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仕組まれた罠
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学園祭の夜は、燦めばなしかった。大講堂は絢爛なシャンデリアに照らされ、弦楽四重奏が優雅に流れる。エドワードは黒のタキシードに銀の薔薇のピンを付け、壁際に立っていた。
――研究本科の身でありながら、こんな社交の場など退屈でしかない。
だが、父の代理として社交の場に顔を出さねばならない事もある。ただ、時間が過ぎるのを待つだけだ。
取り巻きたちはリリアの周りに群がり、聖女の輪にすら入り込もうとしていた。
「エドワード様、今夜こそリリア様に――」
「黙れ。俺は動かん」
彼は冷たく切り捨てるが、視線は自然とリリアに吸い寄せられる。銀の髪をアップにまとめ、白いドレスが光を反射する。
――完璧すぎる仮面が不気味だ。
リリアはこちらに気づいたのか、優雅に歩み寄ってきた。
「エドワード様、今宵はより一層素敵ですね」
「聖女も、華やかだな」
「ふふ、心にも無いことを。顔にでておられますよ。お詫びとして、わたしと一緒に踊っていただけませんか?」
彼女は手を差し出す。周囲は息を呑んで二人のやり取りを見守っている。
――聖女の誘いを拒否すれば、さらに悪目立ちする。目的がわからない以上、それは悪手だ。
エドワードは内心で舌打ちし、彼女の手を取った。
「一曲だけだ」
ワルツが流れダンスが始まる。
リリアの動きは滑るようになめらかで完璧だった。まるで舞踏の神に愛されたようだ。
「……平民にしては上手だな。何処で習った?」
リリアはふふっと笑いながら、
「秘密です。女性の秘密は武器なんですよ」
と軽やかにステップを踏む。
「ところで、エドワード様は闇の魔術に詳しいと聞きました」
リリアが唐突に質問を投げかける。
「巷の噂か……」
「ええ。私も、少しだけ……興味が」
彼女の瞳が、琥珀の奥で揺れるが、曲が終わり、話はそこで途切れた。給仕に飲み物を頼む。リリアがグラスを受け取り、エドワードに手渡し、
「風に当たりながら、バルコニーでいただきましょうか」
と促す。
「乾杯しましょう。あなたの研究が、実を結びますように」
渡されたワインは深紅の赤、血の色……。仄かに薔薇の香りがする。香りに訝しくは思ったが、微笑むリリアを前にエドワードは、グラスを傾け一口含む。
瞬間、喉が焼けるように熱く、裂けるような痛みが走った。
「――っ!」
視界が歪む。
――やはり何か仕込まれていた。侮った。俺としたことが!!
リリアの笑顔がかすみ、歪んで見える。
「あなたは、いつも棘を振りかざす。でも――」
彼女は顔を近づけ耳元で囁く。
「棘は、折れるものよ」
意識が次第に遠のき、エドワードが最後に見たのは、リリアの冷たい瞳と、静かに忍び寄る黒いローブの男達の影だった。
目覚めたエドワードは、見知らぬ場所にいた。暗くジメジメしたところで、何処かの地下室のようだった。手足は鎖で繋がれ、魔力を封じる首輪を付けられている。
「……くっ、……なんだこれは!」
ガシャガシャと抵抗を試みる。その音が届いたのか、
「ようやくお目覚めですか、黒薔薇の悪鬼」
事態の首謀者が立っていた。リリアは白いドレスではなく、聖女らしからぬ黒のローブを纏う。
「計画通りだな」
男が言う。
「……計画?」
エドワードが男に問う。
「ええ。あなたを陥れ、わたしが公爵領をもらうの」
彼女が答えて笑う。
「どうやって?」
「あなたは、闇の魔術で生徒に毒を盛り、騒ぎを起こしたの」
「馬鹿な。俺は飲まされた側だ」
「証拠は揃えたの。……あなたが、毒を使った証拠。そして、聖女の私が被害者なのよ」
リリアはパチンと指を鳴らす。扉が開き、取り巻きたちが引きずり出される。全員、毒で意識を失っていた。
「あなたが、毒を盛ったのよ。証人たちは、皆私の味方よ。弱みを握って買収したわ」
エドワードは唇を噛む。
――罠に嵌った。
翌朝、学園は大騒ぎになっていた。
「エドワード様が、聖女に毒を!」
「黒薔薇の悪鬼、ついにしてはいけないことを……」
聖女に毒を盛った事で、国が騒ぎ出した。エドワードの姿もないので憶測をさらに呼んだ。
牢から引きずり出され、惨めな姿を晒す「黒薔薇の悪鬼」に群衆の嘲笑が降り注ぐ。
「ざまあみろ!」
「悪は滅びる!」
石ころやモノを投げつける者もいた。
聖女を害した事で、普段関わりの無い民衆が怒りをぶつけてきたのだ。
リリアは高台から見下ろし、楽しそうに微笑む。
「これで、公爵領は私のもの」
だが、エドワードの瞳は、死んでいなかった。
――アリス。
彼女の言葉が、脳裏に蘇る。
『希望はありますよ』
ジャリ…ジャリ……ガッシャン……。
――古い陣の残滓で、魔力をわずかに取り戻した。新しい魔道具では、エドワードを守る守護結界の全てを取り除けなかったのだ。憲兵に残りの力を振り絞り、緊縛術をかけ、毒に侵された重い身体を引きずるように、身を潜めながら闇に紛れ逃亡した。
行く先は公爵領の森の奥、古い廃墟。そこに、待っていたのは――
「エドワード様……!」
アリスだった。
「……アリス。何故、ここに?」
アリスは今にも崩れ落ちそうなエドワードの身体をささえながら、
「大旦那様からのご命令だと、執事のガストン様より仰せつかりました」
廃墟の地下室。少し休んだ所で、アリスから父の書簡を渡される。エドワードはそれを広げ、暫し驚いた表情を見せ、ある古文書を手に取り呟いた。
「リリアの正体を、……暴く」
書簡に書かれていたのは、高位貴族の一部のみが知る隠されたリリアの過去の記録。
リリアは王族の私生児であった。平民の召使いに生ませた子。キチンと庇護を受けて不自由無く育ったはずなのに、不穏分子に目をつけられ利用されたようだ。聖女の力は、彼らの与えた闇の契約によるものだった。
彼女の力の源は古代の闇魔術にあり、公爵領の禁足地が聖地とされる。しかし、禁足の黒聖地は代々公爵家が秘匿して守ってきた。人の手に余る古代遺物を秘密裏に抱える我が黒き家門。代々当主はその影響で身体を蝕まれ、衰弱して死に至る。それ故にエドワードは古代魔術の研究を始めたのだ。
秘匿の中でも最重要機密を何処で知ったのか……。王族の誰かがもたらしたのか、王族が絡んでいるのか、悶々と考えを巡らす。
「彼女は、地位と権力を貪欲に欲している。そのために公爵位と、禁足地を…」
エドワードは拳を握る。
「俺は、負けるわけにはいかない」
アリスが微笑む。
「希望の白い薔薇を咲かせましょう」
復讐の火が、静かに灯る。起死回生の狼煙をあげた。
――研究本科の身でありながら、こんな社交の場など退屈でしかない。
だが、父の代理として社交の場に顔を出さねばならない事もある。ただ、時間が過ぎるのを待つだけだ。
取り巻きたちはリリアの周りに群がり、聖女の輪にすら入り込もうとしていた。
「エドワード様、今夜こそリリア様に――」
「黙れ。俺は動かん」
彼は冷たく切り捨てるが、視線は自然とリリアに吸い寄せられる。銀の髪をアップにまとめ、白いドレスが光を反射する。
――完璧すぎる仮面が不気味だ。
リリアはこちらに気づいたのか、優雅に歩み寄ってきた。
「エドワード様、今宵はより一層素敵ですね」
「聖女も、華やかだな」
「ふふ、心にも無いことを。顔にでておられますよ。お詫びとして、わたしと一緒に踊っていただけませんか?」
彼女は手を差し出す。周囲は息を呑んで二人のやり取りを見守っている。
――聖女の誘いを拒否すれば、さらに悪目立ちする。目的がわからない以上、それは悪手だ。
エドワードは内心で舌打ちし、彼女の手を取った。
「一曲だけだ」
ワルツが流れダンスが始まる。
リリアの動きは滑るようになめらかで完璧だった。まるで舞踏の神に愛されたようだ。
「……平民にしては上手だな。何処で習った?」
リリアはふふっと笑いながら、
「秘密です。女性の秘密は武器なんですよ」
と軽やかにステップを踏む。
「ところで、エドワード様は闇の魔術に詳しいと聞きました」
リリアが唐突に質問を投げかける。
「巷の噂か……」
「ええ。私も、少しだけ……興味が」
彼女の瞳が、琥珀の奥で揺れるが、曲が終わり、話はそこで途切れた。給仕に飲み物を頼む。リリアがグラスを受け取り、エドワードに手渡し、
「風に当たりながら、バルコニーでいただきましょうか」
と促す。
「乾杯しましょう。あなたの研究が、実を結びますように」
渡されたワインは深紅の赤、血の色……。仄かに薔薇の香りがする。香りに訝しくは思ったが、微笑むリリアを前にエドワードは、グラスを傾け一口含む。
瞬間、喉が焼けるように熱く、裂けるような痛みが走った。
「――っ!」
視界が歪む。
――やはり何か仕込まれていた。侮った。俺としたことが!!
リリアの笑顔がかすみ、歪んで見える。
「あなたは、いつも棘を振りかざす。でも――」
彼女は顔を近づけ耳元で囁く。
「棘は、折れるものよ」
意識が次第に遠のき、エドワードが最後に見たのは、リリアの冷たい瞳と、静かに忍び寄る黒いローブの男達の影だった。
目覚めたエドワードは、見知らぬ場所にいた。暗くジメジメしたところで、何処かの地下室のようだった。手足は鎖で繋がれ、魔力を封じる首輪を付けられている。
「……くっ、……なんだこれは!」
ガシャガシャと抵抗を試みる。その音が届いたのか、
「ようやくお目覚めですか、黒薔薇の悪鬼」
事態の首謀者が立っていた。リリアは白いドレスではなく、聖女らしからぬ黒のローブを纏う。
「計画通りだな」
男が言う。
「……計画?」
エドワードが男に問う。
「ええ。あなたを陥れ、わたしが公爵領をもらうの」
彼女が答えて笑う。
「どうやって?」
「あなたは、闇の魔術で生徒に毒を盛り、騒ぎを起こしたの」
「馬鹿な。俺は飲まされた側だ」
「証拠は揃えたの。……あなたが、毒を使った証拠。そして、聖女の私が被害者なのよ」
リリアはパチンと指を鳴らす。扉が開き、取り巻きたちが引きずり出される。全員、毒で意識を失っていた。
「あなたが、毒を盛ったのよ。証人たちは、皆私の味方よ。弱みを握って買収したわ」
エドワードは唇を噛む。
――罠に嵌った。
翌朝、学園は大騒ぎになっていた。
「エドワード様が、聖女に毒を!」
「黒薔薇の悪鬼、ついにしてはいけないことを……」
聖女に毒を盛った事で、国が騒ぎ出した。エドワードの姿もないので憶測をさらに呼んだ。
牢から引きずり出され、惨めな姿を晒す「黒薔薇の悪鬼」に群衆の嘲笑が降り注ぐ。
「ざまあみろ!」
「悪は滅びる!」
石ころやモノを投げつける者もいた。
聖女を害した事で、普段関わりの無い民衆が怒りをぶつけてきたのだ。
リリアは高台から見下ろし、楽しそうに微笑む。
「これで、公爵領は私のもの」
だが、エドワードの瞳は、死んでいなかった。
――アリス。
彼女の言葉が、脳裏に蘇る。
『希望はありますよ』
ジャリ…ジャリ……ガッシャン……。
――古い陣の残滓で、魔力をわずかに取り戻した。新しい魔道具では、エドワードを守る守護結界の全てを取り除けなかったのだ。憲兵に残りの力を振り絞り、緊縛術をかけ、毒に侵された重い身体を引きずるように、身を潜めながら闇に紛れ逃亡した。
行く先は公爵領の森の奥、古い廃墟。そこに、待っていたのは――
「エドワード様……!」
アリスだった。
「……アリス。何故、ここに?」
アリスは今にも崩れ落ちそうなエドワードの身体をささえながら、
「大旦那様からのご命令だと、執事のガストン様より仰せつかりました」
廃墟の地下室。少し休んだ所で、アリスから父の書簡を渡される。エドワードはそれを広げ、暫し驚いた表情を見せ、ある古文書を手に取り呟いた。
「リリアの正体を、……暴く」
書簡に書かれていたのは、高位貴族の一部のみが知る隠されたリリアの過去の記録。
リリアは王族の私生児であった。平民の召使いに生ませた子。キチンと庇護を受けて不自由無く育ったはずなのに、不穏分子に目をつけられ利用されたようだ。聖女の力は、彼らの与えた闇の契約によるものだった。
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秘匿の中でも最重要機密を何処で知ったのか……。王族の誰かがもたらしたのか、王族が絡んでいるのか、悶々と考えを巡らす。
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