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8.家庭味ラーメン
2.快適
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上野駅に出た2人は、そのまま東北新幹線に乗って福島県を目指した。一度目的地を通り越して新幹線駅で降りて、各駅停車に乗り換えて目的地に戻る。
今まで旅行といえば、快速か特急で移動していたから、とても楽ちんだ。
窓の外を見ていた里美は、ウキウキ気分でひいちゃんに振り返って言った。
「こんな遠くまで、こんな簡単に来られるなら、いつも新幹線にしてほしかったなぁ」
「もうこの齢だから大奮発。ひ孫と旅行だなんて、この先何度行けるか分からないからね」
「それじゃあ、今度千葉にある東京のお城行こうよ。そういう所だったら、率先してお供するよ」
「じゃあ、機会があったら、沖縄に行きましょうか」
「沖縄?」
里美は仰天した。まさか、そんな遠くに行けるとは思わなかった。
「じゃあ、夏、今年の夏に行こうよ」
5000円もする駅弁を口からボロボロこぼすほど、里美は興奮した。その様子を見たひいちゃんは、とても嬉しそうに笑う。
どんな水着が似合うだろう。2人でビギニか?
里美の提案に、ひいちゃんは大笑いだ。
ひいちゃんは体が小さくて可愛いので、フリルが似合う。里美は本気でそういう水着を考えていた。
沖縄といえば、日本有数の長寿県。里美は、沖縄料理をいっぱい食べて長生きしてほしい、とひいちゃんに言った。
ひいちゃんの前では、里美は普通の子供になれたような気になる。アメリカ時代の苦痛も日本社会での孤独感も、ひいちゃんと一緒にいると忘れられた。自分の全てを快く受け入れてくれている。そう感じられた。
「え? こんないいホテルに泊まるの?」
里美は、パンフレットを見てびっくりした。1人1泊10万円。和室タイプの客室で、とても寝心地の良さそうな漆塗りのベッドが2つ並んでいる。しかも専用露天ぶろ付き。かけ流し、と書いてある。
料理も半端ない。超高級会席料理。料亭にでも行かない限り食べられないだろう。里美は目を丸くするばかりで、言葉が出ない。
じばらく口をあんぐりさせていた里美は、あることに気がついて、ようやく言葉を発した。
「あれ? 会津って書いてあるよ、こっちじゃないんじゃないの?」
パンフレットに書いてある簡単な地図には、新幹線と東北本線、高速道路が書いてある。里美は、福島県の地理が分からない。それでも、全く違う場所にいることだけは分かって、不安になった。
ひいちゃんが頬を里美によせて二の腕に手を添え、優しく弾んだ声で言った。
「うん、いいのよ、こっちを見て回ってから、タクシーで行くからね」
福島県は横長の県だ。浜通り、中通り、会津通りにエリアが分かれている。今向かっている場所が仲通りといわれるエリアだということが分からない。だから、里美はそれほど気にならなかった。ちょっと離れたところに下りて、タクシーで観光しながら会津に入るものだと思っていた。
今まで旅行といえば、快速か特急で移動していたから、とても楽ちんだ。
窓の外を見ていた里美は、ウキウキ気分でひいちゃんに振り返って言った。
「こんな遠くまで、こんな簡単に来られるなら、いつも新幹線にしてほしかったなぁ」
「もうこの齢だから大奮発。ひ孫と旅行だなんて、この先何度行けるか分からないからね」
「それじゃあ、今度千葉にある東京のお城行こうよ。そういう所だったら、率先してお供するよ」
「じゃあ、機会があったら、沖縄に行きましょうか」
「沖縄?」
里美は仰天した。まさか、そんな遠くに行けるとは思わなかった。
「じゃあ、夏、今年の夏に行こうよ」
5000円もする駅弁を口からボロボロこぼすほど、里美は興奮した。その様子を見たひいちゃんは、とても嬉しそうに笑う。
どんな水着が似合うだろう。2人でビギニか?
里美の提案に、ひいちゃんは大笑いだ。
ひいちゃんは体が小さくて可愛いので、フリルが似合う。里美は本気でそういう水着を考えていた。
沖縄といえば、日本有数の長寿県。里美は、沖縄料理をいっぱい食べて長生きしてほしい、とひいちゃんに言った。
ひいちゃんの前では、里美は普通の子供になれたような気になる。アメリカ時代の苦痛も日本社会での孤独感も、ひいちゃんと一緒にいると忘れられた。自分の全てを快く受け入れてくれている。そう感じられた。
「え? こんないいホテルに泊まるの?」
里美は、パンフレットを見てびっくりした。1人1泊10万円。和室タイプの客室で、とても寝心地の良さそうな漆塗りのベッドが2つ並んでいる。しかも専用露天ぶろ付き。かけ流し、と書いてある。
料理も半端ない。超高級会席料理。料亭にでも行かない限り食べられないだろう。里美は目を丸くするばかりで、言葉が出ない。
じばらく口をあんぐりさせていた里美は、あることに気がついて、ようやく言葉を発した。
「あれ? 会津って書いてあるよ、こっちじゃないんじゃないの?」
パンフレットに書いてある簡単な地図には、新幹線と東北本線、高速道路が書いてある。里美は、福島県の地理が分からない。それでも、全く違う場所にいることだけは分かって、不安になった。
ひいちゃんが頬を里美によせて二の腕に手を添え、優しく弾んだ声で言った。
「うん、いいのよ、こっちを見て回ってから、タクシーで行くからね」
福島県は横長の県だ。浜通り、中通り、会津通りにエリアが分かれている。今向かっている場所が仲通りといわれるエリアだということが分からない。だから、里美はそれほど気にならなかった。ちょっと離れたところに下りて、タクシーで観光しながら会津に入るものだと思っていた。
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