愛するということ

緒方宗谷

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33.有紀🎀加奈恋愛事情

2.関係の再構築 

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 有紀子は清々しい気持ちでいた。それに対して、加奈子は少し表情を強張らせている。場所は、加奈子が有紀子に告白した校舎裏だ。
 前に有紀子が加奈子を呼びだした時、有紀子は背を向けて話をしたが、今回は加奈子の方を向いて、しっかりと瞳を見つめている。逆に加奈子はその視線に耐えきれずに俯いて、瞳の先は鉄格子の向こうの道路と民家の境辺りを見ている。
 有紀子は言った。
「私も加奈子のことが好きだよ。告白されるまでは友達として好きだったけど、今はちょっと違うかな。
 私は陸君のことが好きだから、恋愛とはちょっとちがうけど、なんていうか加奈子が好き。性格って言うか、なんというか、加奈子が好き。加奈子そのものが好き」
「私のこと、嫌いにならないの?」
 不安な表情を見せる加奈子に、有紀子は優しく言った。
「ならないよ、前より好きになったかも」
「でもさ、女の子が女の子を好きになるなんて、気持ち悪いでしょ? 私どうかしているんだよ。自分でもおかしいて思うんだけど――」
 有紀子は遮って言った。
「私のこと好きだって言ってくれたのは、おかしいことなの? 本気で好きだって言ってくれたんじゃないの?」
「それは本気、本気だけど……」
「なら、それでいいじゃん、中学からの付き合いでしょ? 私のこと色々知っていて、それで好きだって思ってくれているなんて、私凄いじゃん、私、自分で自分を褒めてあげたい(笑)」
 それを聞いた加奈子は、少し照れを隠すような表情をした。頬は緩んでいるのに笑わない。でも口は緩んでいる。どう返答していいか分からないのだ。
 有紀子が続ける。
「しいて言えばライバルかな、陸君は加奈のことが好きだから。
 でも、加奈が私を好きなら取られないから安心。加奈子よ、私が好きなら、陸を悪い虫から守りなさい(笑)」
 有紀子が冗談めいてそう言うと、加奈子は「ラジャー」と言って、オドオドとしながらも嬉しそうな笑顔で笑った。でも、ふと気が付いて、
「あ、でも、私にとって陸君はライバルになるのか、ゆっこの唇くらいは奪っておくべきか?」
「ダメ! ファーストキスはあげない」
「じゃあ、2回目はいいの?」
「うーん、私の恋心を奪ったらね」
 なんか変な関係を構築した2人だった。その日から妙にイチャイチャする有紀子と加奈子を目の当たりにするようになったクラスメイトは、ちょっとドキドキする学園生活を送るようになった。
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