の主人公の性別を逆転した作品です。
物語進行は同じなのに、主人公が違うとどれ程内容が変わるのか? を検証したくて執筆しました。
『アラサーと高校生』の年齢差や性別による『性格のギャップ』を楽しんで頂けたらと思っております。
ただし、この作品は中高生向けに執筆しており、高学年向け児童書扱いです。なのでレティシアと違いまともな主人公です。
一部の登場人物も性別が逆転していますので、全く同じに物語が進行するか正直分かりません。
もしかしたら学園編からは全く違う内容になる……のか、ならない?(そもそも学園編まで書ける?!)のか……。
かなり見切り発車ですが、宜しくお願いします。
少年騎士
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」ポーウィス王国という辺境の小国には、12歳になるとダンジョンか魔境で一定の強さになるまで自分を鍛えなければいけないと言う全国民に対する法律があった。周囲の小国群の中で生き残るため、小国を狙う大国から自国を守るために作られた法律、義務だった。領地持ち騎士家の嫡男ハリー・グリフィスも、その義務に従い1人王都にあるダンジョンに向かって村をでた。だが、両親祖父母の計らいで平民の幼馴染2人も一緒に12歳の義務に同行する事になった。将来救国の英雄となるハリーの物語が始まった。
異世界転移が決まってる僕、あと十年で生き抜く力を全部そろえる
谷川 雅
児童書・童話
【第3回きずな児童書大賞 読者賞受賞作品】
「君は25歳の誕生日に異世界へ飛ばされる――準備、しておけよ」
そんなリアルすぎる夢を見たのは、中学3年・15歳の誕生日。
しかも、転移先は「魔法もあるけど生活水準は中世並み」、しかも「チート能力一切なし」!?
死ぬ気で学べ。鍛えろ。生き抜け。
目指すのは、剣道×農業×経営×工学を修めた“自己完結型万能人間”!
剣道部に転部、進学先は国立農業高校。大学では、園芸、畜産・農業経営・バイオエネルギーまで学び、最終的には油が採れるジャガイモを発見して学内ベンチャーの社長に――
そう、全部は「異世界で生きるため」!
そしてついに25歳の誕生日。目を覚ますと、そこは剣と魔法の異世界。
武器は竹刀、知識はリアル、金は……時計を売った。
ここから始まるのは、“計画された異世界成り上がり”!
「魔法がなくても、俺には農業と剣がある――」
未来を知る少年が、10年かけて“最強の一般人”になり、異世界を生き抜く!
※「準備型転移」×「ノンチートリアル系」×「農業×剣術×起業」異色の成長譚!
ノースキャンプの見張り台
こいちろう
児童書・童話
時代劇で見かけるような、古めかしい木づくりの橋。それを渡ると、向こう岸にノースキャンプがある。アーミーグリーンの北門と、その傍の監視塔。まるで映画村のセットだ。
進駐軍のキャンプ跡。周りを鉄さびた有刺鉄線に囲まれた、まるで要塞みたいな町だった。進駐軍が去ってからは住宅地になって、たくさんの子どもが暮らしていた。
赤茶色にさび付いた監視塔。その下に広がる広っぱは、子どもたちの最高の遊び場だ。見張っているのか、見守っているのか、鉄塔の、あのてっぺんから、いつも誰かに見られているんじゃないか?ユーイチはいつもそんな風に感じていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる