私はどうしようもない凡才なので、天才の妹に婚約者の王太子を譲ることにしました

克全

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第一章

第40話:究極の選択・エレノア視点

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「エレノアお嬢様、今少しフローラお嬢様の左後ろに位置してください。
 私の対角でフローラお嬢様の動きの邪魔にならないようにしてください。
 その位置ではフローラお嬢様が逃げようとされた時に危険です。
 エレノアお嬢様もフローラお嬢様を危険な目に合わせたくはないでしょ」

 またイザベルに怒られてしまいました。
 イザベルは何時もお姉様に近すぎると怒ります。
 そんなに近すぎるとは思わないのですが、おかしいですね。
 でも、お姉様が危険だと言われれば聞くしかありません。
 しかし、お姉様に迫る危険など私が焼き尽すので心配ないのですが。

「エレノア嬢、フローラ嬢が大切なのは分かりますが、それではフローラ嬢に縁談があった時に困りませんか。
 フローラ嬢はフレイザー王国の王太女に立てられたのでしょ。
 近々にも婚約者を選ばなければいけないのではありませんか。
 そこでなのですが、我が国にはとても優秀な第四王子がおられ、フッグッア」

 我慢に我慢を重ねてきましたが、もうこれ以上聞くに堪えません。
 お姉様に婚約者を勧めるなんて許せません。
 お姉様はウィリアムのバカの所為で傷ついているのです。
 その傷を広げるような事は絶対にさせません。
 お姉様はずっと私と一緒に暮らすのです。
 それを邪魔しようとする者はどのような手段を使っても排除します。

「確かにそれは考えておかないといけない事ですね。
 フレイザー王家にはフローラお嬢様とエレノアお嬢様しか王位継承権者がおられませんから、下手をすればウィリアム王子が王位継承権を主張するかもしれません。
 それを防ぐには、フローラお嬢様かエレノアお嬢様が結婚されて王位継承権者を生むしか方法がありません」

 血塗れのバカ貴族を無視してイザベルが余計な事を口にします。
 言ったのがイザベルでなければこの場で殺しています。
 長年お姉様を護ってきたイザベルだから我慢しているのです。
 ですが、イザベルが口にする以上必要な事なのかもしれません。
 とは言っても、お姉様に男が近づくなど絶対に我慢できません。
 でも、私も男を近づけるのは嫌です。

 父上が分離独立戴冠を選ばれた事で、ウィリアム王子と縁が切れたと思ったのに、まだ関係を主張するのなら今度こそ焼き殺してあげます。
 とは言っても、建国早々お姉様と私が結婚を拒否して王位を継ぐ者がいないというのも不味いでしょうね、お姉様か私が子供を生む、究極の選択になってしまいます。

「それにしても愉しみですね、エレノアお嬢様。
 フローラお嬢様がお生みになるお子様ですよ。
 それはそれは可愛いお子様でしょうね。
 私も早く抱きしめたいですが、エレノアお嬢様も抱きたいのではありませんか。
 フローラお嬢様がお生みになったお子様を」

 子供、赤ちゃん。
 お姉様がお生みになられた珠のような赤ちゃん。
 抱きしめたい、私も抱きしめたいです。
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