愛するということ

緒方宗谷

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48.Wデート

1.加奈♡有紀 💕

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 花柄のスモッグブラウスに三段ロングのティアードスカート。有紀子はとても可愛かったが、上下クリーム色で色気に欠ける。それを見た加奈子は、鼻でため息をついて有紀子に言った。
「あなたはオシャレなんだけど、なんかこうそそらないのよね」
「なんかひどい友達がいるー」と有紀子はつっこんだ。
 加奈子だって色気は無い。色気は無い? 有紀子はまじまじと加奈子を見た。頭の上からつま先まで。
 スプルース色のチビティ。羽衣の様なスカーチョを穿いている。肌の露出は有紀子同様少ないのに、妙にドキドキしてしまう。
 チラリズムと言うやつだろうかと思って、有紀子はおへそ辺りを見る。おへそは出ていない。
(そうか、胸――胸か……。チビティが密着して肌のシルエットが浮き出ているから、ドキドキするんだ)
 手をつないでリードする加奈子を見やって、有紀子はそう思った。電車の中でも国分寺についた後も、加奈子は楽しそうにおしゃべりしていた。
 最近仲良くなった里美については話さない。お互い里美から接触があったことは報告し合っていたが、その時それぞれ1回話しただけだった。
 有紀子は、最近加奈子と仲良くする里美にヤキモチを焼いていたので、どんな話をしているのか気になっている。駅に向かう時も電車の中でも訊こうか迷っていたが、結局訊かなかった。
 駅についてすぐ、2人はカフェに入った。
 加奈子は、里美がとてもおばあちゃん子で、陸との接点は彼女の曾おばあちゃんであることだけを数日前に話していた。里美が陸から身を引いたことは有紀子も知っていたから、加奈子は里美が10月以降陸と距離を置くと思う、と有紀子に伝えていた。
 その時、曾祖母の誕生日のくだりを聞いて納得した様子の有紀子に、加奈子は微笑んだ。
「ゆっこのライバルは、あと2年の坂本だけだね。 ガンバだよ、ゆっこ‼」
 カフェのテーブルに肘をついてアゴをのせてそう言った加奈子は、「ウッシッシ」と笑っていた。
 その時の加奈子の笑顔を何度も思い返えす有紀子は、(今日もし時間があったら、新しい洋服を買おうかな)と思った。
 有紀子は有紀子で、加奈子と陸が仲直りしたらいいな、と思っていたから、陸に振り向いてもらえるように頑張って、その過程で2人の間のわだかまりを解消させよう、と考えた。
 駅のそばにある量販店のスポーツシューズコーナーで、2人はあれでもないこれでもない、と靴を選ぶ。別のお店にも寄って走りやすい靴の試着を、やんややんや、と繰り返す。
 しかし、どれを履いても加奈子はしっくりこない。それもそのはずだ。今使っているシューズは、ドーム球場に行った時に水道橋にあるスポーツシューズ専門店で買った物だった。しかもセミオーダーで。だから、これより走りやすい靴はそうそうないのだ。
 ほんの少し気にいる程度の靴すら見つからなかった。

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