四代目 豊臣秀勝

克全

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第一章

子作り

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「子供を作れ」
「いきなり何を申されるのですか」
「いきなりではない」
「しかし、ここは戦場です」
「だからだ」
「意味が分かりません」
「御前は死にかけた」
「それは」
「儂も努力はしているが、与一郎以外に子供を設けられない」
「それは・・・・・」
「兄者にも子供がおらん」
「ですが、於次丸様を養子に御迎えしたではありませんか」
「あれは、殿を御救いする為に仕方なく行ったことだ」
「それに、私には岩がいます」
「岩殿はまだ幼い。まだまだ子供は望めん」
「側室に先に子供が出来たら、後々家督争いの素になります」
「側室の子供には、木下家を継がせればいい」
「え」
「儂と与一郎で、既に二つの家が興っている」
「父上の羽柴家と、私の木下家の二つが並立すると申されるのですか」
「そうだ。織田家では、兄弟が別々の家を興すのは当たり前の事だ」
「しかし、だからと言って」
「それに、小六殿との絆は深めておかねばならん」
「どう言う事でございますか」
「与一郎の側室になるのは、小六殿の隠し子だ」
「え」
「楓が小六殿の隠し子なのじゃ」
「そうなのですか、ですが、何故私なのですか。父上では駄目なのですか」
「わしは子が出来難い」
「・・・・・」
「それにな、殿とは別に、小六殿とは親密になっておかねばならぬのだ」
「それはどう言う事でございますか」
「この前話した事だ」
「しかし、いくらなんでも」
「兄者は怖い人なのだ」
「私には怖い人だとは思えません」
「それは与一郎が兄者の邪魔にならないからだ」
「殿は、邪魔になる者を殺すとでも言われるのですか」
「兄者はな、己の邪魔になる者には、笑顔を見せて手を結びながら、罠に嵌める人なのだ」
「そんな」
「兄者の側に、儂や半兵衛殿がいる間はよかったのだ」
「どう行くことでございますか」
「兄者がやりたいことも、儂と半兵衛殿で出来ないと止めることが出来た」
「え。今迄殿の邪魔をなされていたのですか」
「後々の事を考え、兄者の疵になるような事は不可能だと申し上げてきた」
「それは、やれることもやらなかったと申されるのですか」
「そうだ」
「官兵衛殿が、殿を誑かしていると申されるのですか」
「官兵衛殿が悪いのではない。兄者の望みが高すぎるのだ」
「しかし、父上ならば殿を御止め出来るのではありませんか」
「儂だけでは難しいのだ」
「半兵衛殿と共に、御止めすればいいではありませんか」
「与一郎にも分かっているはずだ」
「それは・・・・・」
「半兵衛殿は長くない」
「・・・・・」
「だから与一郎は子を作るのだ」
「何故ここに私の子作りが出てくるのです」
「与一郎に子が出来れば、母上が喜ぶ」
「何故更に御婆様が出てくるのです」
「兄者も母上と義姉上には弱いのだ」
「それは存じておりますが」
「儂、与一郎、その子供と父上の血が続くとなれば、それを守るために母上は兄者を強く止める」
「それはそうかもしれませんが」
「これは父としての命令じゃ。戦の事は将監兄者に任せ。御前は子作りに専念するのだ」
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