妹に魅了された婚約者の王太子に顔を斬られ追放された公爵令嬢は辺境でスローライフを楽しむ。

克全

文字の大きさ
25 / 26

23話

しおりを挟む
「私は!
 私はアルフレット様をお慕いしております。
 前世から、ずっとお慕いしております。
 どうか、どうか、どうか、ずっと側に置いてください。
 妻にしてくださいとは言いません。
 一夜の遊びでもかまいません。
 子種をください。
 私にアルフレット様の子供を授けてください」

「……知っていたよ。
 カチュアが私の事を慕ってくれていたのは、前世から知っていた。
 前世ではそれを知らぬふりして独り立ちしてもらったけれど、この世界の人族は、前世以上に性悪になっている。
 そこに帰れとはとても言えない。
 私の養女とはいっても人族だから、魔族の伴侶を得るのは難しいだろう。
 アスキス家の男性や、これから見つかるかもしれない、魔力器官の無い魔族なら、よろこんで結婚するだろが、カチュアは私の事を慕ってくれている……
 無理に魔力器官の無い魔族と結婚しろとは言えない。
 ただ一夜の遊びなどとは言わないでくれ。
 そのような倫理に外れたことはできない。
 カチュアを迎えるのなら、正式に妻になってもらう。
 王族が見つからない可能性もあるので、直ぐに正室には迎える事はできない。
 十年だ。
 十年待ってくれ。
 その頃には王族が生き残っているかいないか、大体わかるだろう」

 夢のようです!
 このような結果になるとは、思いもしていませんでした。
 アルフレット様が、私を妻に迎えると約束してくださいました。
 正室になれるなんて、最初から欠片も思っていませんでした。
 側室にしていただけるだけで、天にも昇るよろこびです。

 十年です。
 長いと思う自分と、たった十年と思う自分がいます。
 本心は今直ぐにも側室にしていただきたいです。
 でも、前世を知っているので、十年など瞬く間だと感じる自分もいるのです。

 一番大事なのは、ここまで私の事を考え想ってくださって、自分の倫理観を抑えてくださっているということです。
 その思いやりを無視して、身勝手を口にしたら、それこそアルフレット様に愛想を尽かされてしまうかもしれないのです。

「ありがとうございます。
 アルフレット様のご厚意を受けさせていただきます。
 この十年で、アルフレット様に相応しい女になってみせます。
 アルフレット様が魔族の王となられるのなら、側室にも魔族の国王に相応しいそれ相応の嗜みが必要ですよね。
 今から勉強させていただきます」

 私は決意しました。
 アルフレット様は王になりたくないと思っておられますが、アルフレット様ほど王に相応しい方はおられないと思うのです。
 王に戴冠されたアルフレット様に、恥をかかせるわけにはいきません。
 養女であり側室である私に立ち振る舞いが、アルフレット様の品位にかかわるので、全身全霊を込めて勉強します。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

「君の回復魔法は痛い」と追放されたので、国を浄化するのをやめました

希羽
恋愛
「君の回復魔法は痛いから」と婚約破棄され、国外追放された聖女エレナ。しかし彼女の魔法は、呪いを根こそぎ消滅させる最強の聖なる焼却だった。国を見限って辺境で薬草カフェを開くと、その技術に惚れ込んだ伝説の竜王やフェンリルが常連になり、悠々自適なスローライフが始まる。 一方、エレナを追放した王国はパニックに陥っていた。新しく迎えた聖女の魔法は、ただ痛みを麻痺させるだけの「痛み止め」に過ぎず、国中に蔓延する呪いを防ぐことができなかったのだ。 原因不明の奇病、腐り落ちる騎士の腕、そして復活する魔王の封印。 「頼む、戻ってきてくれ!」と泣きつかれても、もう遅い。 私の店は世界最強の竜王様が警備しているので、王家の使いだろうと門前払いです。 ※本作は「小説家になろう」でも投稿しています。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

正妃である私を追い出し、王子は平民の女性と結婚してしまいました。…ですが、後になって後悔してももう遅いですよ?

久遠りも
恋愛
正妃である私を追い出し、王子は平民の女性と結婚してしまいました。…ですが、後になって後悔してももう遅いですよ? ※一話完結です。 ゆるゆる設定です。

王太子に婚約破棄されてから一年、今更何の用ですか?

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しいます。 ゴードン公爵家の長女ノヴァは、辺境の冒険者街で薬屋を開業していた。ちょうど一年前、婚約者だった王太子が平民娘相手に恋の熱病にかかり、婚約を破棄されてしまっていた。王太子の恋愛問題が王位継承問題に発展するくらいの大問題となり、平民娘に負けて社交界に残れないほどの大恥をかかされ、理不尽にも公爵家を追放されてしまったのだ。ようやく傷心が癒えたノヴァのところに、やつれた王太子が現れた。

あの日々に戻りたくない!自称聖女の義妹に夫と娘を奪われた妃は、死に戻り聖女の力で復讐を果たす

青の雀
恋愛
公爵令嬢スカーレット・ロッテンマイヤーには、前世の記憶がある。 幼いときに政略で結ばれたジェミニ王国の第1王子ロベルトと20歳の時に結婚した。 スカーレットには、7歳年下の義妹リリアーヌがいるが、なぜかリリアーヌは、ロッテンマイヤー家に来た時から聖女様を名乗っている。 ロッテンマイヤーは、代々異能を輩出している家柄で、元は王族 物語は、前世、夫に殺されたところから始まる。

妹に一度殺された。明日結婚するはずの死に戻り公爵令嬢は、もう二度と死にたくない。

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
恋愛
婚約者アルフレッドとの結婚を明日に控えた、公爵令嬢のバレッタ。 しかしその夜、無惨にも殺害されてしまう。 それを指示したのは、妹であるエライザであった。 姉が幸せになることを憎んだのだ。 容姿が整っていることから皆や父に気に入られてきた妹と、 顔が醜いことから蔑まされてきた自分。 やっとそのしがらみから逃れられる、そう思った矢先の突然の死だった。 しかし、バレッタは甦る。死に戻りにより、殺される数時間前へと時間を遡ったのだ。 幸せな結婚式を迎えるため、己のこれまでを精算するため、バレッタは妹、協力者である父を捕まえ処罰するべく動き出す。 もう二度と死なない。 そう、心に決めて。

処理中です...