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第二章
第三十話:用心棒と上納金
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生臭坊主こと有村健四郎俊定は悔しさのあまり酒をあおっていた。
莫大な金を稼いだ事で、やっと立石新次郎の上を行けたと思っていたのに、結局は新次郎に頭を下げて手助けを頼むことになってしまっていた。
いや、金の為に手助けを頼むことは構わなかった。
むしろ最初は自分の役に立つように、騙して使ってやるくらいの気持ちで会った。
だが、今では使われる側になってしまっていた。
しかも、暗に殺すと脅かされて心底恐怖を感じてしまっていた。
心密かに自分の方が才覚があると思っていた相手に脅かされて恐怖を感じてしまい、上納金の約束までさせられてしまった事に、忸怩たる思いでいた。
だが、だからといって、立石新次郎の協力を断る事などできない。
これからも賭場を開帳するには、立石新次郎の協力がどうしても必要だった。
万が一、一橋家の名前で寺社奉行所に訴え出られてしまったら、与力同心に賄賂を贈っていてもどうしようもないのだ。
昔の気力があれば、立石新次郎に反発していただろう。
負けてなるものかと思い奮起していただろう。
だが今の有村健四郎にはそんな気力はなかった。
賭場を運営する事で得た利益に満足して、心身共に肥え太ってしまっていた。
それに、有村健四郎なりの思案もあった。
盗賊に奪われた金は、普通なら絶対に取り返せない。
それを礼金に半分渡すだけで取り返してくれるという。
しかも貸付証文は全部返してくれるという。
それならば半分礼金を渡すのもしかたがない事だった。
それに、一橋家が後ろ盾になってくれるのなら、もっと賭場を大きくできる。
噂に聞いていた、大身旗本や御大尽を相手にした賭場を開くことも可能だ。
立石新次郎もその事を匂わせていた。
水谷屋敷の賭場に通っていた客の名簿も持っているようだった。
問題は賭場の上りの半分を上納しなければいけない事だった。
今の賭場のままなら、有村健四郎の取り分が半分以下になってしまう。
今まで以上の利益を手に入れようと思えば、高級な賭場を開帳しなければいけないが、その為にはかなりの額を最初に投資しなければいけない。
正宝寺以外の拠点も必要になるし、そこで働く優秀な人手も必要だった。
そこまでは有村健四郎にも理解できるが、それを立石新次郎に言われた事に自尊心を傷つけられ、激しく腹を立てていた。
取り敢えず賭場を再開することにしたが、金もないのに多くの人手を増やさなければいけない事にも苛立っていた。
新たな賭場を開くための投資だとは分かっていたが、立石新次郎は命じるだけで、全て自分がやらなければいけない事に苛立っていた。
まだ利益がないどころか大金を奪われた直後なのに、一晩雇うのに二両も三両もかかる、剣客用心棒を押し付けられた事にも苛立っていた。
そして何を除いても、それを断ることができない今の自分自身に腹が立ち、だからといって代案も思い浮かばず、逆らう事もできず、酒をあおるしかない有村健四郎だった。
莫大な金を稼いだ事で、やっと立石新次郎の上を行けたと思っていたのに、結局は新次郎に頭を下げて手助けを頼むことになってしまっていた。
いや、金の為に手助けを頼むことは構わなかった。
むしろ最初は自分の役に立つように、騙して使ってやるくらいの気持ちで会った。
だが、今では使われる側になってしまっていた。
しかも、暗に殺すと脅かされて心底恐怖を感じてしまっていた。
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だが、だからといって、立石新次郎の協力を断る事などできない。
これからも賭場を開帳するには、立石新次郎の協力がどうしても必要だった。
万が一、一橋家の名前で寺社奉行所に訴え出られてしまったら、与力同心に賄賂を贈っていてもどうしようもないのだ。
昔の気力があれば、立石新次郎に反発していただろう。
負けてなるものかと思い奮起していただろう。
だが今の有村健四郎にはそんな気力はなかった。
賭場を運営する事で得た利益に満足して、心身共に肥え太ってしまっていた。
それに、有村健四郎なりの思案もあった。
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それを礼金に半分渡すだけで取り返してくれるという。
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それならば半分礼金を渡すのもしかたがない事だった。
それに、一橋家が後ろ盾になってくれるのなら、もっと賭場を大きくできる。
噂に聞いていた、大身旗本や御大尽を相手にした賭場を開くことも可能だ。
立石新次郎もその事を匂わせていた。
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問題は賭場の上りの半分を上納しなければいけない事だった。
今の賭場のままなら、有村健四郎の取り分が半分以下になってしまう。
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取り敢えず賭場を再開することにしたが、金もないのに多くの人手を増やさなければいけない事にも苛立っていた。
新たな賭場を開くための投資だとは分かっていたが、立石新次郎は命じるだけで、全て自分がやらなければいけない事に苛立っていた。
まだ利益がないどころか大金を奪われた直後なのに、一晩雇うのに二両も三両もかかる、剣客用心棒を押し付けられた事にも苛立っていた。
そして何を除いても、それを断ることができない今の自分自身に腹が立ち、だからといって代案も思い浮かばず、逆らう事もできず、酒をあおるしかない有村健四郎だった。
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