7 / 8
第6話幽閉2日目2
しおりを挟む
「この、愚か者が!
守護神様との契約を破って、この世界で生きていけると思ったの?!
恥を知りなさい、恥を!」
「恐れながらアリス王女殿下。
王太子殿下に逆らえば、国が亡ぶ前に殺されてしまいます。
私を愚か者と申されるのなら、あのような方を立太子された、陛下を先に愚か者とお諫め頂かねば、片手落ちでございます」
アリス王女が無意識に父王に視線を向けた。
ジョージ国王はとっさに顔を背けた。
確かに大臣の言う通りだった。
チャールズのような色情狂を立太子したのが間違いだった。
そう、全てはジョージ国王の責任だった。
「お前の言いたいことは分かったわ。
過去の事はもういいわ。
これからの事を考えないといけません。
直ぐに聖女の間を占拠しているカミラを捕えなさい。
抵抗するようなら殺して構いません。
チャールズが邪魔するのなら、捕えなさい。
抵抗するようなら、チャールズも殺して構いません。
それでよろしいですね、父王陛下」
「あ、ああ」
アリス王女は兄チャールズを殺す決断をした。
カミラもチャールズも抵抗するだろうと確信していた。
この機会に殺さねば、守護神に完全に見捨てらると考えていた。
すでに守護神に見捨てられてはいるが、まだ守護神は絆と契約していないはずだ。
条件は厳しくなるだろうが、再契約が不可能というわけではない。
何としてでも、守護神がこの地を去るまでに再契約しなければならない。
そのためには、色情狂はもちろん愚王にも邪魔されるわけにはいかない。
アリス王女はこの場に留まって、愚王を見張りながら指示を出すことにした。
「聞きましたね。
勅命が下りました。
近衛を、いえ、全軍を率いてカミラもチャールズを捕えなさい。
塔に捕らわれている聖女を救い出しなさい。
直ぐにです!」
アリス王女の厳しい命令を受けて、大臣達はあわただしく動き出した。
だが彼らの保身は醜いモノだった。
アリス王女が必ず勝つ保証はなく、完全にチャールズ王太子と敵対するのを恐れ、自分は矢面に立たず、命令を全て武官に丸投げした。
いや、それはまだましな方で、チャールズ王太子に注進する者まで現れた。
アリス王女の油断とも言えるし、箱入り娘ゆえの詰めのあまさとも言える。
残虐非道な行為に慣れていなかったと好意的に解釈することも可能だ。
だが結果はあまりにも悲惨なモノだった。
聖女ダイアナに叩きのめされ、半殺しにされ、ようやく治療が終わっていたチャールズ王太子は恐ろしく苛立っていたのだ。
「おのれアリス!
妹の分際で私に逆らうと言うか!
構わん!
殺せ!
国王もろとも殺してしまえ!
そうすれば私が、いや、余が国王だ!
アリスを嬲り者にして構わん!
だから直ぐにやれ!」
守護神様との契約を破って、この世界で生きていけると思ったの?!
恥を知りなさい、恥を!」
「恐れながらアリス王女殿下。
王太子殿下に逆らえば、国が亡ぶ前に殺されてしまいます。
私を愚か者と申されるのなら、あのような方を立太子された、陛下を先に愚か者とお諫め頂かねば、片手落ちでございます」
アリス王女が無意識に父王に視線を向けた。
ジョージ国王はとっさに顔を背けた。
確かに大臣の言う通りだった。
チャールズのような色情狂を立太子したのが間違いだった。
そう、全てはジョージ国王の責任だった。
「お前の言いたいことは分かったわ。
過去の事はもういいわ。
これからの事を考えないといけません。
直ぐに聖女の間を占拠しているカミラを捕えなさい。
抵抗するようなら殺して構いません。
チャールズが邪魔するのなら、捕えなさい。
抵抗するようなら、チャールズも殺して構いません。
それでよろしいですね、父王陛下」
「あ、ああ」
アリス王女は兄チャールズを殺す決断をした。
カミラもチャールズも抵抗するだろうと確信していた。
この機会に殺さねば、守護神に完全に見捨てらると考えていた。
すでに守護神に見捨てられてはいるが、まだ守護神は絆と契約していないはずだ。
条件は厳しくなるだろうが、再契約が不可能というわけではない。
何としてでも、守護神がこの地を去るまでに再契約しなければならない。
そのためには、色情狂はもちろん愚王にも邪魔されるわけにはいかない。
アリス王女はこの場に留まって、愚王を見張りながら指示を出すことにした。
「聞きましたね。
勅命が下りました。
近衛を、いえ、全軍を率いてカミラもチャールズを捕えなさい。
塔に捕らわれている聖女を救い出しなさい。
直ぐにです!」
アリス王女の厳しい命令を受けて、大臣達はあわただしく動き出した。
だが彼らの保身は醜いモノだった。
アリス王女が必ず勝つ保証はなく、完全にチャールズ王太子と敵対するのを恐れ、自分は矢面に立たず、命令を全て武官に丸投げした。
いや、それはまだましな方で、チャールズ王太子に注進する者まで現れた。
アリス王女の油断とも言えるし、箱入り娘ゆえの詰めのあまさとも言える。
残虐非道な行為に慣れていなかったと好意的に解釈することも可能だ。
だが結果はあまりにも悲惨なモノだった。
聖女ダイアナに叩きのめされ、半殺しにされ、ようやく治療が終わっていたチャールズ王太子は恐ろしく苛立っていたのだ。
「おのれアリス!
妹の分際で私に逆らうと言うか!
構わん!
殺せ!
国王もろとも殺してしまえ!
そうすれば私が、いや、余が国王だ!
アリスを嬲り者にして構わん!
だから直ぐにやれ!」
1
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたと思ったら結婚を申し込まれました
を
恋愛
「リッカ・ウィンターベル!貴様との婚約を破棄する!」
「あ、はい」
リッカがあっさりと承諾すると、思っていた反応とは違ったので殿下は困惑した。
だが、さらに困惑する展開が待ち受けているのだった。
『壁の花』の地味令嬢、『耳が良すぎる』王子殿下に求婚されています〜《本業》に差し支えるのでご遠慮願えますか?〜
水都 ミナト
恋愛
マリリン・モントワール伯爵令嬢。
実家が運営するモントワール商会は王国随一の大商会で、優秀な兄が二人に、姉が一人いる末っ子令嬢。
地味な外観でパーティには来るものの、いつも壁側で1人静かに佇んでいる。そのため他の令嬢たちからは『地味な壁の花』と小馬鹿にされているのだが、そんな嘲笑をものととせず彼女が壁の花に甘んじているのには理由があった。
「商売において重要なのは『信頼』と『情報』ですから」
※設定はゆるめ。そこまで腹立たしいキャラも出てきませんのでお気軽にお楽しみください。2万字程の作品です。
※カクヨム様、なろう様でも公開しています。
聖女追放された私ですが、追放先で開いたパン屋が大繁盛し、気づけば辺境伯様と宰相様と竜王が常連です
さくら
恋愛
聖女として仕えていた少女セラは、陰謀により「力を失った」と断じられ、王都を追放される。行き着いた辺境の小さな村で、彼女は唯一の特技である「パン作り」を生かして小さな店を始める。祈りと癒しの力がわずかに宿ったパンは、人々の疲れを和らげ、心を温める不思議な力を持っていた。
やがて、村を治める厳格な辺境伯が常連となり、兵士たちの士気をも支える存在となる。続いて王都の切れ者宰相が訪れ、理屈を超える癒しの力に驚愕し、政治的な価値すら見出してしまう。そしてついには、黒曜石の鱗を持つ竜王がセラのパンを食べ、その力を認めて庇護を約束する。
追放されたはずの彼女の小さなパン屋は、辺境伯・宰相・竜王が並んで通う奇跡の店へと変わり、村は国中に名を知られるほどに繁栄していく。しかし同時に、王都の教会や貴族たちはその存在を脅威とみなし、刺客を放って村を襲撃する。だが辺境伯の剣と宰相の知略、竜王の咆哮によって、セラと村は守られるのだった。
人と竜を魅了したパン屋の娘――セラは、三人の大国の要人たちに次々と想いを寄せられながらも、ただ一つの答えを胸に抱く。
「私はただ、パンを焼き続けたい」
追放された聖女の新たな人生は、香ばしい香りとともに世界を変えていく。
コルセットがきつすぎて食べられずにいたら婚約破棄されました
おこめ
恋愛
親が決めた婚約者に婚約を破棄して欲しいと言われたクリス。
理由は『食べなくなった』から。
そんな理由で納得出来るかーーー!とキレつつも婚約破棄自体は嬉しい。
しかしいつものように平民街の食堂で食事をしているとそこに何故か元婚約者が!?
しかも何故かクリスを口説いてくる!?
そんなお話です。
治癒魔法で恋人の傷を治したら、「化け物」と呼ばれ故郷から追放されてしまいました
山科ひさき
恋愛
ある日治癒魔法が使えるようになったジョアンは、化け物呼ばわりされて石を投げられ、町から追い出されてしまう。彼女はただ、いまにも息絶えそうな恋人を助けたかっただけなのに。
生きる希望を失った彼女は、恋人との思い出の場所で人生の終わりを迎えようと決める。
「小賢しい」と離婚された私。国王に娶られ国を救う。
百谷シカ
恋愛
「貴様のような小賢しい女は出て行け!!」
バッケル伯爵リシャルト・ファン・デル・ヘーストは私を叩き出した。
妻である私を。
「あっそう! でも空気税なんて取るべきじゃないわ!!」
そんな事をしたら、領民が死んでしまう。
夫の悪政をなんとかしようと口を出すのが小賢しいなら、小賢しくて結構。
実家のフェルフーフェン伯爵家で英気を養った私は、すぐ宮廷に向かった。
国王陛下に謁見を申し込み、元夫の悪政を訴えるために。
すると……
「ああ、エーディット! 一目見た時からずっとあなたを愛していた!」
「は、はい?」
「ついに独身に戻ったのだね。ぜひ、僕の妻になってください!!」
そう。
童顔のコルネリウス1世陛下に、求婚されたのだ。
国王陛下は私に夢中。
私は元夫への復讐と、バッケル伯領に暮らす人たちの救済を始めた。
そしてちょっとした一言が、いずれ国を救う事になる……
========================================
(他「エブリスタ」様に投稿)
守護神の加護がもらえなかったので追放されたけど、実は寵愛持ちでした。神様が付いて来たけど、私にはどうにも出来ません。どうか皆様お幸せに!
蒼衣翼
恋愛
千璃(センリ)は、古い巫女の家系の娘で、国の守護神と共に生きる運命を言い聞かされて育った。
しかし、本来なら加護を授かるはずの十四の誕生日に、千璃には加護の兆候が現れず、一族から追放されてしまう。
だがそれは、千璃が幼い頃、そうとは知らぬまま、神の寵愛を約束されていたからだった。
国から追放された千璃に、守護神フォスフォラスは求愛し、へスペラスと改名した後に、人化して共に旅立つことに。
一方、守護神の消えた故国は、全ての加護を失い。衰退の一途を辿ることになるのだった。
※カクヨムさまにも投稿しています
婚約破棄ですか?はい喜んで。だって僕は姉の代わりですから。
ルーシャオ
恋愛
「女が乗馬をするなどはしたない! しかも何だこの服は、どう見ても男装だろう! 性倒錯甚だしい、不愉快だ!」
タランティオン侯爵家令嬢メラニーは、婚約者のユルヴェール公爵家のドミニクからきつく叱責された。しかしメラニーは涼しい顔で、婚約破棄をチラつかせたドミニクの言葉をすんなり受け入れて帰る。
それもそのはず、彼女はメラニーではなく双子の弟メルヴィンで、もっと言うなら婚約は目眩しだ。祖父であり帝国宰相ランベルトの企みの一端に過ぎなかった。メルヴィンはため息を吐きながらも、メラニーのふりをして次の婚約者のもとへ向かう。すると——?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる