愛するということ

緒方宗谷

文字の大きさ
103 / 192
33.有紀🎀加奈恋愛事情

1.有紀子の結論

しおりを挟む
 部屋に戻るまでの間に、昔父親が持っていた映画のビデオが出てきて、興味津々でみんなで見たことを思い出した。シュワちゃんが妊娠して出産する話だ。
(小学生の当時は面白いなぁで終わったけれど、今の技術ではどうなのかなぁ。やろうと思えばできなくもないんじゃないかと思うけど……。
 確か当時の私は、男同士で子供ができたら面白い、と想像を膨らませたことがある。なら、女同士でも可能だ〈妄想だけど〉。
 特に今は遺伝子操作の技術もあるから、私と加奈子のDNAを掛け合わせて子供を作ることも出来るかもしれない)
 そう思った瞬間、有紀子は女性同士という垣根を飛び越えた気がした。
(そうだ、普通は男女が結婚して子供を作るんだ。
 でも普通って何? 男女間でしか子供が出来ないなんて古い考え捨ててしまおう。そもそも人類は多すぎで地球はパンクしそうなんだから、作らなくてもいいじゃないか? ほしければ養子をもらおう。
 あはは、なんか変な妄想がふわふわ育つ。けっこう私達いい夫婦……じゃない、婦婦? これじゃ変かな?)
 有紀子は、部屋に入ったところで立ち尽くして色々考えるが、良い名称は浮かばなかった。
(私、無駄に重く考えていたんだな。
 加奈子が私を好きな気持ちは、他の友達に対しては無い特別な感情だもの、単純に喜んでしまっていいじゃないかな。
 私だって加奈子のことが好きだし、別に何の問題もないんじゃない? 恋愛の対象にはならないかもしれないけれど、友愛を育んでいったら、限りなく純愛〈恋愛と言う意味の〉に近づくかもしれないし。
 て言うか、恋愛って概念も飛び越えられるんじゃないかな、純粋な愛情から加奈子のことが好きって思えたら素敵かも)
 この時、有紀子は恋多き女(笑)?の話も、あながち突拍子のない話ではない、と思えた(笑いながらだけど)。
(明日加奈子と話そう。もし加奈子がまだ私を好きでいてくれたのなら、今まで通り――今まで通りじゃないな、今までよりも大好きだって気持ちを持って加奈子と一緒にいよう)
 久しぶりに、有紀子はとても気分が良かった。普通の友達だったなら、すでに友情に亀裂が入ってしまっているかもしれないであろう期間を過ぎてもなお、自分は加奈子が好きだと思えたからだ。
 そればかりか、有紀子の加奈子に対する友愛の気持ちは以前にも増して強まり、揺るぎのないものへと昇華していた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

誰でもイイけど、お前は無いわw

猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。 同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。 見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、 「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」 と言われてしまう。

本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます

結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
本日、私は大切な人達を2人同時に失います <子供の頃から大好きだった幼馴染が恋する女性は私の5歳年上の姉でした。> 両親を亡くし、私を養ってくれた大切な姉に幸せになって貰いたい・・・そう願っていたのに姉は結婚を約束していた彼を事故で失ってしまった。悲しみに打ちひしがれる姉に寄り添う私の大好きな幼馴染。彼は決して私に振り向いてくれる事は無い。だから私は彼と姉が結ばれる事を願い、ついに2人は恋人同士になり、本日姉と幼馴染は結婚する。そしてそれは私が大切な2人を同時に失う日でもあった―。 ※ 本編完結済。他視点での話、継続中。 ※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています ※ 河口直人偏から少し大人向けの内容になります

すべてはあなたの為だった~狂愛~

矢野りと
恋愛
膨大な魔力を有する魔術師アレクサンダーは政略結婚で娶った妻をいつしか愛するようになっていた。だが三年経っても子に恵まれない夫妻に周りは離縁するようにと圧力を掛けてくる。 愛しているのは君だけ…。 大切なのも君だけ…。 『何があってもどんなことをしても君だけは離さない』 ※設定はゆるいです。 ※お話が合わないときは、そっと閉じてくださいませ。

王妃は涙を流さない〜ただあなたを守りたかっただけでした〜

矢野りと
恋愛
理不尽な理由を掲げて大国に攻め入った母国は、数カ月後には敗戦国となった。 王政を廃するか、それとも王妃を人質として差し出すかと大国は選択を迫ってくる。 『…本当にすまない、ジュンリヤ』 『謝らないで、覚悟はできています』 敗戦後、王位を継いだばかりの夫には私を守るだけの力はなかった。 ――たった三年間の別れ…。 三年後に帰国した私を待っていたのは国王である夫の変わらない眼差し。……とその隣で微笑む側妃だった。 『王妃様、シャンナアンナと申します』 もう私の居場所はなくなっていた…。 ※設定はゆるいです。

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

愛する貴方の心から消えた私は…

矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。 周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。  …彼は絶対に生きている。 そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。 だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。 「すまない、君を愛せない」 そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。 *設定はゆるいです。

某国王家の結婚事情

小夏 礼
恋愛
ある国の王家三代の結婚にまつわるお話。 侯爵令嬢のエヴァリーナは幼い頃に王太子の婚約者に決まった。 王太子との仲は悪くなく、何も問題ないと思っていた。 しかし、ある日王太子から信じられない言葉を聞くことになる……。

幸せな番が微笑みながら願うこと

矢野りと
恋愛
偉大な竜王に待望の番が見つかったのは10年前のこと。 まだ幼かった番は王宮で真綿に包まれるように大切にされ、成人になる16歳の時に竜王と婚姻を結ぶことが決まっていた。幸せな未来は確定されていたはずだった…。 だが獣人の要素が薄い番の扱いを周りは間違えてしまう。…それは大切に想うがあまりのすれ違いだった。 竜王の番の心は少しづつ追いつめられ蝕まれていく。 ※設定はゆるいです。

処理中です...