王太子に婚約破棄されてから一年、今更何の用ですか?

克全

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58話

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「分かりました。
 直ぐに自由戦士ギルドの精鋭を派遣します。
 目付け役として、家臣の方を派遣願います。
 ただ、できれば腕の立つ方をお願いします」

 自由戦士ギルドのマスターは、即断で引き受けてくれました。
 まあ、当然と言えば当然です。
 まだ誰も入ったことのないダンジョンです。
 当たり外れはありますが、確率的には圧倒的に当たりの可能性が高いのです。
 生きてお宝を発見することができれば、莫大な富が約束されています。

 オウエンは目付け役を誰にするのでしょうか?
 マスターが言うように、どれほど危険なのか分からない新発見のダンジョンです。
 探索してくれる自由戦士の足手纏いになるようではいけません。
 だからといって、腕が立つだけのバカでも困ります。
 さらに、自由戦士と結託してお宝を着服するような者でもダメです。
 無難なところで選ぶなら、今日の護衛のうちの誰かでしょうか。

「やあ、大発見だったね、ノドン子爵、ミルド子爵。
 大切な探索に事故があってはいけないから、家からも護衛を派遣させてもらうよ。
 なあに、礼などいらないよ。
 発見した物をもらえればいいよ。
 心配しなくてもいよ、ちゃんと六割の税金は払うからね」

 まったく!
 抜け目のない兄上です!
 ダンジョンが発見されたと報告があったその日のうちに、その情報を知り、私達が王都に戻った日に屋敷に押しかけてきました。

 ゴードン公爵家から紹介された家臣が全員スパイなのは、最初から分かっていた事ですが、これでは全く気が休まりません。
 まあ、私もオウエンも、兄上のような当主にならなければいけないのですが……
 
 兄上もこの国を支える大役に必死なのです。
 その必死さを他人に悟られてはいけない、重責を背負っておられるのです。
 そう思えば、今回の件も当然の行動です。
 新発見のダンジョンでは、考えられないような宝物が発見されることがあります。
 神々がこの世界ともっと交流されていた時代の、神具ともいえる宝物が発見されることがあるのです。

 そのような神具を、下級貴族に所有させるわけにはいかないのです。
 王家や王家に準じる大貴族が持ち、国の安定に使用しなければ、内乱が起こって民が戦乱に巻き込まれてしまうのです。

 頭では分かっているのです。
 もし兄上でなく、縁も所縁もない大貴族に従わされるのなら、まだ諦められるし、怒りも憤りも浮かばなかったでしょう。
 兄上だからこそ、感情的になってしまいます。
 それが私の兄上への甘えだと自覚しているだけに、なおさら感情的になってしまうのです。
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