5 / 5
第一章
第5話:復讐
しおりを挟む
「お嬢様、いよいよでございますね」
決行前にヴァネッサが声をかけてくれます。
「そうね、ようやくこの時が来たわね」
王都を追われて一年、ようやく復讐の時が来ました。
カトリーヌとサロメの目を逃れるために古代遺跡の地下で暮らしました。
ひたすら魔力の増幅と魔術呪術の習得に努めました。
ジェラールとヴァネッサからは人族とエルフの魔術を学びました。
幸いだったのは二人が古代エルフ語を知っていた事です。
そのお陰で古代遺跡地下深くにある石板の召喚魔術を知ることができました。
今こうして思い出すと、この一年は本当に大変でした。
古代遺跡の地下はカトリーヌとサロメの魔術呪術は防いでくれました。
ですが刺客までは防いでくれませんでした。
度重なる刺客の襲撃には本当に困りました。
最初の襲撃を受けた時に、馬は古代遺跡の地下に避難させることができましたが、馬車を破壊されてしまい、それ以降は地下で毛布に包まって寝ることになりました。
「では、堕天使リリアーヌを召喚して私の魂を同化させ、この手でカトリーヌとサロメを殺します。
いえ、サロメと同じようにカトリーヌがヘネシー伯爵との不義で生んだ弟のウスターシュも、ヘネシー伯爵も一緒に殺します。
愚かな父エヴァリストは殺す価値もないでしょう。
フェルディナン国王やマクシミリアン王太子は無視します」
この一年なんの救いの手も差し伸べてこなかった父や国王、婚約者の王太子には何の未練もありません。
王国一の美男子であろうと長剣の名手であろうと、情も想いもない男とは結婚などできません、自分の結婚相手は自分で探します。
堕天使リリアーヌを召喚した後は簡単な話しでした。
リリアーヌの力は絶大で、全ての事を見通す事ができました。
カトリーヌとサロメが邪悪な魔女である事も。
ウスターシュが魔王をこの世界に召喚するための魂のない依り代である事も。
エヴァリストには家族に対する愛情がひとかけらもない事も。
まあ、私もエヴァリストに愛情がなかったので同じですね。
リリアーヌとなった私は魂砕きの剣と魔滅ぼしの剣を振るって、カトリーヌとサロメをこの世界から完全に滅ぼしました。
エヴァリストは無視してヘネシー伯爵の所に行って同じように滅ぼしました。
妻と息子は何の関係もなかったので見逃しました。
国王や王太子は内心を確かめる事もしませんでした。
そんな気にもならないくらい興味がなくなっていました。
「お嬢様、いかがでございましたか」
ジェラールが復讐から戻ってきた私に首尾を訊ねてきます。
「簡単過ぎて拍子抜けしてしまうくらいだったわ。
でもこれで過去に囚われるのは止めます。
これからは自分の力だけで自由に生きるわよ。
まずは古代遺跡の地下がどこまであるのか確認するわ」
「「はい、お嬢様」」
決行前にヴァネッサが声をかけてくれます。
「そうね、ようやくこの時が来たわね」
王都を追われて一年、ようやく復讐の時が来ました。
カトリーヌとサロメの目を逃れるために古代遺跡の地下で暮らしました。
ひたすら魔力の増幅と魔術呪術の習得に努めました。
ジェラールとヴァネッサからは人族とエルフの魔術を学びました。
幸いだったのは二人が古代エルフ語を知っていた事です。
そのお陰で古代遺跡地下深くにある石板の召喚魔術を知ることができました。
今こうして思い出すと、この一年は本当に大変でした。
古代遺跡の地下はカトリーヌとサロメの魔術呪術は防いでくれました。
ですが刺客までは防いでくれませんでした。
度重なる刺客の襲撃には本当に困りました。
最初の襲撃を受けた時に、馬は古代遺跡の地下に避難させることができましたが、馬車を破壊されてしまい、それ以降は地下で毛布に包まって寝ることになりました。
「では、堕天使リリアーヌを召喚して私の魂を同化させ、この手でカトリーヌとサロメを殺します。
いえ、サロメと同じようにカトリーヌがヘネシー伯爵との不義で生んだ弟のウスターシュも、ヘネシー伯爵も一緒に殺します。
愚かな父エヴァリストは殺す価値もないでしょう。
フェルディナン国王やマクシミリアン王太子は無視します」
この一年なんの救いの手も差し伸べてこなかった父や国王、婚約者の王太子には何の未練もありません。
王国一の美男子であろうと長剣の名手であろうと、情も想いもない男とは結婚などできません、自分の結婚相手は自分で探します。
堕天使リリアーヌを召喚した後は簡単な話しでした。
リリアーヌの力は絶大で、全ての事を見通す事ができました。
カトリーヌとサロメが邪悪な魔女である事も。
ウスターシュが魔王をこの世界に召喚するための魂のない依り代である事も。
エヴァリストには家族に対する愛情がひとかけらもない事も。
まあ、私もエヴァリストに愛情がなかったので同じですね。
リリアーヌとなった私は魂砕きの剣と魔滅ぼしの剣を振るって、カトリーヌとサロメをこの世界から完全に滅ぼしました。
エヴァリストは無視してヘネシー伯爵の所に行って同じように滅ぼしました。
妻と息子は何の関係もなかったので見逃しました。
国王や王太子は内心を確かめる事もしませんでした。
そんな気にもならないくらい興味がなくなっていました。
「お嬢様、いかがでございましたか」
ジェラールが復讐から戻ってきた私に首尾を訊ねてきます。
「簡単過ぎて拍子抜けしてしまうくらいだったわ。
でもこれで過去に囚われるのは止めます。
これからは自分の力だけで自由に生きるわよ。
まずは古代遺跡の地下がどこまであるのか確認するわ」
「「はい、お嬢様」」
2
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
姉妹同然に育った幼馴染に裏切られて悪役令嬢にされた私、地方領主の嫁からやり直します
しろいるか
恋愛
第一王子との婚約が決まり、王室で暮らしていた私。でも、幼馴染で姉妹同然に育ってきた使用人に裏切られ、私は王子から婚約解消を叩きつけられ、王室からも追い出されてしまった。
失意のうち、私は遠い縁戚の地方領主に引き取られる。
そこで知らされたのは、裏切った使用人についての真実だった……!
悪役令嬢にされた少女が挑む、やり直しストーリー。
実家を没落させられ恋人も奪われたので呪っていたのですが、記憶喪失になって呪わなくなった途端、相手が自滅していきました
麻宮デコ@SS短編
恋愛
「どうぞ、あの人たちに罰を与えてください。この身はどうなっても構いません」
ラルド侯爵家のドリィに自分の婚約者フィンセントを奪われ、実家すらも没落においやられてしまった伯爵家令嬢のシャナ。
毎日のように呪っていたところ、ラルド家の馬車が起こした事故に巻き込まれて記憶を失ってしまった。
しかし恨んでいる事実を忘れてしまったため、抵抗なく相手の懐に入りこむことができてしまい、そして別に恨みを晴らそうと思っているわけでもないのに、なぜか呪っていた相手たちは勝手に自滅していってしまうことになっていった。
全6話
その魔法は、キズを治していません! 妹から婚約者を奪われた姉は、隠れていた才能で……
甘い秋空
恋愛
私の先輩の聖女は婚約者のケガを確実に数日かけ光魔法で治癒させていましたが、聖女の妹のほうは一日で治癒させて婚約者の心を奪いました。
しかし、妹が使ったのは闇魔法で、本当の意味ではキズを治していません。姉の聖女には隠れていた才能があり……
大公家を追放されて奈落に落とされたけど、以前よりずっと幸せだ。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
大公家を追放されて奈落に落とされたけど、奈落のモンスターの方が人間よりも優しくて、今の方がずっと幸せだ。
わたしと婚約破棄? では、一族の力を使って復讐させていただきますね
岡崎 剛柔
恋愛
伯爵令嬢カスミ・リンドバーグは、第二王太子シグマとの婚約お披露目パーティーで衝撃的な告白をされる。
「カスミ・リンドバーグ! やはりお前とは結婚できない! なのでこの場において、この僕――ガルディア王国の第二王太子であるシグマ・ガルディアによって婚約を破棄する!」
理由は、カスミが東方の血を引く“蛮族女”だから。
さらにシグマは侯爵令嬢シルビアを抱き寄せ、彼女と新たに婚約すると貴族諸侯たちに宣言した。
屈辱に染まる大広間――だが、カスミの黒瞳は涙ではなく、冷ややかな光を宿していた。
「承知しました……それではただいまより伯爵令嬢カスミ・リンドバーグではなく、ガルディア王国お庭番衆の統領の娘――カスミ・クレナイとして応対させていただきます」
カスミが指を鳴らした瞬間、ホール内に潜んでいたカスミの隠密護衛衆が一斉に動き出す。
気がつけばシグマは王城地下牢の中だった。
そこに現れたのは、国王バラモンと第一王太子キース――。
二人はカスミこそ隣国との戦争で王国を勝利へ導いたクレナイ一族の姫であり、シグマの暴挙は王家にとっても許されぬ大罪だとしてシグマとの縁を切った。
それだけではなく、シグマには想像を絶する処罰が下される。
これは婚約破棄から生まれる痛快な逆転劇と新たなラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる