125 / 838
一年生の二学期
🐿️
しおりを挟む
一瞬言葉を切る。そして明るく弾んだ声で、再び話し始めた。
「成瀬さんなら出来ると思うよ。今はつらいかもしれないけれど、これを乗り越えたら、とても上手にリズムとれるようになると思う。確かに叩かれるのはストレスになっちゃうかもしれないね。ごめんね、そこまで察してあげられなくて。わたし運動部だったから、ちょっとそんなノリが入っちゃうのかも。どうしよう。目の前に立って一緒にバウンスしてあげるとか、なにか方法ないかな?」
そう言って、音楽に合わせてバウンスをはじめると、奈緒にも合わせてするように促す。
非難めいた口調が一転して、とてもやさしい声音だった。言葉の変容ぶりを前にして奈緒があっけにとられていると、突然扉が開いて春樹が入ってきた。
「よう、やってる? 部活でマラソンやってんの。少し抜け出して見に来た。お、奈緒頑張ってんじゃん。でもなに、まだダウンから抜け出せないの?」
「うん。春樹君がノンちゃんとお喋りばかり して練習にならないから、無理でした」奈緒が唇を突き出す。
「うそ、俺のせい。マジごめん」
「ううん。でも春樹君が来ると、和むから、好き」
「まさか、惚れる? 俺に」
「ううん。それはないですから」
ずっこけた春樹のそばにウキウキした様子の暖乃が寄っていって、のぞき込むように瞳を向ける。
「高木君、一年なのにベンチ入りだなんてすごいね」
暖乃は、パドブレ気味に足を交互に送るトップロックを踏んで、春樹を褒める。
彼は暖乃の方を向いてお礼を言ったが、すぐに視線をそらした。
それを冷ややかに見上げてワームを繰り返してから、胸を突き出して更に身を寄せる。重ね着風の黒い長そでのシャツは胸元が大きく深くU字にえぐれていて、同じく大きくえぐれた白い生地が胸の谷間を強調していた。
「そうだ」春樹が思い出したように言った。
持っていた黒いドラム型リュックの中から、赤地と白い花柄の角ばった巾着袋を取り出す。そして続ける。
「親戚が東京に来ててさ。お土産にこれたくさんもらったから、差し入れ」
「わーい、やったあ、晴信餅だ。いいな、山梨、行きたーい」
暖乃がはしゃぐと魚子が食いついてきた。
「へぇー、気の利いた差し入れ、ありがとー」
不愛想なかおりもそばに寄ってきて、仲間の間に首を突っ込む。
「成瀬さんなら出来ると思うよ。今はつらいかもしれないけれど、これを乗り越えたら、とても上手にリズムとれるようになると思う。確かに叩かれるのはストレスになっちゃうかもしれないね。ごめんね、そこまで察してあげられなくて。わたし運動部だったから、ちょっとそんなノリが入っちゃうのかも。どうしよう。目の前に立って一緒にバウンスしてあげるとか、なにか方法ないかな?」
そう言って、音楽に合わせてバウンスをはじめると、奈緒にも合わせてするように促す。
非難めいた口調が一転して、とてもやさしい声音だった。言葉の変容ぶりを前にして奈緒があっけにとられていると、突然扉が開いて春樹が入ってきた。
「よう、やってる? 部活でマラソンやってんの。少し抜け出して見に来た。お、奈緒頑張ってんじゃん。でもなに、まだダウンから抜け出せないの?」
「うん。春樹君がノンちゃんとお喋りばかり して練習にならないから、無理でした」奈緒が唇を突き出す。
「うそ、俺のせい。マジごめん」
「ううん。でも春樹君が来ると、和むから、好き」
「まさか、惚れる? 俺に」
「ううん。それはないですから」
ずっこけた春樹のそばにウキウキした様子の暖乃が寄っていって、のぞき込むように瞳を向ける。
「高木君、一年なのにベンチ入りだなんてすごいね」
暖乃は、パドブレ気味に足を交互に送るトップロックを踏んで、春樹を褒める。
彼は暖乃の方を向いてお礼を言ったが、すぐに視線をそらした。
それを冷ややかに見上げてワームを繰り返してから、胸を突き出して更に身を寄せる。重ね着風の黒い長そでのシャツは胸元が大きく深くU字にえぐれていて、同じく大きくえぐれた白い生地が胸の谷間を強調していた。
「そうだ」春樹が思い出したように言った。
持っていた黒いドラム型リュックの中から、赤地と白い花柄の角ばった巾着袋を取り出す。そして続ける。
「親戚が東京に来ててさ。お土産にこれたくさんもらったから、差し入れ」
「わーい、やったあ、晴信餅だ。いいな、山梨、行きたーい」
暖乃がはしゃぐと魚子が食いついてきた。
「へぇー、気の利いた差し入れ、ありがとー」
不愛想なかおりもそばに寄ってきて、仲間の間に首を突っ込む。
0
あなたにおすすめの小説
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』
本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」
かつて、私は信じていた。
優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な──
そんな普通のお兄ちゃんを。
でも──
中学卒業の春、
帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、
私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった!
家では「戦利品だー!」と絶叫し、
年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、
さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!?
……ちがう。
こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない!
たとえ、世界中がオタクを称えたって、
私は、絶対に──
お兄ちゃんを“元に戻して”みせる!
これは、
ブラコン妹と
中二病オタク姫が、
一人の「兄」をめぐって
全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──!
そしていつしか、
誰も予想できなかった
本当の「大好き」のカタチを探す、
壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ぼっち陰キャはモテ属性らしいぞ
みずがめ
ライト文芸
俺、室井和也。高校二年生。ぼっちで陰キャだけど、自由な一人暮らしで高校生活を穏やかに過ごしていた。
そんなある日、何気なく訪れた深夜のコンビニでクラスの美少女二人に目をつけられてしまう。
渡会アスカ。金髪にピアスというギャル系美少女。そして巨乳。
桐生紗良。黒髪に色白の清楚系美少女。こちらも巨乳。
俺が一人暮らしをしていると知った二人は、ちょっと甘えれば家を自由に使えるとでも考えたのだろう。過激なアプローチをしてくるが、紳士な俺は美少女の誘惑に屈しなかった。
……でも、アスカさんも紗良さんも、ただ遊び場所が欲しいだけで俺を頼ってくるわけではなかった。
これは問題を抱えた俺達三人が、互いを支えたくてしょうがなくなった関係の話。
【完結】メインヒロインとの恋愛フラグを全部ブチ壊した俺、サブヒロインと付き合うことにする
エース皇命
青春
《将来ヤンデレになるメインヒロインより、サブヒロインの方が良くね?》
16歳で自分が前世にハマっていた学園ドラマの主人公の人生を送っていることに気付いた風野白狼。しかしそこで、今ちょうどいい感じのメインヒロインが付き合ったらヤンデレであることを思い出す。
告白されて付き合うのは2か月後。
それまでに起こる体育祭イベント、文化祭イベントでの恋愛フラグを全てぶち壊し、3人の脈ありサブヒロインと付き合うために攻略を始めていく。
3人のサブヒロインもまた曲者揃い。
猫系ふわふわガールの火波 猫音子に、ツンデレ義姉の風野 犬織、アニオタボーイッシュガールの空賀 栗涼。
この3人の中から、最終的に誰を選び、付き合うことになるのか。てかそもそも彼女たちを落とせるのか!?
もちろん、メインヒロインも黙ってはいない!
5人の癖強キャラたちが爆走する、イレギュラーなラブコメ、ここに誕生!
※カクヨム、小説家になろうでも連載中!
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる